ナタリー・ベネガス
<スティーブ・バノン氏が1月19日、次期大統領ドナルド・トランプ氏の2期目を前に、歴史に残る「トランプ時代」について自身の予測を語った>
有名な右翼系ポッドキャスターであるスティーブ・バノン氏は1月19日、次期米大統領ドナルド・トランプの2期目に先立ち、政治における「トランプ時代」に関して歴史に残る点を2つ予測した。バノン氏は、1期目のトランプ政権で主席戦略官を務めた人物だ。
バノン氏はどんな人物か
バノン氏は、忠実なトランプ支持者として、2016年の大統領選挙戦で重要な役割を果たし、1期目の初期に首席戦略官を務めた人物だ。筋金入りのポピュリスト、かつ国家主義的な政策の支持者として知られており、政権入りする前から2018年までは、米右派オンライメディア「ブライトバート・ニュース」の会長を務めていた。
2017年にトランプ政権を去ったあとも、右翼メディアでの発言力は衰えず、ポッドキャスト「Bannon's War Room」を立ち上げ、トランプ氏が推進する「MAGA(Make America Great Again:米国を再び偉大にする)」を支持し続けている。メディア活動を再開したのは、2024年10月に刑期を終えて出所したあとだ。バノン氏は、2021年1月6日に起きた米議会襲撃事件を調査する下院特別委員会から召喚状が発行されたにもかかわらず、これに応じず、議会侮辱罪で起訴され、有罪判決を受けて服役した。
トランプ氏は、1月20日の大統領就任に向けて準備を進めているが、トランプ批判派からの反発は止んでいない。次期政権で、強硬な移民対策をはじめとする、異論の多い政策を実施しようとしているからだ。
トランプ2期目はどうなるのか?
バノン氏は1月19日、米ABCニュースの政治討論番組「ジス・ウィーク」に出演し、司会者ジョナサン・カールのインタビューに応じた。そして、トランプ政権について長く歴史に残ることになるであろう点を2つ予想した。
「歴史が記されるとき、自分やイーロン・マスク氏、タッカー・カールソン氏(元FOXニュース司会者でトランプの盟友)は皆かき消され、脚注で言及される程度のささいな扱いを受けることになるだろう。歴史に残るのは2つのことだ。元下院議長のナンシー・ペロシ氏や、民主党の上院院内総務チャック・シューマー氏も忘れ去られる。のちのちまで残るのは2つのこと。それは、トランプ氏とMAGA運動だ。これが米国の政治を変えつつある」とバノン氏は語った。
「私がもう何年も前から言ってきたように、米国の政治は、最終的にはポピュリズムの異なる2つのバージョンが存在する場になるだろう。まずはアメリカ・ファースト(米国第一主義)。トランプ氏が作り上げてきた、ポピュリズムによるナショナリズムだ。もうひとつは、なんらかのかたちの、ポピュリズムによるグローバリズム。左派が結集して作り上げようとしているように思えるものだ」
バノン氏は先ごろ、元ボスのトランプ氏が大統領に返り咲いて最初の48時間に実行するであろう攻撃的な計画について、考えを述べていた。
バノン氏は2023年12月、トランプ氏の長男ドナルド・トランプ・ジュニア氏が司会を務めるポッドキャスト「Triggered」に出演した際、大量の大統領令の発令、不法移民に関する大規模な国外退去、そしてワシントンの議員たちとの直接対決を含む一連の計画について語った。
「ホーマン氏とミラー氏がすべてを取り仕切ると思う」と、バノン氏は述べた。トランプ氏が「ボーダー・ツァー(国境皇帝)」と呼んで国境管理統括担当者に指名したトム・ホーマン氏と、大統領次席補佐官に任命したスティーブン・ミラー氏のことだ。「(移民問題に関しては)50本から60本の大統領令を適用する。経済関連の大統領令も発令されると思う。すぐさまそうするだろう。大統領令で、あらゆることが即刻指令される。以上だ」
大統領選でトランプ氏が勝利してからというもの、多くの批評家がトランプ氏は民主主義を脅かす存在だと警告し、就任後のトランプ氏の動きについて懸念を表明してきた。とりわけ危惧されているのは、トランプ氏の基本方針と移民の大量強制送還を巡る計画だ。
2期目の行方を予測している人はほかにもいる。たとえば、トランプ政権1期目で安全保障政策担当大統領補佐官を務めたジョン・ボルトン氏もその1人だ。
ボルトン氏は、英LBCラジオの司会者ルイス・グッダル氏のインタビューで、トランプ政権の1期目と2期目の違いについて質問を受け、こう答えた。
「2期目も、(1期目と同じく)混乱することになると思う。それがトランプ流のやり方だからだ。中国に60%の関税を課すと言ったかと思えば、今度はメキシコ湾をアメリカ湾に改名すると言い出す。次は、紛争をやめさせようとして、イスラエル政府に対してガザでの停戦に同意するよう迫っているが、これはバイデン氏が7カ月も前から取り組んできたことだ。(中略)というわけで、トランプ政権は大荒れになるだろう。国内政策についても多くの点で同じことが繰り返されることになると思う。何しろトランプ氏には、大統領という職務に必要な規律が欠けているのだから」とボルトンは語った。
