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伊藤匠叡王就位式「1分将棋で藤井さんとの対局は私にとって貴重な財産」藤井聡太8冠の全冠崩す

日刊スポーツ 2024年8月23日 16時29分

将棋の第9期叡王戦を制してうれしい初タイトル獲得となった伊藤匠叡王(21)の就位式が23日、東京都港区「明治記念館」で行われた。

今期は藤井聡太8冠(当時=22)に挑戦。3勝2敗と激戦をものにして、将棋界の全タイトル(竜王・名人・叡王・王位・王座・棋王・王将・棋聖)を保持していた藤井の一角を崩した。

同学年の藤井とは小学生時代からのライバル。昨年10~11月の竜王戦7番勝負で初めてタイトルに挑戦したが、その藤井に4連敗した。今年2~3月の棋王戦5番勝負も1分け3敗と、歯が立たなかった。今回は第2局でタイトル戦初勝利を挙げると、粘り強い指し回しで8冠と渡り合い、ついに頂点に立った。

伊藤は謝辞で、「今期の叡王戦では自然な指し手を積み重ねて、挑戦権を得ることができました。藤井さんとの番勝負は竜王戦、棋王戦に続いて、あまり間隔を開けずに3回目のタイトル戦となりましたが、その間1勝も挙げる事ができず、大変厳しい戦いが続いていました。今期の番勝負を振り返っても、どれも苦しい将棋だったという印象でしたが、持ち時間が短いということで、最後はお互いに時間がなくなって正確に指していくことが難しいという状況が、私にとって幸いした将棋が多かったと思います。また、1分将棋の緊迫した場面で藤井さんと対局することができたのは、私にとって貴重な財産になったと感じています」と述べた。

決着となった第5局にも触れ、「将棋ソフトでも瞬間的に正しく評価できないという局面が現れました。部分的に人間の判断の方が正しかったというケースもありました。AIの評価というのは絶対的なものではないと確認させられるとともに、将棋の難しさも実感いたしました」と話した。

謝辞で師匠の宮田利男八段(71)が「人間、辛抱」という言葉を発したが、これには「胸に刻んで生きていきます」としていた。

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