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「検閲が史上最悪に...」TikTokが反トランプ動画を制限? SNSで議論広がる

ニューズウィーク日本版 2025年1月23日 11時0分

マルニ・ローズ・マクフォール
<アメリカでのサービス再開後も、TikTokが反トランプ動画を制限しているとの声がSNSで相次いでいる。ユーザーの投稿には具体的な証拠とされるスクリーンショットも添えられており、その信憑性をめぐる議論が加熱している>

動画共有アプリのTikTokが反トランプのコンテンツをブロックしていると主張する投稿が、SNSで拡散している。

本誌はTikTokに対して営業時間外に電子メールでコメントを求めるとともに、SNSアカウントのKarl MaxxedとDustin GenereuxおよびTruth MattersにはX(旧Twitter)経由で、Damien Dreadには電子メールでそれぞれコメントを求めた。

中国系のアプリTikTokは、国家安全保障上の懸念を理由とする禁止法が1月18日に発効し、アメリカでは使用できなくなった。

しかし、自分が就任すれば禁止法の施行を猶予する大統領令を出すとトランプが言明したことで、間もなくアメリカのユーザー1億7000万人に対するサービスが再開された。ただし、アプリストアでは入手できないと伝えられている。

ユーザーの主張によれば、TikTokではトランプ大統領に関する特定のコンテンツがブロックされるようになった。

本稿掲載時で450万回閲覧されていたXの投稿は、「TikTokは今、地域制限をかけてアメリカ人が『ファシズム』『トランプ不正選挙』などを検索できないようにしている」と主張する。

この投稿にはTikTokアプリのスクリーンショットが2枚添えられている。いずれも「Donald Trump rigged election(ドナルド・トランプが選挙で不正)」という用語の検索結果。投稿によれば、「左はアメリカの端末で検索した結果、右はイギリスの端末で検索した結果」で、左の画面には「一致する結果はありません」と表示され、右の画面にはトランプ大統領の動画2本が表示されている。

TikTok is now region locking Americans from looking up things like "fascism" and "Donald Trump rigged election"on the left are results from a device in America, and on the right are results from one in the UK. pic.twitter.com/k8pTlkftZp— Karl Max (@KarlMaxxed) January 20, 2025

こうした主張の信憑性を本誌独自に検証することはできなかった。

TikTokの広報は本誌の取材に対し、ポリシーやアルゴリズムは変更していないと述べ、現在はアメリカのサービスを通常に戻すよう努めていると説明。復旧させる間は一時的に不安定になって、一部の機能やアプリの利用に影響が出るかもしれないと言い添えた。

それでも尽きない「検閲された」の声

それでも反トランプのコンテンツをTikTokに検閲されたとSNSで訴えるユーザーは多い。

Damien Dreadというアカウントは、「新しいTikTokでこんなエラーが出た人はほかにいる? 自分は反トランス政策を理由にトランプを批判する動画をリポストしようとすると、インターネット接続がありませんと言われる。間違いなく接続していて問題なくスクロールできるのに...」と投稿。「インターネット接続がありません」と表示されたTikTokのスクリーンショットも添えた。

So.. uh.. anyone else getting this error on the New TikTok? I'm trying to repost a video criticizing Trump for his anti trans political agenda and it's claiming I am not connected to the internet even though I'm clearly connected and can scroll with no issues... pic.twitter.com/9acFRLuFrk— Damien Dread | VHorrorS (@DamienDreadVT) January 20, 2025

別のアカウントのTruth Mattersは言う。「TikTokがアメリカで暗黒になった時に何が起きたのか知らないが、TikTokは暗黒面への越えてはならない一線を飛び越えたらしい。抵抗者のコンテンツは引き抜かれ、過度な反トランプに対するアルゴリズムが生きているようだ」

Truth Mattersが投稿したTikTok動画では、カメラに向かって話しかける男性が、TikTokアプリに掲載したトランプ大統領に批判的な自分の動画はTikTokが禁止になって以降、以前のような視聴数も反響もなくなったと語っていた。

男性はさらに、親トランプ大統領のコンテンツが表示されることが大幅に増えたとも話している。

別のアカウントのDustin Genereuxは、「TikTokの検閲が史上最悪になり、アカウントが削除されて何年も前の投稿にフラグが付き、反トランプ、MAGA、イーロンなどについて何らかの発言をした人々がクリエイター基金を利用できなくなっている。それでも全部言論の自由ってことだよね?」とポストした。

Censorship on TikTok is at an all time high with accounts being deleted, posts going back years being flagged, people losing access to the creator fund for saying anything Anti Trump, MAGA, Elon, etc But free speech and all that right? pic.twitter.com/2tPjCW9FRN— Dustin Genereux (@DustinGenereux) January 20, 2025

こうした報告は現時点で確認されたわけではない。それでもいったん禁止になって復旧した後のTikTokアプリで検閲への懸念が強まっているのは間違いない。

TikTokの周受資CEOは20日のトランプ大統領就任式に出席した。マーク・ザッカーバーグ、ジェフ・ベゾス、イーロン・マスクといったビッグテック経営者も顔をそろえていた。

(翻訳:鈴木聖子)

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