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【都知事選】落選の石丸伸二氏、国政出馬にも含み「広島1区とか。岸田首相の選挙区です」

日刊スポーツ 2024年7月7日 20時1分

任期満了に伴う東京都知事選は7日、投開票され、現職の小池百合子知事(71)が、前広島県安芸高田市長の石丸伸二氏(41)蓮舫前参院議員(56)ら55人を破り、3選を果たした。

石丸氏は三菱UFJ銀行のアナリスト出身でニューヨークを拠点に活動した経験も踏まえ、「経済が分かる、初の経済人都知事」を目指し、「東京を動かし、日本を動かそう」と訴えたが、及ばなかった。

新宿区内の会場には、関係者、報道陣ら約200人が開票を見守った。石丸氏は午後7時49分に会場入り。午後8時ちょうどに「小池氏当確」の速報が流れると、支持者からは「え~っ」と大きなため息が漏れた。石丸氏は「都民の総意の表れ。それだけです」と敗戦を冷静に受け止めながら、「私のチームは本当に全力を尽くした。胸を張って、できることは全部やったと言い切れます」と、晴れやかな笑みを浮かべた。

報道各社の出口調査では、蓮舫氏らを上回り、軒並み2位につけている。今後の動向にも注目が集まっており、国政選挙への出馬意思を問われた。石丸氏は「まだ決めておりません」と今後の政治活動は未定としながらも、国政への出馬については「選択肢としては当然考えます。たとえば広島1区。岸田首相の選挙区です」とプランの一部を明かすと、支持者で埋まった会場がドッと沸いた。

石丸氏の選挙戦は「石丸劇場」そのものだった。そもそもは銀行員を経て「政治とカネ」に伴う安芸高田市長選で初当選し、1期4年務めた市長時代、議会の様子や、地元メディアとのやりとりなどを映した非公式「切り抜き動画」などがネット上で拡散。「恥を知れ、恥を」など歯に衣(きぬ)着せぬ物言いが大きな話題になり、注目を集めた。市の公式YouTubeチャンネルの登録者数は市の人口の約10倍の約26・8万人になるなど、SNSを中心に広がった「バズる市長」の注目度をひっさげ、都知事選に打って出た。

石丸氏の主張には、大物経済人らも賛同し支援に動いた。6月20日に告示が迫る中、同9日付の市長退任後からの本格的な準備となったが、第二電電(現KDDI)創業者、千本倖生氏(81)や、後援会長を務めるドトールコーヒー創業者の鳥羽博道氏(86)らがサポート。また都民だけでなく全国からボランティア希望者が事務所に殺到し、その数は5000人を超えた。献金額も2億円を超え、今回、自身144回目となる選挙を仕切った「選挙の神様」と呼ばれる著名選挙プランナー藤川晋之助氏も、「前代未聞」と、驚くほどだった。

告示直前の6月15日に東京・渋谷で初めて開いた街頭演説以降、聴衆の数は日に日に膨れ上がり、最終日の6日には秋葉原や東京駅前に約5000人が集まった。フォロワーが50万人を超えるX(旧ツイッター)やインスタライブ、YouTubeなどSNSを駆使しながらも、時に20カ所近い場所をこまめに演説して回る選挙の原点・どぶ板戦術を融合する戦術を戦略的に行って支持を拡大し、注目度も高め続けた。

公約には「政治再建」を掲げ「都政の見える化、分かる化」の必要性に言及。「大事なのは(政治への)興味や関心。有権者が見ないから政治も行政もゆるんで、よく分からない政策が出てくる」「選挙は選んで終わり、ではない。選んだ後も見張る緊張感が必要で、それができればいい政治ができる」と、街頭でも訴えた。聴衆を巻き込んで政治への関心を高めようとする手法や発信力から、周辺には「石丸新党」への期待もある。今秋以降に衆参の国政選挙や、来年の広島県知事選が予定される中、「バズる候補」石丸氏の動向は、永田町の関係者も注視している。

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