Infoseek 楽天

UUUM創業者の鎌田和樹氏が初単著出版 起業、TOBなど振り返り「次も楽しいと思うことを」

日刊スポーツ 2024年8月21日 4時0分

人気YouTuberのヒカキンら多くのクリエーターが所属する事務所UUUM創業者で実業家の鎌田和樹氏(40)が、自身の社会人生活を振り返る初の単著「名前のない仕事」(ダイヤモンド社)を8月27日に発売する。このほど日刊スポーツなどの取材に応じ、著書についてや、新卒で入社した光通信時代から起業、そして今後へ向けた思いを語った。【松尾幸之介】

  ◇  ◇  ◇

鎌田氏は「この20年間を自分としてもまとめていきたい、形としてしっかり残しておきたいと思いました。一緒に働いた仲間や社員、会社に就かれていて思うことのある方、引退した方、これから起業する方など幅広い方にぜひ読んでほしいですね」と出版にあたっての思いを口にした。

著書では「僕にとっては光通信時代もとても大切だったので可視化したい」と、社会人としての基礎を学んだ若かりし光通信時代のエピソードをはじめ、ヒカキンらとの出会い、UUUM創業からフリーアウト・ホールディングスへの株式公開買い付け(TOB)による子会社化、そして今後へ向けた思いを赤裸々につづっている。

これまでは半生を振り返る著書出版の話は断っていたといい「(昨年の)株式売却後に何かまとめておきたいねと。そうした気持ちが大きくなって、その時にまたご連絡をいただきました。当時の自分はこうだったなとか、振り返るいいきっかけになりました。今は利益を追求しないといけない部分や、クリエーターとともに歩んでいくところから解放された。社会的にこういうポジションに就きたいとかはないですけど、自分がやるべきこととか、自分だからできること、人に必要とされることをやっていきたい」と力を込めた。

光通信に入社したのは2003年。4年間在籍した総務での功績からイー・モバイル一次代理店会社の代表を任されるなど頭角を示し、2013年に創業した。今年はさらに約10年がたっており、次なる事業へのモチベーションには「誰かの役に立つこと」を挙げた。「必要とされる原動力になること。これまでも言い続けたら、かなってきましたし、そういう機会に出会えてきました。それが仕事なのか遊びなのかわからないですが、いろんな人とご飯を食べ続けたり、ゴルフをしたり、やっていることは昔から変わっていないです」。

経営者として大事なことには「トップになればなるほど即断即決しないといけない」と力を込めた。成功の根源については「仕事とか礼儀とかなんじゃないかな」と語り、ターニングポイントにはHIKAKINと、ガンホーオンラインホールディングス創業者でソフトバンクグループ創業者、孫正義氏の弟である孫泰蔵氏との出会いを挙げた。

「この2人との出会いは岐路だったかと言われるとそうだったかもしれないです」。

昨年のTOBを機にUUUMの会長から退任。1度離れたことで感じたYouTube業界についても口にした。「YouTubeは卒業したあとは人並みにしか見ていないと思いますね。今はたくさんある中のプラットフォームのひとつでしかなくて、YouTubeでなくてもインフルエンサーは生まれるし、何ならTikTokの方がトレンドになってきている。もし企業が使うとしたら今はTikTokだと僕も絶対言うと思います」と語る。パリ五輪の影響などで存在感を増しているTVerなどの例も挙げつつ「YouTubeは引き続き最大級のプラットフォームではあるけども、そうではないものもより強まっていると思いますし、これからもっと(流れは)そうなっていくと思います。そして、今は何でもかんでもネットを無理に使う日常じゃないですか。便利が先行しすぎていて、これは本当に正しいのかなと考えることもあります。やってきたことと逆のことかもしれないけど、ネットじゃなくて意外と身近もいいよとか。今はバランスが崩れていて、その中でみんな事故だけ起こして終わっていく。そんな感じがしていますね」。

自身については「昔は野球をやっていて、完全な副キャプテンタイプ。そういうのが合っていると思います」と語る。プライベートでは「40歳になってパクチーと納豆が食べられるようになった。なんでだろう?」と笑い、「今までだったらやっていなかった」とボクシングジムにも通って定期的に身体も動かしている。業界関係者らが注目する次の動きについて、「今後はどうしましょうかね。全く同じことはしていないと思います。別の第1次、第2次産業に足を踏み入れていると思いますね。必ずしもインターネットを使ってビジネスをしないといけないとも思っていないです。自分にやりがいがある、楽しいと思うことをやっていきたいですね」と穏やかな表情で語った。

この記事の関連ニュース