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フォートナイトCEO、ビッグテックの「トランプ迎合」を痛烈批判...「消費者搾取と競合排除が目的」と警鐘

ニューズウィーク日本版 2025年1月17日 17時20分

フリン・ニコルズ
<エピック・ゲームズCEOが、ビッグテック各社のトランプ寄りの動きを「卑劣な独占キャンペーン」と非難した>

人気ゲーム「フォートナイト」の親会社、米エピック・ゲームズのティム・スウィーニーCEOが、政治的立場を翻したビッグテック経営陣について、ドナルド・トランプ大統領の「ご機嫌取り」と揶揄した。

スウィーニーは1月10日、シリコンバレーで最も強大な経営者らが次期政権と共に「卑劣な独占キャンペーン」を推し進める目的で、政治的にMEGA運動寄りの姿勢を装うだろうとX(旧Twitter)にポストした。

本誌はエピック・ゲームズ、メタ、グーグル、アップル、アマゾン、オープンAI、テスラの各社とトランプ政権移行チームに電子メールでコメントを求めた。

アマゾン、アップル、オープンAI、フェイスブックとインスタグラムを運営するメタ、そしてグーグル親会社のアルファベットを含め、昨年の大統領選挙前はトランプ支持を表明していなかったビッグテック各社のCEOは、トランプが勝利すると次々にトランプに寄付したり面会したりしている。

イーロン・マスクやピーター・ティールなどトランプに与する右派のビッグテック経営者は、規制緩和やビッグテックに有利な政策へと軸足を移す可能性を示唆している。

スウィーニーはこうしたCEOらの行動について、心からの政治的忠誠ではなく、自分たちの会社の目的を達成する狙いでひねくれた行動をしているにすぎないと見る。

「何年も民主党のふりをしていたビッグテックのリーダーが、今度は共和党のふりをしている。新政権のご機嫌を取るために。競争法をないがしろにする卑劣な独占キャンペーンに気をつけろ。彼らは消費者から搾取して競争相手を押し潰す」。スウィーニーはXにそう記している。

スウィーニーは以前から、ビッグテックのやり方を独占的とみなして批判してきた。2023年にはグーグルを相手取った訴訟で、アプリストアの「Google Play」は違法な独占に当たると裁判所が判断し、エピック・ゲームズが勝訴した。

ジョー・バイデン政権下では政府がビッグテック規制を試み、アマゾン、グーグル、メタを反トラスト法違反で訴えた。そうした各社のCEOは、トランプが自分たちの利益にもっと寄り添ってくれることを期待しているのかもしれない。

Xを経営する世界一裕福な男マスクはトランプ政権入りして規制緩和と政府支出削減を担う新組織を率いる。政府効率化省(DOGE)のトップに起用されたマスクは、2024年大統領選挙で陣営に2億7700万ドル寄付するなど、突出したトランプ支持者だった。

政府の大型事業を受注しているマスクに対しては、自分と自分の会社の富をさらに増やす狙いでトランプ政権における影響力を行使する可能性があると批判する声もある。

ジョージ―ワシントン大学のケイシー・バーガット教授(政治学)は本誌にこう語った。

「(アマゾン創業者のジェフ・)ベゾスや(メタCEOのマーク・)ザッカーバーグといったビッグテックリーダーは、自分たちのビジネスモデルを公然と脅かしてきた政府と良好な関係を保ちながら、法規制による取り締まりの可能性を低減するという微妙なバランスを取りながら行動している」

トランプ・バンス政権移行チームのブライアン・ヒューズ報道官は、「2期目のトランプ大統領は、イーロン・マスクのような業界のリーダーに囲まれて、イノベーションの復興、規制緩和、言論の自由の謳歌に取り組んでいる」と本誌にコメントした。

トランプが就任する1月20日は、政権とビッグテックが協調する新時代の幕開けとなる。

マスクは規制を減らして政府機関の運営を合理化する計画を打ち出した。そうした変化が競争やイノベーションにどう影響するかについては疑問も浮上している。

(翻訳:鈴木聖子)

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