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世界第2の高峰K2で遭難、トップ登山家2人の救命活動は慎重に対策を検討中 所属先が現状報告

日刊スポーツ 2024年7月29日 12時5分

世界第2の高峰K2(8611メートル)で遭難した登山家2人が所属する石井スポーツは29日、救助活動の途中経過を同社ホームページで報告した。日本を代表する山岳クライマーの平出和也さん(45=長野出身)と中島健郎さん(39=奈良出身)が27日午後11時半ごろ、パキスタンにあるK2西壁7000メートル付近を登山中に滑落した。連絡を受けたヘリコプターのパイロットが上空から2人を確認したものの、安否は不明。標高と急斜面などで着陸できず、現在は地上からの救出が試みられている。

石井スポーツは一報を受けて遭難対策本部を設置。同社ホームページは29日午後10時半、「現在までの現地での救助に関する新しい情報は入ってきておりません」と報告した。一方で「両名を確認できている場所は地上から行くのもかなり困難な急斜面な地形ということでクライマーでないと難しいのではないかとの情報です。2次遭難などの事も考慮して慎重に対策を検討しております」と、救助活動が困難になっていることを明かした。そして「多方面からの人員の派遣も準備を進めておりますが、救助の状況によっては活動することもできないことも想定しておりタイミングを見ながら進めております」と、難しい対応を迫られている現状を示唆した。

2人はともに、日本を代表する山岳カメラマンのクライマー。未踏峰や未踏ルートにこだわる登山をライフワークにしている。平出さんは4度のエベレスト登頂を含む6度の8000メートル以上のアタックに成功した。登山界で最も名誉とされるフランスの「ピオレ・ドール(黄金のピッケル)賞」を日本人で最多の3度受賞。13年には三浦雄一郎さんによる80歳でのエベレスト登頂に同行し、その様子を撮影した。TBS系「情熱大陸」やNHK BSプレミアムの特番などで紹介されるなど、世界的トップクライマーの1人として高い評価を受けている。

中島さんもピオレ・ドール賞を2度受賞した名クライマー。関西学院大在学中に未踏峰2座の登頂に成功した。卒業後は海外トレッキングや登山のツアーガイドを務めながら、日本テレビ系「世界の果てまでイッテQ!」登山部シリーズでは、カメラマンとして参加。イモトアヤコのマッターホルンやマナスルなどの登頂をサポートした。

2人は2016年からコンビとなり、毎夏のようにヒマラヤ山脈に乗り込み、難ルートからのアタックを成功させていた。同ホームページで5月7日、K2への挑戦を報告。「2018年に2人で下見に出かけてから早6年、足りない経験を積むために2019年ラカポシ(7788メートル)、2023年ティリチミール(7708メートル)に挑み、やっと準備が整いました」と、未踏の西壁から登ることを明らかにしていた。

同ホームページはこの日、「平出・中島は世界を代表する登山家であることから、日本からも救援部隊として参加したいとの声をいただいておりますが、現地の情報から難しい箇所であるため、現段階では準備にとどめる状況になっております。新しい情報が入りましたらお知らせさせていただきます」として、情報収集に努めている。

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