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ギター漫談の堺すすむ、マジックのマギー司郎 レジェンドが渋谷さくらホール/連載 <1>

日刊スポーツ 2024年9月11日 5時0分

ギター漫談の堺すすむ(81)とマジックのマギー司郎(78)が、9月17日に東京・渋谷さくらホールで開かれる「歌って元気!笑って健康!秋の演芸フェスティバルVOL.1」(午後3時開幕)に出演する。ともに半世紀以上の芸歴を誇り、今なおステージにあがり続けるレジェンド2人に、このほど話を聞いた。【小谷野俊哉】

◇◇  ◇◇

2人の付き合いは45年にも及ぶ。1980年(昭55)にマギーが日本テレビ系「お笑いスター誕生」で7週連続勝ち抜いてブレーク。すでに、ものまねギター漫談で売れっ子だった堺との交友が生まれた。

マギー お世話になりっぱなしで、地方の営業とか行くと必ず最後の打ち上げで焼き肉屋に連れてってくれて、まあ夜中までですかね。芸人全員で行くんで盛り上がるんですよ。堺師匠は後輩の面倒見がいいので。

堺 気がついたら、81歳。11月には82歳、ゴルフだったら、パー72の10オーバーですよ。自分じゃ、50歳くらいと思ってるのにね。

マギー 僕は78歳、6オーバー。他人から言われて気が付きました。

堺 80歳すぎた芸人さんを見ると「まだやるの、この人」って思ってたんだから、その域に自分がいるっていうのが不思議でしょうがない。だけど、マギーちゃんみたいに、こういう元気な人がそばにいてくれるから、自分も年を忘れるんですよ。やっぱり人に見られてると、意識がね、若いんですよ。

大阪生まれの堺は、ラジオの素人ものまね番組からスタートした。

堺 僕は16歳の時にフランク永井さんのものまねをしてチャンピオンになった。それでチャンピオンばっかりを集めて、大阪の角座で10日間のものまね大会みたいなものがあったんです。司会をしていたのが、腹話術の川上のぼる先生でした。

1960年(昭35)に川上のぼるさんに入門。腹話術ではなく、ギター漫談で、ものまねというオリジナルの芸を作り上げていった。

堺 ものまねをやるようになって、その頃はみんなアコーディオンとか、バンドを付けていたんです。川上先生なんか、お金があるからいつもバンドを連れて歩いてたんですけど。僕らはアコーディオンを頼むんですが高いんです。ギャラが900円なのにアコーディオンの先生が2500円。一番安い人でですよ。歌うのに伴奏がないとダメだし、アコーディオンは高いからダメだし、それでギターだと演歌が歌えるから、と。ボロン、ボロンって弾いて <歌詞>親の血を引く~ 兄弟よりも~ ってね。それでギター持ったんですよ。

20歳すぎ、若くしてギター漫談でものまねの芸風を確立。67年に上京する。

堺 東京に出たのは早かったんですよ。新幹線が走る前に来たから。前の東京オリンピックの前ですね。大阪で、僕みたいにものまねをやって漫談やってる人は全部、川上のぼる門下。僕と同じ一門の人間ばっかりなんですよ。だから敵じゃない、戦う相手じゃないんですよ。それで1回、東京へ見に行ってみたら、東京には何十人もいるんですよ。ものまね漫談みたいな芸人が。おれ、この中に入ったらどれくらいのランクになるんだろうと思って、それで、よし東京に行こうと。

25歳。大阪から東京に出て、勝負することを決めた。

堺 その時言われましたよ。「3カ月で帰ってくる」って。「すすむちゃん、3カ月後の出番を組んどくからね」って。大阪では、事務所とかに所属はしてませんでした。だから吉本、松竹、千日土地、その3つの劇場をグルッて回りながらやってたんですよ。東京に出てきて、いっぱいいる“ものまね屋”の中で、俺はどれくらいのランクになるんだろうと。で、考えるより一番になればいいんだ、それで誰もやってないものまねばかりをやろうと思ったんです。

大阪から上京したばかりの東京では無名の堺を叱咤(しった)激励、見守るテレビマンがいた。

堺 NET(現テレビ朝日)の畑野栄三さんというプロデューサーから「誰もやってないものをやらないと、お前はテレビ出さないからな」って言われて。大河内伝次郎とか片岡千恵蔵とか、みんながやるようなものをやってるとダメと言われました。僕は「そんなのやりませんよ。橋、舟木、西郷です。橋幸夫、舟木一夫、西郷輝彦の御三家です」って。それで「それは誰もやってない。それはいいや」って。それからは月に1回、人気番組だった「大正テレビ寄席」に出してもらえるようになりました。

テレビに出られたことで、売れない、食えないという苦労を味わうことはなかった。ネットもYouTubeもない時代だった。

堺 地方に行っても“テレビに出てる人!”ってなったんだけど、今と違って「大正テレビ寄席」をオンエアしてるのが全国に行き渡ってなかった。地方に行くとテレビはNHK、あとは民放は1局くらいだったの。だから僕が審査員をやっていた「歌まね合戦 スターに挑戦」なんて、地方じゃ視聴率75%なんて、信じられない化け物番組だって言われてた。だって、他にNHKのニュースしかないんだから。

(続く)

◆堺(さかい)すすむ 1942年(昭17)11月23日、大阪生まれ。60年腹話術の川上のぼる門下に。ものまねギター漫談を確立。67年上京。76年放送演劇大賞声帯模写部門賞。80年代後半に「な~んでかフラメンコ」がブレーク。血液型A。

◆マギー司郎(しろう) 1946年(昭21)3月17日、茨城県下館町(現筑西市)生まれ。63年上京。66年初舞台。68年マギー信沢入門。80年日本テレビ「お笑いスター誕生」7週勝ち抜き。81、82年放送演芸大賞ホープ賞。08年(平20)浅草芸能大賞。血液型A。

▼「歌って元気!笑って健康!秋の演芸フェスティバルVOL.1」 東京・渋谷区文化総合センター大和田さくらホールで、9月17日午後3時開演。出演は堺すすむ、マギー司郎、おぼん・こぼん、桂宮治、紺野ぶるま、磁石、竹川美子、走裕介、や団、近江綾、河口こうへい、錦笑亭満堂、ゴンゾー、フランピアノ、ツーライス、ガンリキ。

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