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伊藤詩織さんが性的暴行、SNS誹謗中傷裁判終了し報告会 寄付金と賠償金は被害者支援団体に

日刊スポーツ 2024年7月9日 23時8分

ジャーナリストの伊藤詩織さん(35)が9日、17年に提起した元TBSワシントン支局長の山口敬之氏(58)による性的暴行に対する訴訟と、自民党の杉田水脈衆院議員(57)らのSNSによる誹謗(ひぼう)中傷に対して20年に提訴した3件の、合わせて4件の裁判に関する報告会を都内で開いた。2月に最高裁が杉田氏の上告を棄却し、6年半にわたる裁判が全て終了したことを振り返り「一連の裁判の記録を聞いて、本当に長かったな…と」と語った。

伊藤さんは、米国の大学に在籍した13年12月に山口氏と知り合い、同氏が15年4月3日に帰国して会食した際、意識を失いホテルで暴行を受けたと主張。準強姦(ごうかん)容疑で警視庁に被害届を提出した。一方、山口氏は合意に基づく性行為だと反論し、東京地検は16年7月に嫌疑不十分で不起訴とした。翌17年5月に伊藤さんは不起訴不当を訴えたが、東京第6検察審査会も同9月、不起訴を覆すだけの理由がないとして不起訴相当と議決した。

伊藤さんは同年9月に山口氏を相手に民事裁判を起こし、19年の東京地裁での1審は勝訴。山口氏の控訴を受けた22年1月の控訴審でも勝訴した一方、山口氏の反訴も一部、認容された。双方が上告して迎えた22年7月の上告審で、最高裁は双方の上告を棄却。山口氏に約332万円の賠償を命じた一方、伊藤さんの17年の著書「Black Box」などでデートレイプドラッグを使われた可能性があるとされ名誉を傷つけられたとして、1億3000万円の損害賠償を求めた山口氏の反訴について、真実性が認められず名誉毀損(きそん)に当たると判断し、伊藤さんにも55万円の支払いを命じた。

伊藤さんは、山口氏との裁判に加え、20年にはSNSによる誹謗(ひぼう)中傷の投稿をした2名、拡散した2名に名誉毀損(きそん)、賛同を意味する「いいね」ボタンを押した杉田氏には名誉感情侵害で、それぞれ損害賠償請求訴訟を起こした。1審で請求が棄却され、控訴審で逆転した杉田氏との裁判含め、いずれも伊藤さんが勝訴した。

伊藤さんは「私個人ではなく、社会にあるブラックボックスに問いかけようという行動ができたことが夢のよう。サポートがなければできなかった」と出席者の前で感謝した。民事裁判を支えるために19年に発足した会「Open the Black Box」は、後継団体として発足する「KnoCs(ノックス)」に引き継がれ、今後は性暴力被害者に民事裁判支援のための、関連情報の提供、啓発、支援を行い、性暴力のない社会作りを目指して活動していくという。

「Open the Black Box」の5年間の活動の中で寄せられた寄付の中から、裁判費用や経費などを差し引き、約200万円が残る見込みだという。伊藤さんは、そこに山口氏から支払われた約332万円の損害賠償を加えた額を「KnoCs」などの団体に寄付する意向を明らかにした。「今回、たくさんの支援金が集まったのと、裁判で勝ち取った賠償金は何かにつながると思う。これからの支援につなげていただければ」と語った。

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