ニューズウィーク日本版ウェブ編集部
<音楽や振付が似ているというアイドル、実は企画案からソックリだった>
今年も残すところあと1カ月半。2024年のK-POP界の話題といえば、ガールズグループNewJeansの生みの親として知られる所属事務所ADOR代表だったミン・ヒジンと親会社HYBEとの対立問題だろう。
ミン・ヒジンの代表解任や、NewJeansメンバーによるミン・ヒジンの代表復帰を求める緊急ライブ配信、さらにはメンバーのハニが韓国国会に参考人として出席するなど、1年前には予想もしなかった事態が続いた。
その中でミン・ヒジンがHYBEを批判した大きな理由の1つが、NewJeansのデビューから2年後にHYBEが結成したガールズグループILLIT(アイリット)が、あまりにもNewJeansに似ているという「NewJeansを盗作した」疑惑だった。
これに関連して、ILLITのデビュー前に作成されたグループのコンセプト企画書が最近になって明るみになり、NewJeansのコンセプト企画書とほとんど同じような内容、デザインになっていたことが判明した。韓国メディアのハンギョレ、チャンネルA、日刊スポーツ、トップスターニュースなどが報じた。
【動画】NewJeansとILLITの企画プレゼン資料を見る
HYBE職員「ILLITの企画案はNewJeansのと同じ」
ミン・ヒジンが「NewJeansを盗作した」と批判するILLITはHYBEのオーディション番組『R U Next?』を通じて結成された5人組多国籍ガールグループで、2024年3月にHYBE傘下のレーベルBELIFT LABからミニアルバム「SUPER REAL ME」でデビューした。しかし、デビュー前からコンセプトフォト、タイトル曲と振り付け、メンバーのスタイリングなどが同じHYBEの先輩グループであるNewJeansと似ているという声が上がり盗作疑惑がふくらんだ。
たまたまILLITのデビュー直後にミン・ヒジンとHYBEの対立が始まったため、HYBEによるNewJeansへの圧力の大きな事例としてミン・ヒジンは「ILLITがNewJeansをコピーしている」と主張。これに対してILLITの所属事務所のBELIFT LAB側は「NewJeansを作ったミン代表の立場では本人がしたことと類似性を捜し出し、コピーしたものだと主張しているようだ」として、他のアーティストたちと比較した振付動作、メンバーたちのスタイリング、オンラインコミュニティ資料を証拠とした映像をYouTubeに掲載し盗作疑惑を否認した。
さらにBELIFT LAB側は、ミン・ヒジンを相手に民事訴訟を提訴。10月11日、ソウル中央地裁の審理で開かれた仮処分申請の審問で、ミン・ヒジン側は、ILLITのNewJeans盗作疑惑についてHYBEの内部告発者と交わしたメッセージを公開した。
このときミン・ヒジン側は「HYBEの内部告発した職員が『ILLITのクリエイティブディレクターが構想段階からNewJeansの企画案を見せてくれと要請した。ILLITの企画案はNewJeansの企画案と同じだ。それを同じように作るとは本当に想像もできなかったが』と情報提供してくれた」と証言した。
その問題となっているNewJeansとILLITの企画案を入手した韓国メディアによると、2つの企画案を並べてみると、構成、デザイン、フォントなど瓜二つと言えるほど似通っている。
NewJeansの企画案はミン・ヒジンが自ら作成
2つの企画案は「21年チームローンチ戦略」(NewJeans企画案)と「BELIFT LAB新人ガールグループ企画案」(ILLIT企画案)と題されたプレゼン用シートで、両方ともデザイン的に円を活用した技法で作成されている。
このうち「21年チームローンチ戦略」はミン·ヒジンがADORが設立される前の2020年5月、HYBE最高ブランド責任者(CBO)時代、アップルのプレゼンテーションソフト「Keynote」で内容を作成し直接デザインしたものだ。
それぞれの企画案ではグループが目指すべきオリジナリティーについて「同質感」と「憧れ」と似通っている。NewJeansの企画案はこれを実現するための戦略として「ティーンのインフルエンサー」、ILLITは「クリエイター」をキーワードとして挙げており、現代のネットやSNSが発達している世界では「インフルエンサー」と「クリエーター」は事実上同じ概念だと言っていいだろう。
そして2つの企画案はロールモデルとして米国の著名ユーチューバー、エマ・チェンバレンを紹介している。さらに今後の戦略でショート動画を活用し、大衆のライフスタイルに近づける実用的なグッズ展開を提起しているところも重なっている。
また、季節が変わるとトレンドも急変するほど移り変わりの激しいK-POP業界で、NewJeansの企画案から3年後に作成されたILLITの企画案が内容的にこれほど似通っているのは不自然だという指摘もある。
ガールズグループの企画を担当するK-POP業界関係者は「市場分析と戦略的方向性まで2つの文書が非常に類似している。デザインと企画構成、戦略の方向性まで類似した企画案を通じてガールグループを相次いでデビューさせる事例は珍しい」と指摘し、暗にILLIT側によるコピーの可能性を指摘した。
ミン・ヒジンによるADOR代表復帰についての訴えは裁判所が却下したが、HYBEとの対立は残念ながら2025年へと繰り越されそうな状況だ。来るべき2025年はK-POP界の話題がもっと明るい内容であることを願わざるを得ない。
【動画】NewJeansとILLITのダンスを比較
NewJeansとILLITのダンスを比較 sonexcarat99 / YouTube
