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「徹子の部屋」など制作テレビ朝日映像が創立65年で初の長編映画 前原滉&小西桜子が恋人役

日刊スポーツ 2024年7月15日 8時0分

「徹子の部屋」や「スーパーJチャンネル」「クイズプレゼンバラエティーQさま!!」など、テレビ朝日の番組を制作してきたグループの制作会社・テレビ朝日映像が、創立65年で初めて長編オリジナル映画を製作した。タイトルは「ありきたりな言葉じゃなくて」で、映像業界で起きた実際の出来事を基にした物語。「大下容子ワイド! スクランブル」のディレクターを12年間務めた同社社員の渡邉崇氏(45)が監督・脚本を務め、前原滉(31)が主演、小西桜子(26)がヒロインを務める。公開日は12月20日に決まった。

「ありきたりな言葉じゃなくて」は、テレビ朝日映像の若林邦彦代表取締役社長兼エグゼクティブプロデューサーの「社員をオスカー監督に」とのかけ声の下、21年に発足した「映画プロジェクト」に寄せられた、45本の企画の1つ。「この会社を使ってみんなの夢をかなえてほしい」という同氏の呼びかけに、海外でも楽しめる作品作りを目指し、リスクをとってでも挑戦するという、決意のプロジェクトの第1作だ。

プロジェクトのきっかけは、21年の米アカデミー賞で、中国出身のクロエ・ジャオ監督(42)がアジア系女性として初の監督賞、作品賞、米女優フランシス・マクドーマンド(67)の主演女優賞と3冠に輝いた「ノマドランド」を、若林氏が映画館で見たことだった。「3年前の4月の終わり、私は日比谷の映画館で『ノマドランド』を見ていました。数日前にアカデミー賞作品賞、監督賞、主演女優賞をとった映画でした。いい映画でした。そしてその時私は同時に『そうか、私たちも映画を作ろう』と思いつきました」と当時を振り返った。

「ノマドランド」は、マクドーマンドが17年にリーマン・ショックをテーマにしたノンフィクション「ノマド:漂流する高齢労働者たち」の映画化権を獲得し、自ら製作に関わった。企業の破綻で仕事と家を失った60代の女性ファーンがキャンピングカーで生活し、短期労働で生計を立て、現代の遊牧民として新しい生活を探す旅に出る姿を描き、主演のマクドーマンド以外は、実際にノマド生活を送っている人々を起用したことも話題となった。

若林氏は「『ノマドランド』のように、半ドキュメンタリー的なタッチはテレビ朝日映像のディレクターたちが最も得意とするところだと思ったからです」と、「映画プロジェクト」を着想した当時を振り返った。「だとするなら、テレビ朝日映像の社員がオスカーをもらったっていいじゃないか、と妄想しました。自前の企画で、自前の脚本で、自前の監督で、そしてなにより自前の製作費でこの映画はスタートしました。あれから3年半。『ノマドランド』とは似ても似つかない自前の映画がようやく出来上がりました」と感慨を口にした。

「ありきたりな言葉じゃなくて」は、シナリオ段階からキャストもアイデアを持ち寄り、テレビ朝日映像と一丸となって製作した。前原が演じる32歳の藤田拓也は、町中華を営む頑固な父と愛想のいい母と実家暮らしで、ワイドショーの構成作家として毎日徹夜でナレーション原稿を書き散らす中、先輩の売れっ子脚本家の推薦で、ようやく念願の脚本家デビューが決まった。「脚本家」の肩書を手に入れ浮かれた気持ちでいる拓也の前に、小西演じる鈴木りえが現れ、出会い、とある出来事をきっかけに物語が進む。特報映像では、デートシーンの連続の中、うれしそうに手を振る拓也に、どこかうつろな表情を浮かべ、去っていってしまう、りえが映し出される。

渡邉崇監督は「人生の楽園」などのドキュメンタリー番組やウェブムービーの演出を手がけ、20年のテレビ東京系ドラマ「レンタルなんもしない人」ではプロデューサーを務めた。そして今回、満を持してオリジナル映画を製作した。「高校生のころ、映画監督になりたいという夢を持ち、それから27年もたって、やっとオリジナルの映画を監督する機会が巡ってきた。まさか、自社出資によるプロジェクトで夢がかなうとは…!」と喜びをかみしめた。

渡邉監督は、19年に世界的ショコラティエ・辻口博啓氏を追ったドキュメンタリー映画「ル・ショコラ・ドゥ・アッシュ」で監督デビュー。サン・セバスティアン国際映画祭やシアトル国際映画祭など世界5カ国、10の映画祭で正式上映された。それでも、オリジナルの長編劇映画の製作は苦労の連続だった。「手探り状態からスタートした映画作り。『ないものねだり』ではなく、『あるもの探し』をテーマに、チームで脚本に取り組みました。演出部も新人だらけ…。でも、出演者のみなさんにも助けられて、この映画は完成を迎えました。何度か、脳みそねじ切れるんじゃないかというぐらい、考えて悩んだこともありました。でもそういう状態が好きです」と製作を振り返った。そして「きっと主人公の拓也も。人の気持ちを捉えて、ありきたりじゃない言葉で表現しようともがく拓也とりえ。2人の姿から、他人を分かろうとするのを諦めない気持ちを、観客のみなさんに受け取ってほしいです」と公開を心待ちにした。

「とんねるずのスポーツ王は俺だ!!」なども手がけてきたテレビ朝日映像にとって、今回のプロジェクトは「テレビ朝日映像社員からオスカー監督を!」を合言葉にした、夢企画だ。若林氏は「前代未聞の試みのささやかな第1歩が私たちのこの映画『ありきたりな言葉じゃなくて』です」と意気込みを示した。

◆ありきたりな言葉じゃなくて 32歳の藤田拓也(前原滉)は、町中華を営む頑固な父と愛想のいい母と実家暮らしで、ワイドショーの構成作家として毎日徹夜でナレーション原稿を書き散らす。その中、先輩の売れっ子脚本家の推薦で、念願の脚本家デビューが決まった。浮かれた気持ちでいる拓也の前に、鈴木りえ(小西桜子)が現れ、とある出来事をきっかけに物語が進む。特報映像では、デートの中、うれしそうに手を振る拓也に、うつろな表情を浮かべて去っていく、りえが映し出される。

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