非常に強い勢力に達した状態で、今後九州をはじめ日本列島を縦断&横断する可能性が指摘され始めた台風10号が、来月告示を控える自民党総裁選(9月12日告示、27日投開票)と立憲民主党代表選(9月7日告示、23日投開票)に出馬を予定する候補者の動きに影響するのではないかとの見方が、永田町で広がっている。
当初、27日にも自民党総裁選への出馬表明を行うとみられた林芳正官房長官(63)は、危機管理を担当する官房長官としての職務を優先するため、27日の出馬表明は見送った。台風10号の進行速度はかなり遅いとの予報もあり、自民党関係者からは、「少なくとも今週は台風対応に追われるはずだ。林氏の陣営は、出馬表明に関する日程調整にかなり苦心しているのではないか」との声が聞かれた。
一方、15年前の2009年衆院選で初当選し、同時に自民党が政権を失った自身の原点でもある「8月30日」の出馬表明に強いこだわりを持つ小泉進次郎元環境相(43)についても、同様の見方が出ている。
最新の予報では、台風10号は今週内は、日本国内のどこかを進んでいるとする予報があり、各地で被害が拡大する恐れがあるほか、交通機関の混乱が起きる恐れもある。今週に出馬表明を予定してきた候補の陣営では、台風の状況を見極めながらの対応を迫られそうだ。
自民党よりも告示日が早い立民は、より深刻だ。26日の党側の説明会には、すでに出馬表明した枝野幸男前代表(60)のほかに6陣営が出席した。その中の1人、野田佳彦元首相(67)は今週中の表明が見込まれたが、週末にかけて台風が関東方面に進むという予報もあり、状況の見極めが生じるとみられる。立民は来月7日の告示まで10日と、日にちが迫っている。「自民も立憲も、来週は『出馬会見ラッシュ』になるのではないか」(関係者)との声もある。
すでに出馬表明した候補者陣営にとっても、予定した活動に影響が出る可能性もある。台風が、思わぬ形で与野党第1党のトップ選びに影響する形となりそうだ。