ライアン・チャン
<無制限の発射能力に加え、ドローンの偵察機能に「目隠し」をして無効にさせる機能も。低コストのドローンへの対抗策として理想的な特徴を持つレーザー兵器>
西大西洋に配備されているアメリカの艦船が、標的のドローンに向けてレーザー兵器「ヘリオス」を発射する瞬間が公開された。米駆逐艦USSプレブルに搭載されたこの兵器の発射実験は2024年度に32回行われたが、今回のものはそのうちの1回の様子だという。
■【動画】高出力レーザー兵器でドローンを撃墜...駆逐艦から「ヘリオス」発射の瞬間映像を米海軍が公開
本誌はこの件について米国防総省と米海軍にメールで詳しいコメントを求めたが、これまでに返答はない。
米駆逐艦USSプレブルは24年10月に母港を移転した。米カリフォルニア州サンディエゴから日本の横須賀に移り、米海軍第15駆逐艦戦隊に合流して同盟国である日本の防衛を支援しつつアメリカの戦略的利益を守っている。
プレブルは米海軍の駆逐艦の中で唯一、高出力レーザー兵器「ヘリオス(HELIOS)」を搭載しており、レーザー光線を発射して高速攻撃艇やドローンを破壊することができる。
兵器システムの運用試験および実弾試験・評価活動について米国防長官に助言を行う米国防総省の運用試験評価局(DOT&E)局長が、1月31日の年次報告書の中で写真を公開した。
「事実上無制限の発射能力」でドローン対策に理想的
この写真には、洋上での兵器試験の際にプレブルから明るいレーザー光線が発射されている様子が映っている。同試験はドローンに対するヘリオスの「機能性、性能および能力」を検証・確認する目的で行われたものだ。
この兵器試験がいつ・どこで行われたかについての詳しい情報は明らかにされなかった。報告書によれば、同試験は2024年会計年度(プレブルがサンディエゴから横須賀に向けて出発した数日後の同年9月30日まで)に実施された32回の発射実験のうちの1回だったということだ。
プレブルに搭載された60キロワット出力のレーザー兵器であるヘリオスはダズラー(目眩まし)」機能を備え、ドローンに搭載されている情報収集・警戒監視・偵察(ISR)センサーに「目隠し」をすることができる。さらにヘリオスは、戦闘識別や戦闘損害評価のための長距離ISR機能を提供することも可能だ。
レーザーは光の速度で発射されるエネルギーを使用するため、ミサイルなど従来の艦載防衛兵器と比べて1発あたりのコストが低く、事実上無制限の発射能力を持つ可能性があり、比較的低コストのドローンに対抗する上では理想的な選択肢だ。
プレブルは1月13日に横須賀を出港し、1月27日に帰還したとされている。米海軍が公開した写真は、プレブルが同期間中に北太平洋、フィリピン海と東シナ海を航行していたことを示している。
東シナ海上空を飛行する中国の軍用ドローンに高まる警戒
米海軍第15駆逐艦戦隊のジャスティン・ハーツ大佐は、プレブルについて次のように述べた。「プレブルが西太平洋のチームに加わることをとても嬉しく思う。同艦の到着は第15駆逐艦戦隊のファミリーにとって歓迎すべきことであり、その高度な能力はわれわれにユニークな価値をもたらす」
米太平洋艦隊は次のように述べている。「インド太平洋地域の安全保障環境においては、米海軍が最も能力の高い艦船を前方に配置する必要がある」
ヘリオスを開発した米軍需企業ロッキード・マーティンは、プレスリリースで次のように述べている。「ヘリオスは艦船の戦闘システム全体の効果を増強させ、将来の脅威を抑止し、また乗組員にさらなる保護を提供する」
中国が東シナ海で領有権を主張する日本の複数の島の近くに軍用ドローンを飛ばしているなか、日本を拠点とする米海軍のそのほかの駆逐艦がヘリオスを導入するかどうかは分かっていない。
