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【ひふみんEYE】藤井聡太王位、危険な「顔面受け」も渡辺九段の「最後のお願い」も全て想定内

日刊スポーツ 2024年8月28日 20時22分

<ひふみんEYE>

藤井聡太王位(竜王・名人・王座・棋王・王将・棋聖=22)に渡辺明九段(40)が挑む将棋の伊藤園お~いお茶杯第65期王位戦7番勝負第5局が28、29の両日、有馬温泉(神戸市北区)の老舗旅館「中の坊瑞苑」で行われ、先手の藤井が渡辺を下し、シリーズ対戦成績を4勝1敗とし、王位5連覇を達成した。

本紙「ひふみんアイ」でおなじみ、加藤一二三・九段(84)が対局を振り返ります。

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藤井王位が第4局に続いて快勝しました。第5局、7筋に成り込んだ渡辺九段の銀を玉が取ったのには驚かされました。危険な「顔面受け」ですが、研究済みなんでしょう。「自分の方が面白い」と、冷静に指し手を進めていたと思います。8筋のカベ銀と入れ替えてましたし。

中盤の5筋の攻防でもきめ細かい手順で一枚上の対応を見せました。最後は2筋の飛で華麗な大さばきを見せ、9筋の角がまさに「遠見の角に好手あり」で、にらみを利かせていました。7~8筋の攻めに使った銀が重そうにみえても、渡辺九段の飛車打ちからの「最後のお願い」もすべて想定の範囲内。自玉は安全で、渡辺陣への攻めが間に合っていると踏んで、鮮やかに寄せ切りました。

第3局までいい内容を見せていた渡辺九段は、藤井王位の「矢倉革命」とも言うべき急戦からの中央突破で第4局を落とし、流れが完全に変わりました。

これで藤井王位は5連覇で、「永世棋聖」に次いで「永世王位」も獲得ですか。一線級で長く活躍している証拠です。次の王座戦で対戦する永瀬九段は、藤井さんと互角に渡り合えそうな数少ない棋士の1人。研究相手同士でどんな将棋が見られるのか、好勝負を期待します。(加藤一二三・九段)

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