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ウクライナ軍、ロシア領内の兵器庫攻撃に「ATACMSを初使用」 夜空に上がる「巨大な火の玉」を住民が撮影

ニューズウィーク日本版 2024年11月20日 19時55分

マヤ・メーララ、ジョン・フェン
<標的となったのはロシア国防省ロケット・砲兵総局(GRAU)の第67兵器庫。地元住民が撮影した大爆発の様子が話題に>

ウクライナがロシア国内の標的を攻撃するのに初めて長距離ミサイルATACMS(陸軍戦術ミサイルシステム)を使用したと、ウクライナの報道機関「RBCウクライナ」が国防関係者の話として伝えている。

【動画】夜空を照らす「巨大な火の玉」の衝撃...「ATACMS攻撃」でブリャンスク州の兵器庫が大爆発

RBCウクライナによれば、射程距離約300キロのATACMSは11月19日、ウクライナの国境から110キロ以上離れたロシア西部ブリャンスク州カラチェフの兵器庫を攻撃した。

ウクライナの国防関係者はRBCウクライナの取材に対し、「ロシア領を攻撃するためにATACMSが使用されたのはこれが初めてだ。攻撃はブリャンスク州の施設に対して行われ、破壊することに成功した」と述べている。

標的はロシア国防省ロケット・砲兵総局(GRAU)の第67兵器庫で、ドローンとミサイルによる複合攻撃を受けた可能性がある。

これはジョー・バイデン米大統領がウクライナに対し、アメリカが供給した長距離兵器をロシア領の攻撃に使用することを認めた矢先の出来事だ。

地元住民がこの爆発の様子を撮影。オープンソース・インテリジェンス(OSINT)アカウントのOSINTテクニカル(@Osinttechnical)は1本の動画をX(旧ツイッター)で共有し、「ブリャンスク州の重要な兵器保管施設であるGRAU第67兵器庫で今朝、大規模な爆発があり、火の玉が数十メートル上空まで舞い上がった。一帯ではウクライナの無人攻撃機が目撃されていた」と説明している。

ウクライナ国家安全保障国防会議の傘下にある「偽情報対策センター」のアンドリー・コバレンコ所長もテレグラムでこの攻撃を認めており、ロシアはこの施設に「自国システム用の対空ミサイルを含む砲弾」を保管していたと述べている。

カラチェフ市長は19日朝、敵のドローン8機が撃墜されたと報告。また、ロシアの独立系報道機関「アストラ・プレス」はテレグラムの投稿で、地元当局がドローンによる攻撃を報じていたことを伝えている。

ドローン攻撃は他にも数件報告されており、ロストフ州の当局も複数のドローンが防空システムによって迎撃されたと報告している。また、「ニュー・ボイス・オブ・ウクライナ」によれば、ロフトフ州タガンログ近郊でも別のドローンが撃墜されたという。

カラチェフの兵器保管施設はこの戦争中に少なくとも3回は攻撃を受けている。

ウクライナはロシアの他の兵器庫も攻撃している。夏以降、ウクライナはGRAUの施設に対するドローン攻撃を強化しており、これまでにチホレツク、トロペツ、アディゲ共和国、コトルバン、クラスノダールの兵器庫を標的としてきた。

クラスノダールへの攻撃では、イランが設計した自爆型ドローン「シャヘド」が保管されていたとみられる倉庫が標的とされた。

ブリャンスク州の同施設は10月にも攻撃を受けている。コバレンコは以前、この施設について「北朝鮮から供給されたものを保管する施設」と表現していた。

ウクライナ保安庁の元職員で軍事専門家のイヴァン・ストゥパクは以前、本誌の取材に対し、ロシア全土にGRAUの施設が20ほどあり、そのうち6〜7施設がウクライナから近いところにあると説明していた。ストゥパクはまた、ウクライナは以前4つの施設を標的にしていたと述べた。

(翻訳:ガリレオ)

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