(翻訳:ガリレオ)
<スティーブ・バノン氏が1月19日、次期大統領ドナルド・トランプ氏の2期目を前に、歴史に残る「トランプ時代」について自身の予測を語った>
有名な右翼系ポッドキャスターであるスティーブ・バノン氏は1月19日、次期米大統領ドナルド・トランプの2期目に先立ち、政治における「トランプ時代」に関して歴史に残る点を2つ予測した。バノン氏は、1期目のトランプ政権で主席戦略官を務めた人物だ。
バノン氏はどんな人物か
バノン氏は、忠実なトランプ支持者として、2016年の大統領選挙戦で重要な役割を果たし、1期目の初期に首席戦略官を務めた人物だ。筋金入りのポピュリスト、かつ国家主義的な政策の支持者として知られており、政権入りする前から2018年までは、米右派オンライメディア「ブライトバート・ニュース」の会長を務めていた。
2017年にトランプ政権を去ったあとも、右翼メディアでの発言力は衰えず、ポッドキャスト「Bannon's War Room」を立ち上げ、トランプ氏が推進する「MAGA(Make America Great Again:米国を再び偉大にする)」を支持し続けている。メディア活動を再開したのは、2024年10月に刑期を終えて出所したあとだ。バノン氏は、2021年1月6日に起きた米議会襲撃事件を調査する下院特別委員会から召喚状が発行されたにもかかわらず、これに応じず、議会侮辱罪で起訴され、有罪判決を受けて服役した。
トランプ氏は、1月20日の大統領就任に向けて準備を進めているが、トランプ批判派からの反発は止んでいない。次期政権で、強硬な移民対策をはじめとする、異論の多い政策を実施しようとしているからだ。
トランプ2期目はどうなるのか?
バノン氏は1月19日、米ABCニュースの政治討論番組「ジス・ウィーク」に出演し、司会者ジョナサン・カールのインタビューに応じた。そして、トランプ政権について長く歴史に残ることになるであろう点を2つ予想した。
「歴史が記されるとき、自分やイーロン・マスク氏、タッカー・カールソン氏(元FOXニュース司会者でトランプの盟友)は皆かき消され、脚注で言及される程度のささいな扱いを受けることになるだろう。歴史に残るのは2つのことだ。元下院議長のナンシー・ペロシ氏や、民主党の上院院内総務チャック・シューマー氏も忘れ去られる。のちのちまで残るのは2つのこと。それは、トランプ氏とMAGA運動だ。これが米国の政治を変えつつある」とバノン氏は語った。
「私がもう何年も前から言ってきたように、米国の政治は、最終的にはポピュリズムの異なる2つのバージョンが存在する場になるだろう。まずはアメリカ・ファースト(米国第一主義)。トランプ氏が作り上げてきた、ポピュリズムによるナショナリズムだ。もうひとつは、なんらかのかたちの、ポピュリズムによるグローバリズム。左派が結集して作り上げようとしているように思えるものだ」
バノン氏は先ごろ、元ボスのトランプ氏が大統領に返り咲いて最初の48時間に実行するであろう攻撃的な計画について、考えを述べていた。
バノン氏は2023年12月、トランプ氏の長男ドナルド・トランプ・ジュニア氏が司会を務めるポッドキャスト「Triggered」に出演した際、大量の大統領令の発令、不法移民に関する大規模な国外退去、そしてワシントンの議員たちとの直接対決を含む一連の計画について語った。
「ホーマン氏とミラー氏がすべてを取り仕切ると思う」と、バノン氏は述べた。トランプ氏が「ボーダー・ツァー(国境皇帝)」と呼んで国境管理統括担当者に指名したトム・ホーマン氏と、大統領次席補佐官に任命したスティーブン・ミラー氏のことだ。「(移民問題に関しては)50本から60本の大統領令を適用する。経済関連の大統領令も発令されると思う。すぐさまそうするだろう。大統領令で、あらゆることが即刻指令される。以上だ」
大統領選でトランプ氏が勝利してからというもの、多くの批評家がトランプ氏は民主主義を脅かす存在だと警告し、就任後のトランプ氏の動きについて懸念を表明してきた。とりわけ危惧されているのは、トランプ氏の基本方針と移民の大量強制送還を巡る計画だ。
2期目の行方を予測している人はほかにもいる。たとえば、トランプ政権1期目で安全保障政策担当大統領補佐官を務めたジョン・ボルトン氏もその1人だ。
ボルトン氏は、英LBCラジオの司会者ルイス・グッダル氏のインタビューで、トランプ政権の1期目と2期目の違いについて質問を受け、こう答えた。
「2期目も、(1期目と同じく)混乱することになると思う。それがトランプ流のやり方だからだ。中国に60%の関税を課すと言ったかと思えば、今度はメキシコ湾をアメリカ湾に改名すると言い出す。次は、紛争をやめさせようとして、イスラエル政府に対してガザでの停戦に同意するよう迫っているが、これはバイデン氏が7カ月も前から取り組んできたことだ。(中略)というわけで、トランプ政権は大荒れになるだろう。国内政策についても多くの点で同じことが繰り返されることになると思う。何しろトランプ氏には、大統領という職務に必要な規律が欠けているのだから」とボルトンは語った。
(翻訳:ガリレオ)