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ベルリン五輪マラソン金メダリスト孫基禎さん描いた映画上映会に孫登壇「おしゃれ好き」

日刊スポーツ 2024年8月1日 22時21分

1936年(昭11)ベルリンオリンピック(五輪)男子マラソンに日本代表として出場し、金メダルを獲得した孫基禎さんの実話を描いた韓国映画「ボストン 1947」(カン・ジェギュ監督、30日公開)特別試写会が1日、都内で行われた。パリ五輪期間中を受け、国立オリンピック記念青少年総合センターで上映は行われ、舞台あいさつには孫さんの孫銀卿さん(46)も登壇し、祖父の思い出を語った。

「ボストン 1947」は、当時の世界新記録でベルリン五輪マラソンを制した孫さんと、銅メダルを獲得した先輩の南昇竜さんの指導者としての姿を中心に描いた。孫さんは韓国名ソン・ギジョン、南さんは韓国名ナム・スンニョンだったが、ベルリン五輪には日本代表として日本名の孫基禎、南昇竜で出場。孫さんは表彰式で日本の国歌が流れている間、月桂(げっけい)樹の鉢植えで胸元の国旗を隠したことが問題視され、引退を強いられた。

孫さんは、韓国が日本から解放された46年、ソウルで荒れた生活を送っていた中、南さんに“第2のソン・ギジョン”と期待されるソ・ユンボクを、ボストンマラソンに出場させようと持ちかけられた。当時、韓国は難民国とされ、2人のベルリン五輪の記録も日本のものとされ、韓国はスポーツの国際大会に出ることができず、米国に入国するにも高額の保証金を始め、数々の問題はあったが、孫さんと南さんはユンボクを指導者として鍛え抜き、47年の米ボストンマラソンに挑戦。2時間25分39秒の世界新記録で優勝に導いたという物語。

孫の銀卿さんは「おじいちゃんが亡くなった時、私は20代だったので記憶があります。私からすれば、どこまでいってもおじいちゃん。亡くなった後は、急におじいちゃんから歴史上の人物になった。学ばなければいけなくなり、学びました。本で読んだりしたことが多かった」と孫基禎さんとの関係性を紹介。映画については「皆さんと同じように、映画で客観的に見て、知る機会になりました。本当のことって、誰も分からないと思う。亡くなった人がどう思ったか、しぐさ…などは分からない。今回は監督の視点を通した47年、おじいちゃんの話だと思う。発見もありましたし、うれしく思いました」と笑みを浮かべた。

映画では、韓国の人気俳優ハ・ジョンウ(46)が孫基禎さんを演じたが、おしゃれな服装も印象的だ。孫基禎さんは2002年(平14)11月に90歳で亡くなったが、韓国と日本を行き来して、伊勢丹などで買い物し、ファッションを楽しんでいたという。銀卿さんは「映画の中で練習の時に、飲んだくれているところのシャツ、おしゃれだと感じてもらえました? 本人はすごくおしゃれ好きで…私、生まれたの(映画で描かれた)30年後で。(孫基禎さんは)頻繁に日本と韓国を行き来し、必ず新宿の伊勢丹に買い物に行き、小学生になると私を連れて行って服を買ってくれた」と振り返った。

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