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グアンタナモより恐ろしい!? 米重罪犯大歓迎、エルサルバドルの巨大監獄【トランプ2.0】

ニューズウィーク日本版 2025年2月5日 14時18分

ジーザス・メサ
<「これほど有効的な提案は聞いたことがない」と、トランプ政権が涙を流して喜んだギャング大国エルサルバドルの申し出とは>

エルサルバドルのナイブ・ブケレ大統領は2月4日、CECOT(テロ監禁センター)として知られるエルサルバドルの広大な極秘施設にアメリカの重罪犯や不法移民を収容することでアメリカのマルコ・ルビオ国務長官と合意した。

【動画】まるでタトゥーの海、南米エルサルバドルが4万人収容可能な「メガ刑務所」開設

「エルサルバドルは世界で最も前例のない、並外れて桁外れな移民協定に合意した」と、ブケレの湖畔の別荘で会談した後、ルビオは語った。「このような友好の申し出をしてきた国はない。



エルサルバドルは強力なストリートギャングと抗争があった2022年3月以降、非常事態下にある。それでもブケレは、自国のギャング政策を他国の模範と誇る。弁護人へのアクセスを含む基本的権利を停止し、正当な手続きをほとんど踏まずに8万3000人以上を逮捕した。

なかでもCECOT刑務所は、ギャング対策の中心だ。最大4万人を収容できるこの要塞刑務所の受刑者は、多くが大量殺人者、麻薬密売人、「MS-13」や「バリオ18」といった悪名高いギャングのメンバーであり、ブケレの強硬姿勢の象徴となっている。

ブケレはソーシャルメディア上にこう書いた。「我々は、有罪判決を受けた犯罪者(有罪判決を受けた米国市民を含む)だけを、有料で我々のメガ刑務所に受け入れることができる。その収益で刑務所を大幅に強化し、財政的に自立させることも可能だ。



サンサルバドルから車で1時間、2023年1月に開設した広大な複合施設の設計と運営には、収監に対する妥協のない哲学が反映されている。受刑者は、窓のない大きな檻の中に閉じ込められ、家具は最小限だ。

私物や本はおろか家族からの手紙も禁止。囚人は1日23.5時間を独房の中で過ごし、中央の廊下で運動や宗教活動をする時間は1日30分と短い。食事は主に豆、米、プランテーン(バナナの一種)で、肉類は提供されない。



脱出は不可能だ。施設は電化フェンスと19の監視塔に囲まれ、1,000人の武装警備員、警察、兵士が巡回している。毎日24時間365日、消灯はなく、武装した看守が常に監視している。懲罰房は、天井の穴から小さな光が差し込む以外は真っ暗だ。

ありとあらゆる人権違反が疑われている。恣意的な逮捕、証拠なき拘禁、集団審理、弁護人へのアクセス制限......。裁判を待つ間に被疑者が死亡する例も増えているという。

米国人が強制的に外国の刑務所に移送されることになれば、憲法上の大きな争点となる可能性が高い。ルビオは、最も危険な犯罪者の収容施設を低コストで引き受けようというブケレの提案を「信じられないような、前例のない寛大な提案」と評したが、政権による法的審査が必要だと指摘した。

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