<無制限の発射能力に加え、ドローンの偵察機能に「目隠し」をして無効にさせる機能も。低コストのドローンへの対抗策として理想的な特徴を持つレーザー兵器>
西大西洋に配備されているアメリカの艦船が、標的のドローンに向けてレーザー兵器「ヘリオス」を発射する瞬間が公開された。米駆逐艦USSプレブルに搭載されたこの兵器の発射実験は2024年度に32回行われたが、今回のものはそのうちの1回の様子だという。
■【動画】高出力レーザー兵器でドローンを撃墜...駆逐艦から「ヘリオス」発射の瞬間映像を米海軍が公開
本誌はこの件について米国防総省と米海軍にメールで詳しいコメントを求めたが、これまでに返答はない。
米駆逐艦USSプレブルは24年10月に母港を移転した。米カリフォルニア州サンディエゴから日本の横須賀に移り、米海軍第15駆逐艦戦隊に合流して同盟国である日本の防衛を支援しつつアメリカの戦略的利益を守っている。
プレブルは米海軍の駆逐艦の中で唯一、高出力レーザー兵器「ヘリオス(HELIOS)」を搭載しており、レーザー光線を発射して高速攻撃艇やドローンを破壊することができる。
兵器システムの運用試験および実弾試験・評価活動について米国防長官に助言を行う米国防総省の運用試験評価局(DOT&E)局長が、1月31日の年次報告書の中で写真を公開した。
「事実上無制限の発射能力」でドローン対策に理想的
この写真には、洋上での兵器試験の際にプレブルから明るいレーザー光線が発射されている様子が映っている。同試験はドローンに対するヘリオスの「機能性、性能および能力」を検証・確認する目的で行われたものだ。
この兵器試験がいつ・どこで行われたかについての詳しい情報は明らかにされなかった。報告書によれば、同試験は2024年会計年度(プレブルがサンディエゴから横須賀に向けて出発した数日後の同年9月30日まで)に実施された32回の発射実験のうちの1回だったということだ。
プレブルに搭載された60キロワット出力のレーザー兵器であるヘリオスはダズラー(目眩まし)」機能を備え、ドローンに搭載されている情報収集・警戒監視・偵察(ISR)センサーに「目隠し」をすることができる。さらにヘリオスは、戦闘識別や戦闘損害評価のための長距離ISR機能を提供することも可能だ。
レーザーは光の速度で発射されるエネルギーを使用するため、ミサイルなど従来の艦載防衛兵器と比べて1発あたりのコストが低く、事実上無制限の発射能力を持つ可能性があり、比較的低コストのドローンに対抗する上では理想的な選択肢だ。
プレブルは1月13日に横須賀を出港し、1月27日に帰還したとされている。米海軍が公開した写真は、プレブルが同期間中に北太平洋、フィリピン海と東シナ海を航行していたことを示している。
東シナ海上空を飛行する中国の軍用ドローンに高まる警戒
米海軍第15駆逐艦戦隊のジャスティン・ハーツ大佐は、プレブルについて次のように述べた。「プレブルが西太平洋のチームに加わることをとても嬉しく思う。同艦の到着は第15駆逐艦戦隊のファミリーにとって歓迎すべきことであり、その高度な能力はわれわれにユニークな価値をもたらす」
米太平洋艦隊は次のように述べている。「インド太平洋地域の安全保障環境においては、米海軍が最も能力の高い艦船を前方に配置する必要がある」
ヘリオスを開発した米軍需企業ロッキード・マーティンは、プレスリリースで次のように述べている。「ヘリオスは艦船の戦闘システム全体の効果を増強させ、将来の脅威を抑止し、また乗組員にさらなる保護を提供する」
中国が東シナ海で領有権を主張する日本の複数の島の近くに軍用ドローンを飛ばしているなか、日本を拠点とする米海軍のそのほかの駆逐艦がヘリオスを導入するかどうかは分かっていない。