ビラル・ラーマン
<アサド政権崩壊で空軍基地を出発するロシア軍の車列映像がとらえられて話題に。シリア国内でのロシアの意義が変わっていく可能性について>
シリアのバシャル・アサド政権が崩壊したことを受けて、ロシア軍の兵士たちがシリアから脱出している様子を捉えたとする動画がインターネット上で共有され、注目を集めている。
問題の動画は軍事ブロガーの「WarTranslated(Dmitri)」がX(旧ツイッター)に投稿したものだ。
シリア北部のアレッポとラッカの県境に位置する空軍基地を出発するロシア軍の車列をとらえたものとされ、この車列には装甲車やトラック、ミサイル発射装置などが含まれているという。
■【話題の動画】シリアから「そそくさ退散」するロシア軍の車列 を見る
本誌はこの動画についてロシア外務省にメールでコメントを求めたが、これまでに返答はない。
ロシア政府はウラジーミル・プーチン大統領の決定により、シリアのアサド前大統領の政治亡命を受け入れたと明らかにした。
また、ロシア大統領府のドミトリー・ペスコフ報道官はアサドの現在の居場所については明かさず、現時点でプーチンにはアサドと会う考えはないと述べている。
シリア軍の司令部は12月8日、電撃的な進軍を続けてきた反体制派が首都ダマスカスを制圧し、アサド政権が崩壊したと軍幹部に報告。アサド政権の崩壊は、14年近く続いたシリア内戦の終結を意味する。
ロシア外務省は8日、アサドが「大統領を辞任することを決断し、平和的な権力の移譲を指示して出国した」と述べて、アサドの所在をめぐる憶測に終止符を打った。
ロシアが軍資産の一部を再配備か
米ホワイトハウスのジェイク・サリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)は9日にCBSの番組「ジス・モーニング」に出演した際に、シリア情勢について語った。アメリカがかつてテロ組織に指定していた組織を含むシリアの複数の反体制派グループが、前向きかつ建設的な意図を示していると述べた。
「われわれはシリアの全てのグループと協力していく。ジョー・バイデン米大統領が昨日言ったように、テロ組織に指定されている組織を含むシリアの反体制派グループは正しいことを言ってきた」とサリバンは述べ、さらにこう続けた。
「重要なのは今後、彼らがより良いシリアを実現するために何をするかということだ」
また、英王立防衛安全保障研究所(Royal United Services Institute:RUSI)のバーク・オズチェリック中東安全保障上級特別研究員は、声明の中で次のように述べている。
「シリアにはロシアの主要な軍事施設が2つある。シリア北西部のフメイミム空軍基地と地中海沿岸のタルトゥース海軍基地だ。最近、ロシアがフメイミム空軍基地の防衛にあたっていた防空資産の少なくとも一部を再配備したという報道があり、両基地では現在厳戒態勢が取られている」
オズチェリックはさらに「今後もシリアへのアクセスを維持することはロシアの利益に叶うが、今はロシアがシリア国内で軍事力や影響力を発揮する能力が著しく低下している」と言及し、こう続けた。
「今後ロシアがシリア国内でのプレゼンスを維持することにどのような意義があるのかが分かるまでには時間がかかるし、まだ決まっていないシリアの新政府との交渉を経なければ分からないだろう」
アサド政権の崩壊を受けて、シリアの今後をめぐる国際的な議論が高まっている。
NATOのマーク・ルッテ事務総長は声明の中で、「われわれは平和的な権力の移行と、あらゆる人が参加できるシリア人主導の政治プロセスの実現を期待している」と述べた。
ロシアは2015年9月にシリア内戦に正式に介入。反体制派やテロ組織、とりわけISIS(イスラム国)やアルカイダ系のグループを弱体化させることを狙って空爆を行った。
この軍事介入においては最新鋭の戦闘機や爆撃機、ヘリコプターも使用されたが、しばしばテロ組織だけではなく穏健派の反体制勢力や民間人の居住危機も標的にしたと批判を浴びていた。
