ゲイブ・ウィズナント
<トランプの大量恩赦は、アメリカの民主主義を汚物まみれにした大統領と暴徒たちを法で捌こうとた司法界や法執行機関、そして市民を愚弄する行為>
ドナルド・トランプ米大統領は就任早々、4年前に起きた連邦議会議事堂襲撃事件で有罪となった受刑者たちの大量恩赦・減刑に踏み切った。
【動画】議事堂前に表れた巨大な汚物
トランプの行政命令で減刑された1人、極右過激派組織「オース・キーパーズ(誓いを守る者たち)」の指導者で、扇動共謀罪などで有罪となったスチュワート・ローズ服役州は釈放後の1月22日、「トランプ2020」のロゴ入りのキャップを被って連邦議会を訪れた。
トランプの恩赦の対象となったのは、2021年1月6日に起きた議事堂襲撃に関連して起訴された1500人余り。この襲撃事件では、100人余りの警察官が負傷している。
ローズはこの事件で最も重い刑を宣告された被告の1人で、彼を含めた14人は恩赦の対象から外されたものの、減刑されて自由の身となった。
別の被告人の釈放を訴えるために連邦議会を訪れたローズは記者団に対し、自分も完全な恩赦を求めるつもりだと語った。
事件で起訴された1600人近い被告人のうち、1000人以上が有罪を認め、ざっと250人は裁判の結果、裁判官もしくは陪審員団の判断で有罪が確定した。1100人余りが処罰を受けることになり、うち700人余りは数日〜22年の懲役刑を言い渡された。
暴動の最中に負傷した警察官は130人余り。この日議事堂にいた警察官のうち、少なくとも4人が後日自殺した。連邦議会警察の警察官ブライアン・シックニックは事件の最中に護身用の唐辛子スプレーを浴び、2回発作を起こして翌日に死亡したが、検視の結果、病気による「自然死」と判定された。
首都ワシントンの連邦地裁の裁判官らは1月22日、審理が続いていた襲撃事件関連の多数の刑事裁判を棄却した。何人かの裁判官は突然の審理打ち切りについて、文書で無念の思いを吐露した──これはアメリカの民主主義の根幹を揺るがした重大事件であり、トランプの大量恩赦で、これまでの捜査や裁判で明らかにされた事実がもみ消されることがあってはならない。
連邦地裁のコリーン・コラーコテリー判事は、暴動の証拠はビデオの「中立的なレンズ」や裁判記録、陪審員団の評決、判決理由などとして保存される、と強調した。
「被告人やその支援者らが、1月6日の出来事をどう粉飾しようとも、記録は残り、真実を伝え続ける」というのだ。
トランプの大量恩赦で、1月6日の「悲劇的な真実」が塗り替えられることはない、と断言したのはタニヤ・チャトカン判事だ。彼女は、2020年の大統領選の結果を覆そうとした疑いでトランプ自身が訴えられた裁判を担当。トランプの支持者からの殺害予告など、数々の脅迫
を受けてきた。
チャトカン判事は、暴動の最中に空に向けて銃弾を撃ったイリノイ州在住の男性の裁判を、意に反して打ち切ることになったが、トランプの恩赦によって、命がけで連邦議会を守ろうとした「警察官たちの英雄的な行為」が無に帰すようなことがあってはならない、と訴えた。
「連邦議会に血と糞便と恐怖を残して去った暴徒の行動をなかったことにしてはならない。彼らは、平和的な政権移行というアメリカの名誉ある伝統をずたずたに切り裂いた」と、チャトカン判事は述べている。
コラーコテリー判事は次のように警察官の勇気をたたえた。
「圧倒的な『多勢に無勢』の状況下で、警察官らは勇敢にも、議員たち、議会のスタッフ、ジョー・バイデンとその家族、議事堂とその周辺全体、アメリカの自由の象徴であり、世界にとっての民主的な統治の象徴である議事堂の建物そのものを守り抜いた」
コロンビア特別区のマシュー・グレーブズ連邦検事は、襲撃事件が未曾有の大規模な刑事事件であり、事実の全貌を究明するため、司法当局が今日まで積み重ねてきた膨大な営為を強調するため、次のように述べた。
「2021年1月6日の議事堂占拠事件に関連して、扇動共謀罪で起訴された被告人の数は、南北戦争中にこれを禁じる法律が制定されて以来、どの刑事事件をも上回った」
全米はもちろん世界を震撼させたこの事件が政治と司法に与えた広範な影響については、今もさまざまな角度から検証が進められている。トランプの大量恩赦もいずれ歴史が裁くことになるのは間違いない。
【随時更新】トランプ政権2.0
