マヤ・メーララ
<子供を訓練キャンプに参加させるプログラムを拒否した場合には罰金も。ウクライナとの開戦後、ロシアの学校でのプロパガンダ教育は量も質も大きく変化した>
ロシアの学校で近年、「ロシア政府のプロパガンダ(宣伝活動)」を教える時間が急増している。愛国心や伝統的価値観などを教えるだけでなく、子どもたちに実際にほふく前進や銃の撃ち方のトレーニングを行うなど、学校はまるで軍事訓練のキャンプのような有様に。実際の授業風景が撮影された映像はSNSでも拡散され、「洗脳だ」「病んでいる」などと批判の声が高まっている。
■【動画】幼い生徒が授業中に銃撃を練習...「兵士不足」ロシアが進める「子供の兵士化」、訓練の授業映像
2024年度の教育カリキュラムに含まれたプロパガンダ授業の一つが「軍事訓練および軍事知識の基礎」で、これは子どもたちに戦争の備えをさせる内容だ。ロシアの独立系メディア「アゲンツトヴァ(Agentstvo)」の分析によれば、8年生から10年生の生徒は軍事キャンプに送られるという。
学校で子どもたちに銃の撃ち方を教えている事実は、ロシアが将来の戦闘部隊を準備していること、そしてロシア軍が現在深刻な人員不足に直面していることを示唆している。ロシア政府は、ウクライナとの戦闘が今後数年間にわたって続く可能性に備えていると考えることもできる。
子供の訓練キャンプ参加を拒んだ親には罰金
アゲンツトヴァの分析では、2025年度にロシアの学校がプロパガンダ教育に費やす時間は前年度の2倍に増え、年間の授業時間1万1000時間のうちの1300時間に達する見込みだ。ウクライナとの戦闘開始以降、ロシアの教育機関におけるプロパガンダ教育は変化しており、中でも最も大きな変化がみられるのが防衛についての教育だ。
軍事訓練は2023年、高学年向けの必須科目「生命の安全」の一環として導入された。その後これが「祖国の安全保障と防衛の基礎」と名前を変え、「軍事訓練および軍事知識の基礎」などの授業が設けられた。この授業では生徒が軍隊や武器、軍の装備などについて学ぶ。
ロシアの独立系メディア「メドゥーザ」によれば、14~17歳ぐらいの子どもを訓練キャンプに参加させるプログラムでは、親がそれを拒否した場合、軍の「評判を傷つけた」罪で罰金を科されることになる。
ロシアの学校におけるプロパガンダ教育は軍事訓練にとどまらない。アゲンツトヴァによれば、2025年度の授業時間のうち12%がロシア政府の思想を教えるために費やされることが分かった。
プロパガンダの授業は、ウクライナとの戦争が始まった後、「伝統的なロシアの価値観」を強化し「愛国心を育む」ことを目的として教育カリキュラムに導入された。それが進化して、子どもを対象とした軍事訓練が行われるようになったものだ。
「ナチス・ドイツの行いによく似ている」と懸念の声
ウクライナ内務省の元顧問であるアントン・ゲラシチェンコは、ロシア軍の教官が子どもたちに銃の撃ち方を教えている様子を捉えた動画をX(旧ツイッター)に投稿し、次のように書き込んだ。
「『ウクライナ人を殺す方法を学べ!』ロシアはウクライナとの戦争のために、子どもたちにこんな教育をしている。『ウクライナ人は自ら命を絶つことはない。私たちで彼らの命を絶たなければならないのだ』と彼らは言う。彼らもロシア社会も病んでいる」
米オハイオ州にあるケース・ウェスタン・リザーブ大学経済学部のロマン・シェレメタ教授は「次の世代のロシア人は今の世代よりもひどいかもしれない。(ロシアのプロパガンダ教育は)ステロイドで効果を増強させた洗脳マシンのようなものだ。私たちは大量の精神病患者がつくり出される様子を目の当たりにしている」と書いた。
「これは第二次世界大戦の前にナチス・ドイツで起きていたことと非常によく似ている」
