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最後は家族の判断か…バイデン氏が大統領選撤退、討論会失態や「プーチン」発言などで四面楚歌

日刊スポーツ 2024年7月22日 9時37分

CNNなど米メディアは21日午後(日本時間22日未明)、バイデン米大統領(81)が、民主党候補として再選を目指した今年11月の米大統領選からの撤退を表明したと速報で報じた。民主党内で、高齢にともなう言動や健康への不安が拡大していたバイデン氏は、17日、新型コロナ感染が明らかとなり、地元の東部デラウェア州で自宅隔離となった。当初は今週からの選挙戦再開を表明していたが、この日表明した声明では「民主党や米国にとって最善なことと考えた」とした。 バイデン氏の大統領選撤退論が急速に拡大し始めたのは、6月27日に行われた共和党候補トランプ前大統領(78)との最初の候補者テレビ討論会。それまでにも高齢への不安が根強く、この討論会でその不安を払拭(ふっしょく)できるかが最大の焦点だったが、バイデン氏は冒頭から声がかすれ、言葉に詰まったり、言い間違う場面もあり精彩を欠く内容に終わった。

この討論会後、民主党の支持者で大口献金者でも知られる俳優ジョージ・クルーニー(63)が7月10日、米ニューヨーク・タイム紙への寄稿で「この大統領では選挙に勝てない」と、指摘。撤退を呼びかける深刻な事態になった。

こうした支持者の懸念が決定的となったとされる一因が、7月11日に行われた北大西洋条約機構(NATO)首脳会議後の会合。ウクライナのゼレンスキー大統領を隣にしながら「プーチン大統領」と紹介。すぐに気付いて言い直し「プーチンを倒すことで頭がいっぱいだった」と釈明したが、後の祭りとなった。

さらに13日に起きたトランプ氏の暗殺未遂事件を受け、表だった共和党やトランプ氏批判もしばらくできなくなった。トランプ氏支持で一致団結する共和党と対照的に、民主党の上下両院議員の間でも撤退を求める声が日に日に増え、盟友のペロシ前下院議長やオバマ元大統領も、再選出馬に懸念を持っていると伝えられるなど、四面楚歌(そか)の状態に。今回の新型コロナ感染も、一因になった可能性が指摘されている。

そのため、バイデン氏の進退判断は最終的にジル夫人ら家族に委ねられたとの見方が強い。地元で家族との協議を経て、撤退決断がなされたとみられる。

バイデン氏は声明で、来年1月までの大統領の残り任期はまっとうするとしている。また、副大統領のカマラ・ハリス氏(59)を、後継の民主党候補とすることを支持する考えを示した。ただ民主党内では別の人物を推す声もあり、8月19日に開幕する民主党大会までに意見がまとまるかは不透明。民主党は前代未聞の混乱に陥っている。

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