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結婚式ゲストの「ルール違反」に、カメラマンが介入...「すべての写真に写り込んでいる」

ニューズウィーク日本版 2025年1月12日 13時5分

ジャック・ベレスフォード
<結婚式という一生の思い出をどういう形で写真に残すか。新郎新婦にとっての一大事を台無しにしかねない行為をめぐり、映像を見た人たちの意見は分かれている>

幸せなカップルの「アンプラグドな結婚式(招待客に写真撮影を控えるよう依頼した結婚式)」で、あるゲストの行動に介入したウェディングフォトグラファーの振る舞いが、ネット上で議論を呼んでいる。その様子は映像で残されており、ルールを守らなかったゲストが悪いのか、カメラマンがお節介なのか、見た人の意見は分かれている。

■【動画】思い出のシーンを「台無し」にする...結婚式でカメラマンが「ゲストに取った行動」を捉えた映像

結婚する多くの人にとって、写真は重要な検討事項になっている。ウェディング計画サイト「ザ・ノット(The Knot)」が米国のカップル1万組を対象に実施した調査によれば、2023年には結婚する人の89%が、記念すべき日のためにフォトグラファーを雇い、その平均費用は2900ドルにのぼったという。

そうした出費を考えれば、結婚式を「アンプラグド」にする、つまり、招待客に対して、各自のスマートフォンで写真を撮らないよう要請するカップルが多いのは無理もない話かもしれない。

しかし、残念ながらそうした要請は無視されることが珍しくない。ウェディングフォトグラファーのジョシュア・ハジェット(Joshua Huggett)も、そう証言する。

ルールに気付かない人、1枚くらいなら大丈夫と思う人

「アンプラグド結婚式には大賛成だ。というのも、そのほうが招待客も結婚式に身が入るし、自分の目できちんと見ることができるからだ」とハジェットは本誌に話した。「スマホの画面に集中して写真を撮り、その後はその写真をろくろく見もしないという行為に、わたしたちは人生のあまりにも多くの時間を費やしている。アンプラグド結婚式であれば、人はその瞬間に現場で起きていることに注意を向けるようになる」

ハジェットは、フォトグラファーとしての美意識という点でも、結婚式でのスマートフォン使用に断固として反対している。「最初のキスの最中に参列者席で光る誰かのスマホなんて、これほどありがたくないものはない」

南オーストラリア州アデレードを拠点とするハジェットによれば、残念なことに、「アンプラグド結婚式のたびに、その日の大切な瞬間に写真を撮ろうとする人の問題が起きる」という。「フォトグラファーとしては、写真に写り込んでしまうスマホをどうやって取り繕い、隠すか。その点で創造性を発揮しようと努めることが仕事になっている」

ハジェットも、そうした行動に悪意があるとは思っていない。単に招待客がルールに気付いていないだけのこともあるし、自分用にさっと1枚撮るくらいなら大丈夫だと思っていることもある。「たいていの人は、スマホを掲げて1枚撮ってから、気づかれずにすんだと思いながらスマホをおろす」とハジェットは言う。「よいことではないが、世界最低の悪行というほどではない」

「どの写真にも写り込んでしまいます」

とはいえ、介入せざるをえないと感じたこともある。アデレードで行われたある結婚式で、ハジェットが幸福なカップルを撮影している時に、通路のそばに座っていたある女性がスマートフォンを掲げるのが目に入ったときのことだ。

「そのときはアンプラグド結婚式で、式の司祭者がスマホを使わないよう発言もしていた。式のあいだはスマホ使用をお控えください、と告げる掲示もあった」とハジェットは説明した。

「その女性は、式のさなかに通路に身を乗り出し、通路を歩いてくる新郎新婦を写真に撮っていた。

「何回かは大目に見た」が、幸福なカップルの最初のキスが刻一刻と迫るなか、大切なシャッターチャンスを台無しにされなくなかったハジェットは、さっと女性に近寄り、こう頼んだという。「スマホをおろしていただけませんか? どの写真にも写り込んでしまいますので」

その瞬間はハジェットのカメラにとらえられ、のちに彼のTikTokアカウント(@imjoshhuggett)にアップされた。動画には、こんなことを問うキャプションが添えられている。「まちがっているのは誰?」ハジェットによれば、この動画を公開したのは、「人々に対して、こうした行動はよくないと啓蒙」し、花嫁と花婿の要望どおりにルールが守られるように自分が努めていることを示すためだったという。

ハジェットの映像を見た人たちからは賛否両論

ふたを開けてみると、ハジェットの行動は賛否両論だった。ハジェットの介入を断固支持する人たちもいた。「あなたは正しい。それに、礼儀正しい」とあるTikTokユーザーはコメントし、別のユーザーはこう付け加えた。「わたしだったら、あのスマホをとりあげる全権をあなたに与える」

それほど確信をもてない人たちもいて、あるユーザーは次のようにコメントした。「このフォトグラファーは身のほど知らずだと思う。ほかの人に対して、写真を撮るなと命令する立場にはない」別のユーザーはこう述べている。「わたしは、自分が写真を撮りたければそうする。雇われた助手なんて相手にしない」

ハジェットは、動画に対する意見が割れていることに驚いてはいないが、自分の行動は正しいと考えている。「スマホはしまってほしい。そんなにたいそうなことじゃない。写真の出来だって、いいわけがない。彼らが通路を歩く場面の写真がどうしてもほしいなら、フォトグラファーに頼めばいい。提供しますから」とハジェットは話した。
(翻訳:ガリレオ)



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