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巨大竜巻のリアリティー 勢いのあるキャストも魅力的な「ツイスターズ」

日刊スポーツ 2024年7月29日 7時0分

近年の気候変動で、デザスター映画の恐怖はより身近に感じられるようになったと思う。本場米オクラホマ州を舞台にした「ツイスターズ」(8月1日公開)のメガ竜巻の暴風には怖いくらいのリアリティーがある。

スピルバーグが総指揮し、「ミナリ」のリー・アイザック・チョン監督がメガホン。キャストにも生きのいい面々がそろった。

ヒロインには「ザリガニが鳴くところ」できらめきを見せたデイジー・エドガー=ジョーンズ、「トップガン マーヴェリック」のハングマン役が記憶に新しいグレン・パウエル、そして「トランスフォーマー ビースト覚醒」のアンソニー・ラモスと、勢いを感じさせるキャスティングだ。

オクラホマ生まれのケイト(ジョーンズ)は、風の匂いから竜巻の発生や進路を読む天賦の才に恵まれている。少女時代から竜巻を「手なずける」方法の研究を重ねていたが、大学時代に悲惨な事故を体験してから故郷を離れ、ニューヨークで気象予測の仕事をしている。

そんな彼女のもとに過去の事故をともに体験し、生き残ったハビ(ラモス)が訪ねてくる。オクラホマで最大級の竜巻群が発生。異常事態への対処を手伝って欲しいという。しぶしぶ1週間限定の帰郷を承諾したケイトは、そこでお祭り騒ぎをする「竜巻チェイサー」の群れに遭遇する。

そんな1人、カウボーイ気取りのタイラー(パウエル)はもっとも苦手なタイプだったが、やがて彼の意外な人柄に触れ、ともに無謀とも思える竜巻破壊計画を遂行することになるが…。

繊細さと大胆さを併せ持った主人公ケイトを演じるジョーンズは、野性と知性を同居させた「ザリガニ-」の好演をほうふつとさせる。竜巻の「息づかい」を感じ取る才能に説得力がある。対して、笑顔が憎めないパウエルは、一見軽薄な中に「実は…」の部分を感じさせる。

火災を巻き込んだ火柱竜巻、ふたご竜巻…VFXと大掛かりな実写を組み合わせた竜巻の描写にはリアリティーがある。しがみついた鉄柵ごと人々を巻き上げ、工場群を土台ごと引き剥がす強大なパワーに目を奪われる。

それに抗うチャイサーたちの装備も細部まで描かれ、それぞれのキャラクターも立っている。タイラーを囲む面々はまるで「エイリアン2」の「植民地海兵隊」のようにいかつい。そんなふんだんな仕掛けが作品の厚みになっている。【相原斎】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「映画な生活」)

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