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ごうごうと燃え上がる燃料施設...ロシア国内の重要施設がウクライナ軍ドローンによる「集中攻撃」の標的に

ニューズウィーク日本版 2025年2月7日 21時35分

イザベル・バンブルーゲン
<ボルゴグラード州では「一晩で少なくとも50回は爆発があった」という住民の証言も>

2月3日早朝、ロシア南部のボルゴグラード州とアストラハン州にある燃料施設がウクライナの無人機(ドローン)によって攻撃されたと、地元当局やメディアが伝えた。

【動画】ごうごうと燃え上がる燃料施設...ロシア国内の重要施設にウクライナ軍ドローンの「集中攻撃」

ソーシャルメディアで拡散した動画には、燃料施設とみられる建物が炎上している様子が映っている。本誌はロシア政府にメールでコメントを求めている。

ウクライナはロシア国内の施設に対するドローン攻撃を強化している。その標的には、飛行場や軍需工場、弾薬庫、倉庫のほか、プーチン政権の戦争遂行に不可欠な燃料を供給する石油ハブや石油精製所などが含まれる。

ウクライナ軍ドローンによる集中攻撃の標的となったのは、ロシア南部の都市アストラハンにあるガス処理プラントと、同じく南部の都市ボルゴグラードにある石油精製所だと当局は述べている。

ロシアの独立系ジャーナリストらが運営するテレグラムチャンネル「アストラ(ASTRA)」は、アストラハン近郊のガス処理プラントで、ドローン1機が接近してきたのを受けて従業員たちが避難したと伝えている。

アストラハン州のイゴール・バブーシキン知事は、ウクライナのドローンが州内にあるエネルギー施設への攻撃を試みた後に火災が発生したと述べた。死傷者は出ていないという。

このガス処理プラントは1985年に稼働を開始した施設で、ロシア有数の規模を誇るガス化学コンビナートだ。

一方のボルゴグラードでは、一晩のうちに少なくとも50回は爆発があったと住民たちが述べており、ほぼすべてのドローンが現地の石油精製所周辺で撃墜された。この石油精製所はロシア石油大手ルクオイルのものだと、ロシア治安当局に近いテレグラムチャンネル「バザ(BAZA)」は報じている。

アストラによると、ドローン攻撃で停電が発生した地区もあったという。

ウクライナの軍事サイト「Militarnyi」によると、米航空宇宙局(NASA)が運営する「資源管理システムのための火事情報(FIRMS)」では、2月3日午前1時26分に同施設で火災が発生したことが分かるという。

ロシア国防省はテレグラムで、自国の防空システムが同国上空で一晩に70機のドローンを撃墜したと発表した。内訳はロストフ州で27機、ボルゴグラード州で25機、アストラハン州で7機とされている。本誌はこの件についてまだ検証できていない。

アストラハン州のバブーシキン知事はテレグラムで、「電子戦システムと防空システムが正常に作動した。ドローン1機が墜落した際に火災が発生した。死傷者は出ていない」と述べた。

また、ボルゴグラード州のアンドレイ・ボチャロフ知事は「国防省の防空部隊が、ボルゴグラード州上空で飛行機型ドローンによる大規模な攻撃を撃退した」と発表した。

この戦争は2月24日で4年目に突入するが、ウクライナによるロシア軍ならびにロシア国内の産業施設に対する攻撃は今後も続くと見られる。

ウクライナとロシア双方とも、今後開かれるかもしれない和平交渉に先立って戦果を得ようと必死だ。1月に就任したドナルド・トランプ米大統領は、2期目の間にこの交渉の仲介役を務める可能性がある。

(翻訳:ガリレオ)

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