<子供を訓練キャンプに参加させるプログラムを拒否した場合には罰金も。ウクライナとの開戦後、ロシアの学校でのプロパガンダ教育は量も質も大きく変化した>
ロシアの学校で近年、「ロシア政府のプロパガンダ(宣伝活動)」を教える時間が急増している。愛国心や伝統的価値観などを教えるだけでなく、子どもたちに実際にほふく前進や銃の撃ち方のトレーニングを行うなど、学校はまるで軍事訓練のキャンプのような有様に。実際の授業風景が撮影された映像はSNSでも拡散され、「洗脳だ」「病んでいる」などと批判の声が高まっている。
■【動画】幼い生徒が授業中に銃撃を練習...「兵士不足」ロシアが進める「子供の兵士化」、訓練の授業映像
2024年度の教育カリキュラムに含まれたプロパガンダ授業の一つが「軍事訓練および軍事知識の基礎」で、これは子どもたちに戦争の備えをさせる内容だ。ロシアの独立系メディア「アゲンツトヴァ(Agentstvo)」の分析によれば、8年生から10年生の生徒は軍事キャンプに送られるという。
学校で子どもたちに銃の撃ち方を教えている事実は、ロシアが将来の戦闘部隊を準備していること、そしてロシア軍が現在深刻な人員不足に直面していることを示唆している。ロシア政府は、ウクライナとの戦闘が今後数年間にわたって続く可能性に備えていると考えることもできる。
子供の訓練キャンプ参加を拒んだ親には罰金
アゲンツトヴァの分析では、2025年度にロシアの学校がプロパガンダ教育に費やす時間は前年度の2倍に増え、年間の授業時間1万1000時間のうちの1300時間に達する見込みだ。ウクライナとの戦闘開始以降、ロシアの教育機関におけるプロパガンダ教育は変化しており、中でも最も大きな変化がみられるのが防衛についての教育だ。
軍事訓練は2023年、高学年向けの必須科目「生命の安全」の一環として導入された。その後これが「祖国の安全保障と防衛の基礎」と名前を変え、「軍事訓練および軍事知識の基礎」などの授業が設けられた。この授業では生徒が軍隊や武器、軍の装備などについて学ぶ。
ロシアの独立系メディア「メドゥーザ」によれば、14~17歳ぐらいの子どもを訓練キャンプに参加させるプログラムでは、親がそれを拒否した場合、軍の「評判を傷つけた」罪で罰金を科されることになる。
ロシアの学校におけるプロパガンダ教育は軍事訓練にとどまらない。アゲンツトヴァによれば、2025年度の授業時間のうち12%がロシア政府の思想を教えるために費やされることが分かった。
プロパガンダの授業は、ウクライナとの戦争が始まった後、「伝統的なロシアの価値観」を強化し「愛国心を育む」ことを目的として教育カリキュラムに導入された。それが進化して、子どもを対象とした軍事訓練が行われるようになったものだ。
「ナチス・ドイツの行いによく似ている」と懸念の声
ウクライナ内務省の元顧問であるアントン・ゲラシチェンコは、ロシア軍の教官が子どもたちに銃の撃ち方を教えている様子を捉えた動画をX(旧ツイッター)に投稿し、次のように書き込んだ。
「『ウクライナ人を殺す方法を学べ!』ロシアはウクライナとの戦争のために、子どもたちにこんな教育をしている。『ウクライナ人は自ら命を絶つことはない。私たちで彼らの命を絶たなければならないのだ』と彼らは言う。彼らもロシア社会も病んでいる」
米オハイオ州にあるケース・ウェスタン・リザーブ大学経済学部のロマン・シェレメタ教授は「次の世代のロシア人は今の世代よりもひどいかもしれない。(ロシアのプロパガンダ教育は)ステロイドで効果を増強させた洗脳マシンのようなものだ。私たちは大量の精神病患者がつくり出される様子を目の当たりにしている」と書いた。
「これは第二次世界大戦の前にナチス・ドイツで起きていたことと非常によく似ている」