トランプ前米大統領（78）は18日夜、11月の米大統領選を前に、米人気歌手テイラー・スウィフト（34）が自身に投票するよう呼びかける人工知能（AI）によって生成された偽の画像を自身のソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」に投稿した。
トランプ氏が投稿した複数の画像のうち、その1つは、第1次世界大戦中の米軍の徴兵ポスターを模倣したもので、米政府を擬人化するキャラクター「アンクル・サム」をほうふつさせる星条旗を模したシルクハットと衣装を着用したスウィフトの画像とともに、「テイラーはあなたにドナルド・トランプに投票してほしい」とキャプションが添えられている。
他にも、スウィフティーズと呼ばれるスウィフトのファンたちが、「トランプのためのスウィフティーズ」と書かれたTシャツを着ている偽画像もあり、「（イスラム過激派組織）イスラム国（ISIS）が、テイラー・スウィフトのコンサートを妨害した後、スウィフトたちがトランプ派になった」との見出しもあった。
これらの画像は、もともとはトランプ支持者のアカウントがX（旧ツイッター）に投稿したものだった。それを共有したトランプ氏は、一連の画像について「歓迎する」とつづっている。トランプ氏が共有した画像のうちの1つには、トランプ氏を支持する本物の女性が写っていたが、他の女性のほとんどはAIを使用して生成された人物だと米NBCニュースなどが伝えている。
スウィフトのファンたちは「テイラーに訴えられるはず」「再び訴訟で刑務所行き」「テイラーは絶対にトランプを支持しない」と激怒している。
前回の大統領選では民主党のバイデン大統領とハリス副大統領の支持を表明したスウィフトは、現時点で今年の大統領選ではいずれの候補者についても支持を表明していない。
2020年に起きた白人警察による黒人男性ジョージ・フロイドさん殺害事件を巡る抗議デモでは、「大統領の任期中ずっと白人至上主義と人種差別の火をあおってきた」とトランプ氏を批判。「選挙であなたを落選させる」と述べていた。
大統領選の結果を左右するほどの影響力があるとされるスウィフトをトランプ氏も恐れているといわれ、今年6月には「テイラー・は並外れて美しい」と称賛したことが伝えられている。一方で、「彼女はリベラルで、おそらく私のことを嫌っている」とも述べていた。（ロサンゼルス＝千歳香奈子通信員）