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人が滞在するのは3時間が限界...危険すぎる「放射能の島」の内部を映した映像が話題 「衝撃だった」

ニューズウィーク日本版 2024年12月8日 6時55分

ブライアン・ディロン
<長時間の滞在は危険なため、3時間のみの島の探索を許された男性が内部の様子を紹介。人類の「負の遺産」の現状を見た人たちからは様々な意見が>

各地を旅した時の動画をSNSで公開しているアーティストの男性が太平洋のほぼ中央に位置する島を探索し、その様子を動画で紹介した。ここは「放射線レベルが高すぎる」ため、人類が住むことができない場所。過去に繰り返し核実験が行われた影響で、現在でもほとんど人が訪れることのできない状況が続いている。

■【動画】危険すぎて人類が住めない「放射能の島」の内部...公開された内部映像 「衝撃だった」「悲しい」

島を探索した様子を動画におさめてインターネット上で共有したのは、各地を旅行しながらアーティストとして活動している米アリゾナ州フェニックス出身のカーク・ヘイズ(57)だ。そんな彼が探索したのはマーシャル諸島のビキニ環礁。冷戦期の1946年から1958年にかけてアメリカが核実験を行っていたため、現在も放射線レベルが高い状態にある。

「冷戦時代に育った者として、原子力時代が初期段階から成熟段階に至った場所を実際に見て、それがかかわった人々や環境にどのような影響を及ぼしたのかを確認したかった」と彼は本誌に語り、さらにこう続けた。「島を訪れて厳粛な気持ちになった。ビキニ環礁は信じられないほど美しい場所でありながら、環境にとってはとても有害で、子どもを含むあまりに多くの人が放射能中毒や先天性欠損症に苦しんだ場所でもあるからだ」

ビキニ環礁に帰還した住民たちに起きた健康被害

動画には澄み渡る青空の下、ヘイズが無人島であるビキニ環礁の白い砂浜に降り立つ様子が映っている。島での滞在が許可されたのは3時間だけ。それ以上長くいるのは危険すぎるという理由からだ。

ヘイズはその後、廃墟と化した民家やかつて米軍が建設した基地内にある建物を紹介している。

ビキニ環礁の核実験場は世界遺産リストに登録されている。ユネスコ(国連教育科学文化機関)のウェブサイトによればここでは地元住民が移住させられた後、1946年から1958年にかけて60回以上に及ぶ核実験が行われた。

同サイトには「この場所はきちんとした再建が行われておらず、爆発によって放射性物質が発生したため今も人間の立ち入りは厳しく制限されている」と説明がある。

核実験から何年もの時間を経て、一部の住民については安全に帰還することができると宣言された。だが1978年までには帰還住民のセシウム137の体内量が11倍に増加していることが発覚し、これが女性の流産や新生児の遺伝的異常につながった。

ヘイズは本誌に対して「これらの美しいビーチが放射性物質の源でもあり、その影響で骨が十分に発達しないまま生まれてしまった子どもたちが恐怖に震える母親たちによって埋められた場所だと知ったのは衝撃だった」と述べ、さらにこう続けた。「そんな時代に戻りたいと考える新世代の政治家や有識者がいることが信じられない」

「いつか元の姿に戻って欲しい」「悲しい」のコメント

動画のコメント欄には多くの視聴者から意見が寄せられた。

Teacher Travel Timesは「昨日この問題に関するビデオを見たばかりだ。マーシャル諸島がいつか元の姿に戻れるよう願っている」とコメントした。@meaculは「ここに帰還した人々がどのような健康問題を抱えることになったのか知りたい」と書き込んだ。

Evie Grayはこう書き込んだ。「なんと美しい場所だろう。ここで暮らしていた人々が移住を強いられたこと、何よりここで行われたことを理由に苦しんだことを考えると信じられないほど悲しい。私は普段、情報系の動画は見ないが、これは素晴らしい」



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