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「オメガ3脂肪酸」と「葉物野菜」で腸内環境を改善...「超加工食品」と皮膚疾患に関する【最新研究】

ニューズウィーク日本版 2024年12月15日 11時5分

ハティ・ウィルモス
<「超加工食品」は体内の炎症を引き起こすと考えられている。抗酸化物質と「腸をサポートする食品」で免疫システムを落ち着かせる>

最新研究によると、乾癬(かんせん)の症状が超加工食品の摂取量に関連していることが判明した。超加工食品は体重過多による炎症とは、また別の形で体内の炎症をうながす可能性がある。

「私は15年以上、乾癬を患っていましたが、かゆみや不快感で眠れないことがあり、人前に出ることが不安の原因になることもありました」と語るのは、栄養療法士[食事療法の専門家]のヴィクトリア・ハミルトン氏だ。

乾癬やその他の自己免疫疾患に悩む患者に食事や栄養を通じて、症状改善のサポートを行なっているハミルトン氏は、今回のこの研究結果が、自身の経験を裏付けると本誌に語る。

 

乾癬は、皮膚に影響を及ぼす慢性的な自己免疫疾患であり、皮膚細胞の過剰生産を引き起こし、皮膚に厚くうろこ状の斑点や、赤くなるなどの炎症を起こすことがあるとハミルトン氏は述べる。

「遺伝、ストレス、腸内環境、環境誘因などの要因に影響される、免疫系に根ざしています。(略)腸内環境を整え、食生活を変えて炎症を抑え、ストレスを管理するなど根本的な原因に対処することで、免疫システムを落ち着かせることができ、最終的には私の肌もきれいになりました。現在、9年以上、症状がありません」

ただし、食事を変えることが乾癬を「治す」わけではない。また、超加工食品を摂取することが乾癬を「引き起こす」わけでもない。

炎症を引き起こす食品

今回の乾癬と食事に関する最新研究は、被験者が乾癬と診断されているかどうかではなく、現在の症状の有無と超加工食品の摂取に関連性があることが示されたものだ。

乾癬などの自己免疫疾患は免疫系の過剰反応によって引き起こされ、炎症は症状の一部である。超加工食品が炎症を引き起こす原因と考えられているように、体内の炎症を促進する食品は、多くの症状を助長させる可能性がある。

「超加工食品」の正確な定義に関しては専門家の間では意見が分かれているが、最も一般的な定義は、家庭料理では使用できないような成分や方法を使用して製造された食品とされる。これには、膨張剤、増粘剤(ぞうねんざい)、乳化剤、化学添加物、防腐剤などが含まれる。

包装スナック、砂糖入り飲料、ファストフード、加工済みの食事などは、精製された糖分、不健康な脂肪、人工添加物が豊富に含まれているため、血糖値を上昇させ、腸の健康にダメージを与え、体内の炎症レベルを上昇させるなど、乾癬にとって大きな懸念があるとハミルトン氏は述べる。

 

したがって超加工食品を減らし、抗炎症効果のある栄養豊富な食事を優先することで、かなりの改善が見られる可能性があるという。

鮭やサバのような「オメガ3脂肪酸」が豊富に含まれる魚、ナッツや種子。そしてベリー、ブロッコリー、カリフラワーなど、色の鮮やかな果物や葉物野菜に含まれる抗酸化物質の摂取することを推奨する。

さらに、ギリシャヨーグルト、骨スープ(ボーンブロス)、煮リンゴなどの「腸をサポートする食品」も重要で、これらが免疫システムを支え、腸と血流の間のバリアを保護する役割を果たすと説明する。

「私の患者の多くは、オメガ3脂肪酸や抗酸化物質が豊富な食品を中心とした食事にし、消化器官の健康を改善することで、乾癬の再発が減り、目に見える形で肌の改善が見られました」とハミルトン氏は述べる。

【参考文献】
Penso, L., Touvier, M., Srour, B., Ezzedine, K., Sbidian, E. (2024). Ultraprocessed Food Intake and Psoriasis, JAMA Dermatology.

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