<トランプの大量恩赦は、アメリカの民主主義を汚物まみれにした大統領と暴徒たちを法で捌こうとた司法界や法執行機関、そして市民を愚弄する行為>
ドナルド・トランプ米大統領は就任早々、4年前に起きた連邦議会議事堂襲撃事件で有罪となった受刑者たちの大量恩赦・減刑に踏み切った。
【動画】議事堂前に表れた巨大な汚物
トランプの行政命令で減刑された1人、極右過激派組織「オース・キーパーズ(誓いを守る者たち)」の指導者で、扇動共謀罪などで有罪となったスチュワート・ローズ服役州は釈放後の1月22日、「トランプ2020」のロゴ入りのキャップを被って連邦議会を訪れた。
トランプの恩赦の対象となったのは、2021年1月6日に起きた議事堂襲撃に関連して起訴された1500人余り。この襲撃事件では、100人余りの警察官が負傷している。
ローズはこの事件で最も重い刑を宣告された被告の1人で、彼を含めた14人は恩赦の対象から外されたものの、減刑されて自由の身となった。
別の被告人の釈放を訴えるために連邦議会を訪れたローズは記者団に対し、自分も完全な恩赦を求めるつもりだと語った。
事件で起訴された1600人近い被告人のうち、1000人以上が有罪を認め、ざっと250人は裁判の結果、裁判官もしくは陪審員団の判断で有罪が確定した。1100人余りが処罰を受けることになり、うち700人余りは数日〜22年の懲役刑を言い渡された。
暴動の最中に負傷した警察官は130人余り。この日議事堂にいた警察官のうち、少なくとも4人が後日自殺した。連邦議会警察の警察官ブライアン・シックニックは事件の最中に護身用の唐辛子スプレーを浴び、2回発作を起こして翌日に死亡したが、検視の結果、病気による「自然死」と判定された。
首都ワシントンの連邦地裁の裁判官らは1月22日、審理が続いていた襲撃事件関連の多数の刑事裁判を棄却した。何人かの裁判官は突然の審理打ち切りについて、文書で無念の思いを吐露した──これはアメリカの民主主義の根幹を揺るがした重大事件であり、トランプの大量恩赦で、これまでの捜査や裁判で明らかにされた事実がもみ消されることがあってはならない。
連邦地裁のコリーン・コラーコテリー判事は、暴動の証拠はビデオの「中立的なレンズ」や裁判記録、陪審員団の評決、判決理由などとして保存される、と強調した。
「被告人やその支援者らが、1月6日の出来事をどう粉飾しようとも、記録は残り、真実を伝え続ける」というのだ。
トランプの大量恩赦で、1月6日の「悲劇的な真実」が塗り替えられることはない、と断言したのはタニヤ・チャトカン判事だ。彼女は、2020年の大統領選の結果を覆そうとした疑いでトランプ自身が訴えられた裁判を担当。トランプの支持者からの殺害予告など、数々の脅迫
を受けてきた。
チャトカン判事は、暴動の最中に空に向けて銃弾を撃ったイリノイ州在住の男性の裁判を、意に反して打ち切ることになったが、トランプの恩赦によって、命がけで連邦議会を守ろうとした「警察官たちの英雄的な行為」が無に帰すようなことがあってはならない、と訴えた。
「連邦議会に血と糞便と恐怖を残して去った暴徒の行動をなかったことにしてはならない。彼らは、平和的な政権移行というアメリカの名誉ある伝統をずたずたに切り裂いた」と、チャトカン判事は述べている。
コラーコテリー判事は次のように警察官の勇気をたたえた。
「圧倒的な『多勢に無勢』の状況下で、警察官らは勇敢にも、議員たち、議会のスタッフ、ジョー・バイデンとその家族、議事堂とその周辺全体、アメリカの自由の象徴であり、世界にとっての民主的な統治の象徴である議事堂の建物そのものを守り抜いた」
コロンビア特別区のマシュー・グレーブズ連邦検事は、襲撃事件が未曾有の大規模な刑事事件であり、事実の全貌を究明するため、司法当局が今日まで積み重ねてきた膨大な営為を強調するため、次のように述べた。
「2021年1月6日の議事堂占拠事件に関連して、扇動共謀罪で起訴された被告人の数は、南北戦争中にこれを禁じる法律が制定されて以来、どの刑事事件をも上回った」
全米はもちろん世界を震撼させたこの事件が政治と司法に与えた広範な影響については、今もさまざまな角度から検証が進められている。トランプの大量恩赦もいずれ歴史が裁くことになるのは間違いない。
【随時更新】トランプ政権2.0