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森山未來「大きな衝撃」俳優にとっての小道具の重要性を強調「映るものだけ用意する現場なえる」

日刊スポーツ 2024年8月3日 21時56分

森山未來(39)が3日、東京・テアトル新宿で行われた主演映画「大いなる不在」ティーチインイベントで、近浦啓監督(46)とともに観客との質疑応答に応じた。

その中で、劇中で藤竜也(82)が演じた父の手紙、原日出子(64)が演じた義母の日記を引き合いに、俳優における小道具の重要性を訴えた。

森山は劇中で、俳優の遠山卓を演じた。幼い頃に自分と母を捨てた元大学教授の父陽二(藤)とは疎遠だったが、警察に逮捕されたと連絡が入り、久々に再会すると重度の認知症になってしまっており、向き合わざるを得なくなった、という役どころだ。再婚した父をサポートした義母直美(原)も姿を消した中、卓は残されたメモや直美の日記、日記の中に貼られていた陽二の直美への手紙を手掛かりに、再婚のいきさつがウソだったことを含め、父の実態に迫っていく。

質疑応答の中で、観客の男性から、劇中に登場する手紙が藤本人が書いたものか? と質問が出た。近浦監督は「あれは、スタッフが…」と正直に答えたが、森山は「あの日記には、映画の総予算を半分くらい、つぎこんだじゃないか、くらい。あれは1年くらいの日記で、陽二さんと直美さんが、どういうやりとりして、それぞれの時間を過ごしたか、かなり克明に描かれていた」とフォローしつつ、意義を強調。さらに「もちろん、脚本の中には『手帳を見つけ、その中の手紙を見る』という件があって。撮影から1週間後、そのシーンになって、初めて手帳に出会った。これに出会うのと、出会わないでは…」と続けた。そして「俳優部からすると、やはり小道具は、非常に大きな比重を持っている」と小道具の重要性を強調。その1例を分かりやすく説明した。

「ある役者さんが、お医者さんの役で、小道具さんが用意した、かばんを渡されて、中身を見て、細部までこだわり抜かれていて。その役者さんが、うれしくなって、肌身離さず家にも持って帰ることがあった」

一方で「映るものだけ用意して、あとは、すっからかんみたいな現場のあるんですよ。それは、それで、なえるんです」と苦笑い。小道具がダメな撮影現場の厳しさを吐露。その上で「この映画における、あの手帳は物語全体に対しても、とても大きい。あれは、非常に大きな衝撃を受けました」と、小道具の手帳が与えた影響の大きさを改めて訴えた。

そして、質問した観客はじめ、劇場全体に向かって「藤さんが書いていないから、いるからという問題ではない。あの手帳が、僕に及ぼした影響はメチャクチャ大きい。脚本も変わったしね」と、小道具の手帳、手紙が、主演するにあたり本当に重要だったと声を大にした。

森山はイベントの最後に「30館、さらに40館に広がっていく。この映画の旅は続いていく。お盆ですからね、(地元に)帰る方もいらっしゃるだろうから、地元のお友達に広げてもらえると、ありがたいです」と観客に呼びかけた。

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