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アメリカを虜にした「クセ強め人間」に捧げるラブレター...「生き字引」ジム・オヘアが語る『パークス』の裏側

ニューズウィーク日本版 2025年1月9日 14時9分

ライアン・スミス(本誌エンターテインメント担当)
<総話数126話──大人気ご長寿コメディー『パークス・アンド・レクリエーション』のジム・オヘアが作品への感謝を込めて回想録を出版、続編への期待も?>

人気ドラマ『パークス・アンド・レクリエーション(Parks and Recreation)』が帰ってくるかもしれない。少なくともキャストは「絶対に」その気だと、出演者の1人ジム・オヘア(Jim O'Heir、62)は語る。

2009〜15年にNBCで放映された『パークス』は、インディアナ州の架空の町パーニーが舞台のコメディー。オヘアをはじめ、エイミー・ポーラー、クリス・プラット、オーブリー・プラザ、ロブ・ロウ、ラシダ・ジョーンズ、アジズ・アンサリ、ニック・オファーマン、レタ、アダム・スコットら豪華キャストが集結し、町の公園緑地課の職員と住民の人間模様を描いた。

40 Minutes of the BEST Parks and Rec Cold Opens | Parks and Recreation

新型コロナウイルスが猛威を振るった20年には、ソーシャルディスタンスをテーマに単発のスペシャル番組が放映された。以来ファンは、パーニーの町の風変わりで愛すべき面々に再会できる日を待ちわびている。

キャストは続編に前向きだと、オヘアは言う。

「(クリエーターの)マイケル・シュアーは前から『伝えるべき物語と意義がない限り、再始動はない』という立場で、コロナ禍の中では意義があった。恵まれない人々に食料を提供するフードバンクのために寄付を募るのが、スペシャル番組の目的だったから。シュアーから出演を打診されると、僕らはみんな45分以内に『了解』とメールを返した」

では続編を期待していいのだろうか。「具体的な話はないんだ」と言うオヘアは、公園緑地課のベテラン職員ジェリーを演じた。

「でも出演者はあちこちのインタビューで、復活するなら『絶対に出る』と公言している。出演者同士でそういう話もしている。いいストーリーがあれば、きっとみんな戻ってくる」

キャストの中には大出世した俳優もいる。「クリス・プラット(Chris Pratt)は今じゃ世界的スターだ。それでも『パークス』のためならスケジュールを調整するそうだよ」

オヘアも17年に『ザ・ボールド・アンド・ビューティフル(The Bold and the Beautiful)』でデイタイム・エミー賞を受賞した。「今の自分があるのは『パークス』のおかげだと、みんなありがたく思っている」

The Bold and the Beautiful 7834 - Official Full Episode

全話に出演した生き字引

オヘアがドラマを再始動するとしたら、どんな物語になるのだろう。

「15年の最終話で、ジェリーは100歳で死んだ。名前が間違って刻まれた墓石を、レスリー(ポーラー)とベン(スコット)が見下ろしてたよね。何だかすごいことになっているらしく、葬儀にはシークレットサービスもいた。だから前日譚になるが、誰かが議員とか大統領に立候補するのもいい。いつものようにみんなで選挙活動に協力する様子を見てみたい。全2〜3話の特番にはよさそうだ」

シリーズ全126話に出演したオヘアは、『パークス』の生き字引。番組に関する本を書くには適任だろう。

オヘアは昨年11月に回想録『パーニーへようこそ──友情とワッフルと「パークス・アンド・レクリエーション」の物語(Welcome to Pawnee: Stories of Friendship, Waffles, and Parks and Recreation)』(ウィリアム・モロー社刊)を出版した。

番組の裏話を披露しつつ、半生を振り返る内容だ(ジェリーの妻に扮したスーパーモデル、クリスティ・ブリンクリーとの共演エピソードも楽しめる)。

執筆にはシュアーと共同クリエーターのグレッグ・ダニエルズ、出演陣も協力した。

「本を書くのは僕のアイデアではなかった」と、オヘアは言う。「僕の代理人を通して、出版エージェントから話が来たんだ」

最初は二の足を踏んだ。打ち合わせでも「書きたいことはあるし、経験もある。でも人は僕のストーリーに興味を持つだろうか」と不安を打ち明けた。だが話し始めて数分で、エージェントに「大丈夫、もう本は完成したも同然です」と言われたという。

「あのドラマと共演者とスタッフとプロデューサーと脚本家を、僕はどうしようもなく愛していて、ついそんな気持ちがあふれ出る」と、オヘアは語る。「『パークス』のことになると、話が止まらなくなるんだ。何しろ全話の現場に居合わせたからね」

人生を変えてくれた作品

シュアー、ダニエルズ、主演兼制作のポーラーはオヘアこそ執筆に「うってつけ」だと言い、出版にゴーサインを出した。

オヘアが制作陣や共演者に取材すると、「初耳の話が出てきた」という。「それがこの本の魅力。今まで知られていなかったことをファンに伝えられる。この僕が知らなかったくらいだから、誰も知らないはずだ。マイケルとグレッグは特ダネを提供し、誕生秘話を聞かせてくれた」

回想録では、ほかの現場も振り返った。

「『パークス』の出演者とスタッフからは愛情だけを感じてきたから、そうしたエピソードをつづった。僕は芸歴が長いから、よそで共演した人たちとの思い出もある。ジェームズ・スペイダーやキャロル・バーネットやディック・バン・ダイクとのエピソードは楽しんでもらえると思う」

『パーニーへようこそ』を「『パークス』へのラブレター」と呼ぶオヘアには、ほかに『天才少年マルコム奮闘記』や『ベター・コール・ソウル』などの出演作がある。

「『パークス』には本当に感謝している。人生を変えてくれたのだから。その前も仕事には恵まれていたけれど、単発のゲスト出演が多かった。パイロット版がお蔵入りになったり、ドラマが短期間で打ち切りになったりもした。そこへ『パークス』の話をもらって、景色ががらりと変わったんだ」

40秒で振り返る『パークス・アンド・レクリエーション』名シーン

40 Minutes of the BEST Parks and Rec Cold Opens | Parks and Recreation

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