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【ひふみんEYE】藤井聡太王位らしからぬ重たくさえない指し手敗着に…渡辺明九段の攻め加速

日刊スポーツ 2024年7月18日 19時40分

<ひふみんEYE>

藤井聡太王位(竜王・名人・王座・棋王・王将・棋聖=21)が挑戦者の渡辺明九段(40)に先勝した、将棋のお~いお茶杯第65期王位戦7番勝負第2局が18日、北海道函館市の「湯元 啄木亭」で行われた。

17日午前9時からの2日制で始まった対局は先手の渡辺が中盤リードを奪うと、午後5時40分、97手で押し切って対戦成績を1勝1敗とした。北海道でのタイトル戦で過去6戦負けなしだった藤井は、初めて黒星を喫した。第3局は30、31日、徳島市「渭水苑(いすいえん)」で行われる。

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藤井王位らしからぬ、重たくさえない指し手が敗着になりました。2日目の再開直後、飛車取りに3筋から2筋への銀を繰り出した局面。結果的にこれが攻撃目標とされてしまいました。もっと軽快な指し回しが身上ですし、4筋の歩を突くと読んでいました。それで十分と思っていましたから。よけいな一手で渡辺九段を勢いづかせ、攻めを加速させました。

以下は渡辺九段の快勝譜です。駒が下がる一方の藤井王位に対し、こちらは「全軍躍動」。7筋に歩を打つ「技あり」で後手の飛車の横利きを止め、1筋への桂の跳ね出しが絶妙でした。最後は2筋への角打ちで「勝負あった」です。第1局の千日手指し直し局は九分九厘勝ちだった将棋を落としました。気落ちせずにいい感じで勝ちましたから、1勝以上に大きな価値を持つ勝利となるでしょう。勢いに乗って、先に勝ち越せば面白くなります。

6回ある両者のタイトル戦で、序盤の1勝1敗は初めてだそうですね。藤井王位は先手番の第3局、得意の角換わりでどんな改良を加えるのか楽しみです。最近は相手がこれを拒否することもありますし。次が、シリーズの行方を占う1局になりそうな気がします。

(加藤一二三・九段)

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