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「隠れ場所はない」トランプ政権、教会や学校での移民逮捕を可能に...「避難所消滅の危機」と支援団体が警鐘

ニューズウィーク日本版 2025年1月22日 15時30分

ゲイブ・ウィズナント
<この政策変更により、移民たちが教育や医療を安心して受ける環境が脅かされる恐れがあり、移民支援団体から強い反発を招いている>

ドナルド・トランプ新政権は、学校、教会、病院といった「保護地域(Sensitive Location)」での移民の逮捕を制限してきた長年の政策を撤回した。

この新たな方針は1月21日に発表され、これまで制限されていた場所での移民の逮捕を連邦移民局の職員に許可することを目的としている。このガイドラインは10年以上前に導入されたもので、今回の変更によりその適用が終了する形となる。

この政策変更は、国土安全保障省のベンジャミン・ハフマン長官代行の声明と共に発表された。2011年に移民税関捜査局(ICE)が、また2013年には税関・国境取締局(CBP)が定めた保護措置を撤廃する内容となっている。この動きは、移民法を強力に執行し、大規模な強制送還を推進するというトランプ大統領の選挙公約を実現するための広範な計画の一環である。

トランプ大統領は、この変更により犯罪者が「保護地域」を避難所として利用することを防ぎ、ICEやCBPの職員がその職務をより効率的に遂行できるようになると強調している。

この方針転換により、移民支援団体は懸念を示している。彼らは、医療や子どもたちの教育といった不可欠なサービスを求めることを、書類上の問題を抱えた移民たちがためらう可能性があると主張している。

トランプ氏の初任期中、彼は保護地域に関するガイドラインを維持したものの、裁判所での移民の取締りを制限する類似の保護措置を撤廃した。その後、バイデン政権はこれらのガイドラインを復活させ、さらに拡大する形でICEやCBPの活動範囲を制限した。しかし、今回のトランプ氏の決定はこれらの取り組みを無効化し、学校や教会での移民の取締りを再び可能にしている。

全国の学校や教会では、移民コミュニティを守ることへの強い姿勢を示している。例えば、カリフォルニア州のフレズノ統一学区は、裁判所の命令がない限り、学校敷地内での移民取締りを許可しない方針を再確認した。同様に、シカゴ公立学区も、犯罪令状がない限りICE職員の学校立ち入りを認めないという決議を可決している。

歴史的に、教会はICEの逮捕を避ける移民たちにとって「避難所」として機能してきた。チャーチ・ワールドサービスによると、トランプ氏が2017年に大統領に就任して以来、少なくとも51件の事例で、個人が教会に避難していることが確認されている。

国土安全保障省は1月21日の声明で以下のように述べている。

「この行動により、CBPやICEの勇敢な職員たちは、我が国の移民法を執行し、殺人犯や強姦犯といった犯罪外国人を逮捕する力を得た。犯罪者たちは、逮捕を避けるためにアメリカの学校や教会に隠れることができなくなるだろう」

一方で、法と社会政策研究センター(CLASP:Center for Law and Social Policy)の暫定事務局長であるオリビア・ゴールデン氏は、AP通信に対し次のように述べた。

「この措置は、移民家族やその子どもたち、特にアメリカ市民である子どもたちに壊滅的な影響を与える可能性があります。医療を受けること、災害救援を求めること、学校に通うこと、日常の活動を行うことをためらわせるでしょう」

「こうした場所付近でのICEの存在が日常化すれば、子どもたちが親の拘束や逮捕、ICE職員との遭遇を目撃する可能性も高まります。」

1月20日、トランプ氏は一連の大統領令に署名した。その内容には、何十万人もの移民が入国する手助けをしてきたアプリの利用停止、難民プログラムの一時停止、ICEと地方自治体・州政府間の協力強化が含まれている。

国内の多くの学校では、移民家庭や地元の法執行機関と連携し、この状況への備えを進めている。

カリフォルニアでは、州法が移民取締りへの地元関与を制限していることについて、学校に対して指導が行われている。

11月、シカゴ公立学校の教育委員会は、学校が移民法の執行に協力しないという決議を採択した。この決議によれば、犯罪令状がない限り、ICE職員が学校に立ち入ることは許可されない。

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