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トランプがウクライナ支援を減らすならイギリスが軍隊を送る必要がある── ジョンソン英元首相

ニューズウィーク日本版 2024年11月14日 16時41分

マヤ・メーララ
<ロシアの復活をなんとしても阻止するために、イギリスとヨーロッパ諸国の国境を守るために、ウクライナの敗戦を許してはならないと、主張>

ドナルド・トランプ米次期大統領がウクライナへの資金援助や軍事支援を削減するなら、イギリスがウクライナに軍隊を派遣する必要に迫られるかもしれない――イギリスの元首相がこう発言した。

ボリス・ジョンソン英元首相(保守党)は英メディア「GBニュース」とのインタビューの中で、ウクライナを支援しなければイギリスのコストは増大し、ヨーロッパの安全保障に脅威がもたらされるだろうと指摘した。

トランプがウクライナへの支援を削減した場合、アメリカに代わってイギリスがウクライナに軍隊を派遣した方がいいともつけ加えた。

本誌はこの件についてトランプの政権移行チームにメールでコメントを求め、またジョンソンの著書の出版元であるハーパーコリンズ(営業時間外)にもメールでコメントを求めたが、返答はなかった。

トランプの政権移行チームはウクライナ戦争の早期終結に向けて、現在の前線で戦闘を凍結し国境を確定する、などの案を検討している。約1280キロメートルにわたる非武装地帯を設けるが、アメリカはその警備のために軍を派遣することはないし費用も負担しない。

トランプは過去にアメリカのNATO脱退の可能性にも言及している。

トランプはロシアとウクライナの戦争について正式な計画を発表していないが、これまでに停戦を呼びかけ、自分が大統領になれば「24時間以内に」戦争を終わらせると発言してきた。

彼はまた、アメリカの対ウクライナ軍事・財政支援は「過剰だ」と考えており、大統領に選出されれば支援を停止するとも述べてきた。

ジョー・バイデン現政権はトランプの大統領就任前に、ウクライナがロシア軍や北朝鮮兵に抵抗するためウクライナへの60億ドルの軍事支援を使い切る予定だとしている。

ジョンソンはGBニュースとのインタビューの中で、「なぜ我が国がウクライナを支援しなければならないのか。(支援しなければ)ロシアが復活してヨーロッパのあらゆる地域に脅威がもたらされ、私たちの集団的安全保障が大きく損なわれることになるからだ」と言った。

「そのときこそイギリスは、多大な費用を負担してウクライナに軍隊を派遣し、防衛せざるを得なくなるだろう」

そして、ウクライナが敗退すれば「われわれの国境、そしてロシアと接するヨーロッパ大陸のあらゆる民主主義国家の国境に、さらに大きな脅威がもたらされる」と警告した。

ジョンソンはウクライナに関するトランプの見解についても語った。「ドナルド・トランプの元にはさまざまな意見が届いており、共和党内にはウクライナについて間違った考え方を持っている者がかなり多くいる」

一部の共和党議員は「ロシアのウラジーミル・プーチン大統領に魅了されて」おり、「プーチンに対してファンのような奇妙な感情を抱いている」。

ジョンソンは米共和党の議員らがトランプにウクライナへの支援を削減させるよう仕向けている可能性があると言う一方で、トランプが過去に提供した支援がウクライナの戦闘においてきわめて重要な役割を果たしたと称賛した。

「トランプは過去にウクライナに対して対戦車ミサイル『ジャベリン』を売却することを承認した人物だ。このことがウクライナの運命に大きな影響を及ぼした」とジョンソンはつけ加えた。

トランプは大統領だった2017年に、ドンバス地方で親露派勢力た戦っていたウクライナにジャベリンを供与した。2014年にロシアが一方的にクリミアを併合した後のことだ。

だが2025年1月に米大統領に就任した後のトランプは、ウクライナへの財政支援や軍事支援を削減するのではないかと懸念されている。

トランプがウクライナ支援を継続するかどうかについては、英自由民主党のエド・デイビー党首も懸念を表明している。デイビーはスターマーに対し、トランプの米大統領就任前に「トランプ対策」を講じるよう促した。

デイビーはジョンソンの意見に賛同し、次のように述べた。「トランプが権力を握ったからというだけの理由で、ウクライナをプーチンに任せて見捨てる訳にはいかない」

「ヨーロッパ諸国を団結させ、ロシアの凍結資産を財源としてウクライナへの支援をさらに増やしていくことができるはずだ」「迅速な行動が必要だ」



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