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【王位戦】藤井聡太王位「幸運もあった」王位5連覇達成“羽生超え”で2つ目の「永世称号」獲得

日刊スポーツ 2024年8月28日 18時51分

藤井聡太王位(竜王・名人・王座・棋王・王将・棋聖=22)に渡辺明九段(40)が挑む将棋の伊藤園お~いお茶杯第65期王位戦7番勝負第5局が28、29の両日、有馬温泉(神戸市北区)の老舗旅館「中の坊瑞苑」で行われ、先手の藤井が渡辺を下し、シリーズ対戦成績を4勝1敗とし、王位5連覇を達成した。王位連続5期獲得により、早くも2つ目の「永世称号」を手にした。永世二冠の資格獲得の最年少記録、羽生善治九段の24歳9カ月を大幅に更新する22歳1カ月での獲得となった。

終局後、藤井は「どういう方針でやるか難しい将棋だった」と振り返った。

渡辺が選んだ戦型は後手雁木(がんぎ)。経験値が問われる局面が多いスペシャリストの作戦だ。藤井は右銀を足早に繰り出し、急戦策で対抗した。

1日目午前はテンポよく進んだが、午後になり、一手一手が難しく、長考合戦に。2日目の難解な中盤戦では73手目の飛車切りから猛攻を開始。対局の前日会見では「先手番になるのでより積極的な将棋を指せたらと思っている」の言葉通り、果敢な攻めを見せた。終盤は相手の経験値を上回る深い読みで優勢を築き、相手玉を華麗な詰みに討ち取った。

7月に史上最年少の21歳11カ月で永世棋聖の資格を獲得。自身初となる「永世称号」の資格獲得後、わずか2カ月で、2つ目の「永世称号」を手にした。永世称号は大棋士の代名詞で、棋界の頂点、タイトル戦で活躍した証しといえる。

永世王位について「対局に臨む前は意識はしていなかったが、うれしく思う。王位戦5期を通し、いろいろな経験ができた」と振り返った。

永世王位を獲得したのは大山康晴15世名人、中原誠16世名人、羽生善治九段の3人のみ。22歳1カ月で歴代4人目の永世称号資格保持者となった。

今シリーズについて「全体的に内容で押されていることが多かったので、こういった結果は幸運もあったのかなと思う」と話した。

23年10月に史上初の全8冠制覇を果たしたが、今年4~6月に行われた第9期叡王戦で同学年の伊藤匠(たくみ)叡王に敗れ、初めて失冠した。「不調説」もあったが、棋聖戦、王位戦では「横綱相撲」で相手をなぎ倒し、タイトル獲得を通算24期まで伸ばした。若き第一人者がタイトル戦での強さを改めて見せつけた。【松浦隆司】

【王位戦】藤井聡太王位「幸運もあった」王位5連覇達成“羽生超え”で2つ目の「永世称号」獲得

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