<音楽や振付が似ているというアイドル、実は企画案からソックリだった>
今年も残すところあと1カ月半。2024年のK-POP界の話題といえば、ガールズグループNewJeansの生みの親として知られる所属事務所ADOR代表だったミン・ヒジンと親会社HYBEとの対立問題だろう。
ミン・ヒジンの代表解任や、NewJeansメンバーによるミン・ヒジンの代表復帰を求める緊急ライブ配信、さらにはメンバーのハニが韓国国会に参考人として出席するなど、1年前には予想もしなかった事態が続いた。
その中でミン・ヒジンがHYBEを批判した大きな理由の1つが、NewJeansのデビューから2年後にHYBEが結成したガールズグループILLIT(アイリット)が、あまりにもNewJeansに似ているという「NewJeansを盗作した」疑惑だった。
これに関連して、ILLITのデビュー前に作成されたグループのコンセプト企画書が最近になって明るみになり、NewJeansのコンセプト企画書とほとんど同じような内容、デザインになっていたことが判明した。韓国メディアのハンギョレ、チャンネルA、日刊スポーツ、トップスターニュースなどが報じた。
【動画】NewJeansとILLITの企画プレゼン資料を見る
HYBE職員「ILLITの企画案はNewJeansのと同じ」
ミン・ヒジンが「NewJeansを盗作した」と批判するILLITはHYBEのオーディション番組『R U Next?』を通じて結成された5人組多国籍ガールグループで、2024年3月にHYBE傘下のレーベルBELIFT LABからミニアルバム「SUPER REAL ME」でデビューした。しかし、デビュー前からコンセプトフォト、タイトル曲と振り付け、メンバーのスタイリングなどが同じHYBEの先輩グループであるNewJeansと似ているという声が上がり盗作疑惑がふくらんだ。
たまたまILLITのデビュー直後にミン・ヒジンとHYBEの対立が始まったため、HYBEによるNewJeansへの圧力の大きな事例としてミン・ヒジンは「ILLITがNewJeansをコピーしている」と主張。これに対してILLITの所属事務所のBELIFT LAB側は「NewJeansを作ったミン代表の立場では本人がしたことと類似性を捜し出し、コピーしたものだと主張しているようだ」として、他のアーティストたちと比較した振付動作、メンバーたちのスタイリング、オンラインコミュニティ資料を証拠とした映像をYouTubeに掲載し盗作疑惑を否認した。
さらにBELIFT LAB側は、ミン・ヒジンを相手に民事訴訟を提訴。10月11日、ソウル中央地裁の審理で開かれた仮処分申請の審問で、ミン・ヒジン側は、ILLITのNewJeans盗作疑惑についてHYBEの内部告発者と交わしたメッセージを公開した。
このときミン・ヒジン側は「HYBEの内部告発した職員が『ILLITのクリエイティブディレクターが構想段階からNewJeansの企画案を見せてくれと要請した。ILLITの企画案はNewJeansの企画案と同じだ。それを同じように作るとは本当に想像もできなかったが』と情報提供してくれた」と証言した。
その問題となっているNewJeansとILLITの企画案を入手した韓国メディアによると、2つの企画案を並べてみると、構成、デザイン、フォントなど瓜二つと言えるほど似通っている。
NewJeansの企画案はミン・ヒジンが自ら作成
2つの企画案は「21年チームローンチ戦略」(NewJeans企画案)と「BELIFT LAB新人ガールグループ企画案」(ILLIT企画案)と題されたプレゼン用シートで、両方ともデザイン的に円を活用した技法で作成されている。
このうち「21年チームローンチ戦略」はミン·ヒジンがADORが設立される前の2020年5月、HYBE最高ブランド責任者(CBO)時代、アップルのプレゼンテーションソフト「Keynote」で内容を作成し直接デザインしたものだ。
それぞれの企画案ではグループが目指すべきオリジナリティーについて「同質感」と「憧れ」と似通っている。NewJeansの企画案はこれを実現するための戦略として「ティーンのインフルエンサー」、ILLITは「クリエイター」をキーワードとして挙げており、現代のネットやSNSが発達している世界では「インフルエンサー」と「クリエーター」は事実上同じ概念だと言っていいだろう。
そして2つの企画案はロールモデルとして米国の著名ユーチューバー、エマ・チェンバレンを紹介している。さらに今後の戦略でショート動画を活用し、大衆のライフスタイルに近づける実用的なグッズ展開を提起しているところも重なっている。
また、季節が変わるとトレンドも急変するほど移り変わりの激しいK-POP業界で、NewJeansの企画案から3年後に作成されたILLITの企画案が内容的にこれほど似通っているのは不自然だという指摘もある。
ガールズグループの企画を担当するK-POP業界関係者は「市場分析と戦略的方向性まで2つの文書が非常に類似している。デザインと企画構成、戦略の方向性まで類似した企画案を通じてガールグループを相次いでデビューさせる事例は珍しい」と指摘し、暗にILLIT側によるコピーの可能性を指摘した。
ミン・ヒジンによるADOR代表復帰についての訴えは裁判所が却下したが、HYBEとの対立は残念ながら2025年へと繰り越されそうな状況だ。来るべき2025年はK-POP界の話題がもっと明るい内容であることを願わざるを得ない。
【動画】NewJeansとILLITのダンスを比較
NewJeansとILLITのダンスを比較 sonexcarat99 / YouTube