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日本人が知らない、トランプ閣僚候補「本当にヤバイ人事」トップ4

ニューズウィーク日本版 2024年12月5日 13時30分

サム・ポトリッキオ
<トランプ次期政権のトンデモ閣僚候補は、イーロン・マスクやケネディJrだけではない。米政府に「革命」を起こすトランプ肝入りの面々を見てみると......>

トランプ次期米大統領が指名した閣僚候補の中には、伝統的な共和党政権でも起用されそうな手堅い人事もある。だが全体的な印象は、トランプへの忠誠心と担当官庁に革命を起こそうとする熱意を盛んにアピールする、型破りでテレビ映えする大衆扇動家の寄せ集めといったところだ。ここでは型破りなだけでなく、アメリカの政界・官界関係者の間で現実離れした突拍子もない人事と見なされている4人の候補者を紹介しよう。

①ピート・ヘグセス(国防長官)

米軍の強大な力をよく理解している多くの関係者にとって、このFOXニュース司会者の起用は滑稽な茶番に見える。映画スターのようなルックスとプリンストン、ハーバード両大学の学位を持つヘグセスは、トランプ劇場の配役で主役級の輝きを放っている。だが、大きな組織を率いたり重要な役職に就いた経験が全くない。しかも、不倫関係の同僚を妊娠させたり性的暴行で告発されたりと、スキャンダルのオンパレードだ。賭けサイトのポリマーケットによれば、上院で承認を否決される可能性が高い候補者の第2位(約40%)にランクされている。

②タルシー・ガバード(国家情報長官)

私がモスクワに住んでいた2020年、現地の元教え子からトランプはロシアの傀儡ではないが、民主党の大統領選には本物のロシアの操り人形が出馬していると言われた。もちろん、ガバード下院議員(当時は民主党員)のことだ。数年後、彼女はロシアの工作員から献金を受けていたというスキャンダルに巻き込まれた。もし指名が承認されれば、ガバードはアメリカの国家安全保障情報の全てを掌握する。今のところ、ガバードは承認が否決される可能性が最も高い候補者であり、上院で承認が得られる可能性は五分五分らしい。

③メフメット・オズ(公的医療保険担当責任者)

自身の名を冠したテレビ番組で有名になったオズは約10年前、米上院で減量薬の宣伝のために虚偽の説明をして議員たちから袋だたきにされた。ただし、この指名が承認される可能性は高い。22年の上院選でオズを破った民主党のジョン・フェッターマン議員でさえ、「ドクター・オズがメディケア(高齢者医療保険制度)とメディケイド(低所得者医療保険制度)を守り抜くのであれば、私は賛成する」と指名を支持する可能性を示唆した。共和党穏健派の数人も支持を表明している。

④リンダ・マクマホン(教育長官)

アメリカで最も有名なプロレス団体のCEOを務めたことで知られるマクマホンは、学生の教育を監督する立場への就任を議員たちから猛反対された経験が既にある。地元コネティカット州の教育委員に選ばれたとき、州下院教育委員会の議長はこの起用に反対しただけでなく、個人的な不快感を表明した。「彼女は暴力と若い女性の性の商品化によって巨額の儲けを出してきた。子供たちに害を及ぼす存在だ」。マクマホンはトランプの長年の友人であり、トランプ陣営に多額の寄付をした有力後援者でもある。上院の承認は問題ないだろうが、この人選はトランプ支持派が主張する教育省廃止を前提とした起用である可能性が高い。

この4人の指名にワシントンのエリートは頭を抱えている。しかし、この狂気の沙汰にも論理がある。トランプが破壊または弱体化させたい機関に解体用鉄球を持ち込み、自ら思い描くとおりに政府に革命を起こすという、より大きな作戦の一部なのだ。

最後に政治通からのヒントを1つ。4人の指名が承認されれば、彼らは経験不足ゆえ多くの権限をすぐ下の部下たちに委譲するだろう。次官や副長官はかつてない権力を手にすることになる。

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