R－1ぐらんぷり2016王者のピン芸人、ハリウッドザコシショウ（50）の毎年恒例の「ハリウッドザコシショウのミニ単独ライブシリーズSeason＜15＞おまえいったなー↑ツアー」が、8月3日の東京公演から5都市で7公演が行われる。
全ての公演で別のネタをやり、福岡、今池、東京のラスト公演では単独公演前にイベントも開催する。【小谷野俊哉】
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ブレーク前の09年から開催して、コロナ禍の20年に休んだだけで15回目。「まぁ、お笑いが好きなんでね。夏の風物詩と言うことでお客さんも楽しみにしてくれている。やらないと怠けている、第一線じゃない気がしちゃう。アイデアを出して、作って出す。5都市7公演が、基本的に全部違う公演。海外ドラマじゃないけど、1公演ごとに第1話、第2話みたいな感じで、全部を楽しめる形にしたかった」と話している。
コロナ禍で観客のありがたさを味わった。「東京で客を半分にしたり、配信でやったけど、笑いが返ってこないとやりにくい。あと、お客さんによっては、違う会場に観光を兼ねて見に行く人もいるから内容を変えている。あと配信も、放送禁止用語が言えないから止めました」と笑う。
16年にR－1王者になってからも、着実に実績を積み上げている。大勢の芸人が出演するバラエティーで、ひと言で振り向かせ笑いに変える胆力の強さは抜群だ。「それはやっぱり他には負けない自信がありますから。別に滑ったっておかまいなしやから、滑るの慣れてるから」。
ブームになるはるか前の09年からYouTubeを続けている。「お金にならなくてもいい。新ネタを試したいから。そこで試したやつが、自分の糧になればいい。極論すれば、一切見てもらわなくてもいい」と話している。
今年前半のお笑い界は、文春との裁判を抱えた松本人志（60）が不在だった。「松本さんは絶対的な存在なんですよ。共演した時は、気が引き締まる。いらっしゃらないと張り合いがないというか、ごちゃごちゃになっても最後のひと言で締めてくれる。そういう存在がいないのはちょっとね」。
所属するソニー・ミュージック・アーティスツは、かつては“芸人の墓場”と言われたが、人気者を輩出している。キングオブコント2012王者のバイきんぐ、そしてM－1グランプリ2021王者の錦鯉、やすこ（25）と売れまくっている。「吉本、松竹、その次くらいに賞レースの優勝者が出て、知名度もある。年が上だからリーダー的な自覚はありますよ。若い芸人に手を差し伸べてやれたらと。サンミュージックのカンニング竹山さんみたいな精神的支柱になれたらと思いますよ。自分も若い頃はバッファロー吾郎の木村さん（現バッファロー吾郎A）やなだぎ武さんには、よく相談に乗ってもらっていました」と振り返る。
92年に吉本のNSCに入所。同期には陣内智則、中川家、ケンドーコバヤシ、たむらけんじなど売れっ子がたくさんいる。その同期たちが、ブレークする前から“ザコシ推し”だった。R－1優勝時には、わが事のように喜び、胸を張った。その吉本を00年に辞めて東京に出てきた。
「皆、喜んでくれてね、あれは美しかったですね。でも、吉本出て、俺よかったなと思うんです。吉本出ていなかったら、多分けんかしていたんじゃないかな。売れてないのに、皆と同じ才能だと思っていたから。でも、離れて見て、あいつらは天才で、自分はそんな天才じゃないと気がついた。あいつらを超えるためには、もっと努力しないといけないということが分かって、それをやることができた。吉本にいたら、全然やらなかったと思う。逆に、俺だって面白いのに、こいつらだけ売れてるって。人間ってそういうものですよね」と言葉をかみしめる。
今年2月に50歳になった。「体調管理をちゃんとやらないと行けない歳になってきた。体がしなびたザコシは見たくないと、皆さん思ってますよね。だから健康診断もちゃんと受けています」。
継続は力なり。笑わせ続ける覚悟だ。
◆ハリウッドザコシショウ 1974年（昭49）2月13日、静岡県清水市（現静岡市）生まれ。静岡県立清水工高卒。92年（平4）に大阪NSCに11期生として入り、93年に静岡茶っぱとお笑いコンビ、G★MENS（ジーメンス）結成。02年からピン芸人に。趣味は音楽鑑賞。11年に一般女性と結婚。14年「あら－1グランプリ2014」優勝。「R－1ぐらんぷり」は05年から12回連続の出場、16年初の決勝進出で優勝。170センチ。血液型A。
【日程】▼8月3、4日東京・有楽町朝日ホール▼12日福岡・電気みらいホール▼24日名古屋・今池ガスホール▼25日大阪・ドーンセンターホール▼30日静岡・清水文化会館▼9月14日東京・イイノホール。公演前イベントは8月12日「提供ハリウッドザコシショウ上映会」、24日は「珍凹ザコシの糞ゲーム玉国」、9月14日「ザコシの動画でポン！（YouTube）公開収録」。