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夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊」の基地で発生した大爆発を捉えた映像にSNSでは憶測も

ニューズウィーク日本版 2024年12月25日 18時2分

マヤ・メーララ
<ロシア軍の北極圏における要所の海軍基地が2度にわたり大爆発。一体何があったのか?>

ロシアの北極圏海軍基地付近で12月19日夜、2度の大きな爆発があった。ロシアの独立系メディア「アゲンツトヴァ(Agentstvo)」のテレグラム投稿によると、何がどう爆発したのかは不明だが、この爆発をめぐってネット上ではさまざまな説が飛び交っている。

【動画】夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...北極圏の要所「ロシア海軍基地」で発生した大爆発を捉えた映像

ロシア北西部のムルマンスク市とサフォノボ市、およびセベロモルスクの街では住民が爆発の威力を感じたと伝えている。爆発が起きた場所は、セベロモルスクにあるロシア北方艦隊の主要海軍基地と、軍の2つの飛行場に近かった。

本誌はロシア国防省とウクライナ国防省に業務時間外の電子メールでコメントを求めている。

この爆発は重大だ。何が爆発したのか、どう発生したのかは不明だが、周辺にはロシアの重要な軍事施設があり、セベロモルスクの基地は「北極圏のロシアの軍事力の中心地」だとウクライナのメディア「ミリタルヌイ(Militarnyi)」は伝えている。

もしウクライナがそうした軍の施設を攻撃し、爆発によって装備を破壊したとすれば、ロシアに大量の兵器と装備を失わせ、修理のために莫大な費用を発生させたことになる。

ノルウェーのオンラインメディア「バレンツ・オブザーバー(Barents Observer)」は爆発の映像から、ロシアの戦闘機や爆撃機、Ka-27ヘリコプター部隊の基地がある軍事飛行場のセベロモルスク1(Severomorsk-1 military airfield)から13キロの距離で爆発が起きたと判断した。

近隣にはほかにも、爆発から11キロの地点に屋外武器庫があるほか、移動式対空ミサイルや電子戦争用アンテナの施設が複数ある。現在は閉鎖されて改修が行われているセベロモルスク2飛行場(Severomorsk-2)からも近い。

一部には、弾薬に火が付いて爆発が大きくなったとの憶測もある。軍事アナリストのヤン・マトヴェーエフ(Yan Matveyev)は「弾薬の廃棄中、あるいは採掘を利用した破壊工作」に関連して爆発が起きた可能性があるとアゲンツトヴァに語った。

爆発の原因は依然として不明だが、マトヴェーエフは無人機が使われた可能性も否定しなかった。ただし映像の中の爆発は、通常ドローンが使われた場合の爆発とは一致しないといい、「普通であれば、ドローンが飛来して火災が発生し、続いて弾薬が爆発する。だが今回は火災がなかった。

しかし、もし弾薬が路上にあった場合、すぐに爆発した可能性もある」とマトヴェーエフは言う。

セベロモルスクの街はウクライナとの国境から1900キロの距離にある。

ロシアの北極圏海軍基地が攻撃されて間もなく、ロシアもウクライナの首都に向けてミサイルを連続発射し、弾道ミサイル5発とロシアの無人機40機が撃墜された。

偽情報対策センター所長の見解は?

ウクライナ偽情報対策センターのアンドリー・コバレンコ所長(Andriy Kovalenko)は、今回の爆発場所の重要性についてテレグラムにこう書き込んだ。

「ムルマンスクにあるロシア連邦北方艦隊の基地近くで爆発。この基地は、北極海航路と北極海へのアクセスを制御する能力をロシア連邦に与え、水上艦と原子力潜水艦の両方を支えている」

「ムルマンスクには司令部、弾薬庫、修理ドック、艦隊司令部がある。ジルコンミサイル(Zircon missiles)などのテストもここで行われる。ムルマンスクからウクライナまでの直線距離は約2000キロ。北方艦隊の艦船は、ロシアが戦争中にウクライナ領内で発射したカリブルミサイル(Kalibr missiles)を運搬している。ロシア連邦の北方艦隊は偵察活動も行い、北極圏を視野にNATO軍に対抗している」

ウクライナが北極圏海軍基地に対する攻撃に使った兵器によっては、特にもし長距離兵器だった場合、戦争の進展をエスカレートさせる可能性もある。

(翻訳:鈴木聖子)

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