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【ひふみんEYE】「肉を切らせて骨を断つ」藤井聡太王座の将棋の神髄「勝ち将棋、鬼のごとし」

日刊スポーツ 2024年9月4日 22時15分

<ひふみんEYE>

藤井聡太王座(竜王・名人・王位・棋王・王将・棋聖=22)が初防衛を目指して永瀬拓矢九段(32)の挑戦を受ける、将棋の第72期王座戦5番勝負第1局が4日、神奈川県秦野市「元湯陣屋」で行われた。

午前9時から始まった対局は角換わりからのねじり合いとなった。終盤抜け出した後手の藤井がリードを守って先勝。初防衛に向けて好スタートを切った。第2局は18日、名古屋市「名古屋マリオットアソシアホテル」で行われる。

本紙「ひふみんアイ」でおなじみ、加藤一二三・九段(84)が対局を振り返ります。

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「肉を切らせて骨を断つ」。藤井王座の将棋の神髄が見られました。角換わり後手3三金型ですか。今年4月の叡王戦第2局で伊藤匠七段(当時)に負けた戦型ですよ。いずれ2筋から攻められる陣形ですが、致命傷は負わないように組んでいました。新たな工夫の渋い防御で、補修してきました。後手番でのレパートリーが増えたと思います。

夕食休憩前後で6筋に角が出て、本格的に戦いが始まりました。この手、頭の中に疑問符が思い浮かび、少し遅い気がしましたが、間に合ってました。

その後、9筋からのB面攻撃という陽動作戦を見せ、「その心は5筋の中央突破」を図りました。序盤に作られた先手の馬も取り込み、それを6筋に絶妙のタイミングで打ち返しています。永瀬九段の2筋の攻めも、「お友達をなくす手」とも言うべき香打ちでピタリ。「勝ち将棋、鬼のごとし」でした。

永瀬九段は中盤、5五の天王山に歩を突いた手を含め、全体に攻めが重い印象でした。結果的にこの5筋の歩が緩手となり、付け入る隙を与えた気がします。

第2局は藤井王座が先手ですから、角換わりが有力です。永瀬九段は拒否するか、相横歩取り、ひねり飛車など別の戦法を採用するか。今シリーズは、昨年以上の熱戦が見られそうです。(加藤一二三・九段)

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