<アサド政権崩壊で空軍基地を出発するロシア軍の車列映像がとらえられて話題に。シリア国内でのロシアの意義が変わっていく可能性について>
シリアのバシャル・アサド政権が崩壊したことを受けて、ロシア軍の兵士たちがシリアから脱出している様子を捉えたとする動画がインターネット上で共有され、注目を集めている。
問題の動画は軍事ブロガーの「WarTranslated(Dmitri)」がX(旧ツイッター)に投稿したものだ。
シリア北部のアレッポとラッカの県境に位置する空軍基地を出発するロシア軍の車列をとらえたものとされ、この車列には装甲車やトラック、ミサイル発射装置などが含まれているという。
■【話題の動画】シリアから「そそくさ退散」するロシア軍の車列 を見る
本誌はこの動画についてロシア外務省にメールでコメントを求めたが、これまでに返答はない。
ロシア政府はウラジーミル・プーチン大統領の決定により、シリアのアサド前大統領の政治亡命を受け入れたと明らかにした。
また、ロシア大統領府のドミトリー・ペスコフ報道官はアサドの現在の居場所については明かさず、現時点でプーチンにはアサドと会う考えはないと述べている。
シリア軍の司令部は12月8日、電撃的な進軍を続けてきた反体制派が首都ダマスカスを制圧し、アサド政権が崩壊したと軍幹部に報告。アサド政権の崩壊は、14年近く続いたシリア内戦の終結を意味する。
ロシア外務省は8日、アサドが「大統領を辞任することを決断し、平和的な権力の移譲を指示して出国した」と述べて、アサドの所在をめぐる憶測に終止符を打った。
ロシアが軍資産の一部を再配備か
米ホワイトハウスのジェイク・サリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)は9日にCBSの番組「ジス・モーニング」に出演した際に、シリア情勢について語った。アメリカがかつてテロ組織に指定していた組織を含むシリアの複数の反体制派グループが、前向きかつ建設的な意図を示していると述べた。
「われわれはシリアの全てのグループと協力していく。ジョー・バイデン米大統領が昨日言ったように、テロ組織に指定されている組織を含むシリアの反体制派グループは正しいことを言ってきた」とサリバンは述べ、さらにこう続けた。
「重要なのは今後、彼らがより良いシリアを実現するために何をするかということだ」
また、英王立防衛安全保障研究所(Royal United Services Institute:RUSI)のバーク・オズチェリック中東安全保障上級特別研究員は、声明の中で次のように述べている。
「シリアにはロシアの主要な軍事施設が2つある。シリア北西部のフメイミム空軍基地と地中海沿岸のタルトゥース海軍基地だ。最近、ロシアがフメイミム空軍基地の防衛にあたっていた防空資産の少なくとも一部を再配備したという報道があり、両基地では現在厳戒態勢が取られている」
オズチェリックはさらに「今後もシリアへのアクセスを維持することはロシアの利益に叶うが、今はロシアがシリア国内で軍事力や影響力を発揮する能力が著しく低下している」と言及し、こう続けた。
「今後ロシアがシリア国内でのプレゼンスを維持することにどのような意義があるのかが分かるまでには時間がかかるし、まだ決まっていないシリアの新政府との交渉を経なければ分からないだろう」
アサド政権の崩壊を受けて、シリアの今後をめぐる国際的な議論が高まっている。
NATOのマーク・ルッテ事務総長は声明の中で、「われわれは平和的な権力の移行と、あらゆる人が参加できるシリア人主導の政治プロセスの実現を期待している」と述べた。
ロシアは2015年9月にシリア内戦に正式に介入。反体制派やテロ組織、とりわけISIS(イスラム国)やアルカイダ系のグループを弱体化させることを狙って空爆を行った。
この軍事介入においては最新鋭の戦闘機や爆撃機、ヘリコプターも使用されたが、しばしばテロ組織だけではなく穏健派の反体制勢力や民間人の居住危機も標的にしたと批判を浴びていた。