Infoseek 楽天

武藤十夢「むとうとむ」キセキの軌跡 気象予報士など資格多数 もうすぐ30歳「大台に乗る感じ」

日刊スポーツ 2024年9月15日 8時0分

昨年3月に武藤十夢(29)が、AKB48を卒業して1年半がたった。タレントとして気象予報士、ファイナンシャル・プランナー(FP)、防災士、そしてキャリアコンサルタントの資格を生かして、着実に仕事の幅を広げている。11月には30歳の誕生日を迎える、上から読んでも下から読んでも「むとうとむ」に聞いてみた。【小谷野俊哉】

★AKB卒業から1年半

12年の長きにわたって在籍したAKB48を卒業して、1年と半年がたった。

「結構、アッという間だったな~っていう感じがします。グループと違って、皆で動くことっていうのがなくなったので、その辺の大変さだったり楽しさだったり、グループとの違いというのはすごく感じました。でも、メンバーとの関係はあまり変わっていません。今でも会って、ご飯に行ったり楽しんでます。うちの妹(武藤小麟=24)が現役メンバーでいるんで。小麟と向井地美音ちゃんとか岩立沙穂ちゃんは、よく会ったりしますね。(大島)優子さんは1回会ったかな。1回、ご飯に行って、あとは去年の夏に優子さんのファンミーティングのゲストに出させていただきました」

資格を多数習得している。2019年(平31)4月、平成の最後に8度目の挑戦で気象予報士の資格を取得した。

「勉強し始めたのは19歳の時でした。AKBのメンバーは、同世代の女の子がいっぱいいた。ダンス、歌、トーク、演技と、皆いろいろな強みがある中で、私って何が強いんだろう、自分って何もないと思って。何か自分だけの武器が欲しいと思って、ちょうど大学に通っていた時だったので勉強方面でやってみようかなって。気象予報士だったら“お天気お姉さん”とかの仕事にもつながりそうだし、やってみたいなって」

CS放送ファミリー劇場のAKBバラエティー「ネ申すテレビ」の企画でチャレンジが始まった。

「私、学業優先で全然出演できてなかったので『武藤で大きい企画やろう』ってなって、『何をやりたい』って言われた時に『気象予報士の仕事をやりたいです』って言って始まりました。足かけ5年くらいかかって、7回落ちて8回目で受かってます」

21年(令3)には「ファイナンシャル・プランナー士2級」の資格を取得した。

「気象予報士の勉強が終わって、大学院修了。じゃあ仕事一本で頑張ろうってなった時、コロナ禍になっちゃったんですよね。すごく暇になっちゃったんで、勉強の習慣があるうちにまた勉強しようかなって思ったんです。大学が経済学部だったので、マネー誌の『ダイヤモンドZAi』で連載をやらせていただいてたので、お金の知識を身につけたいと思っていました。いろいろ調べてるうちにFPがあって、投資だけじゃなくて、自分の身近なお金の知識も得られる。じゃあ、これ勉強してみようかなと」

22年に防災士、23年にSDGs検定に合格した。

「SDGsっていうと、きれい事みたいな部分があると思うんですけど、やっぱりその中でも大事にしなきゃいけないものって絶対にある。天気とSDGs、経済とSDGs、防災とSDGs、いろいろなものとSDGsが関わり合う。それで勉強しようと思いました」

タレントの仕事をしながら、資格試験にチャレンジ。

「学生時代の勉強って全然好きじゃなくて、成績も中の下くらいだったんですけど。本当に自分のやりたいことを勉強し始めてからですね、勉強が好きだなって思うようになった。やっぱり勉強すればするほど蓄積されますし、“努力は裏切らない”。勉強ってやれば自分の身になるので、うそはつかない。あと、新しいことを知ることが好きなので、そういう意味ではよかったです」

資格取得だけではなく、タレントとしても着実に実績を積んでいる。20年に映画「おかあさんの被爆ピアノ」、22年に映画「日光物語」に主演している。

「女優の仕事は、やらせてくれるのであればやりたいなと思っています。でも最近だと、どうしても資格を生かした、お金とかそういう仕事が多いなと。他の仕事と演技の仕事は、全然違うと思う。アイドルと演技も、もちろん違います。だから、アイドルを辞めてから演技をメインにする人って、演技一本っていうイメージですね。お芝居の仕事は、声がかかれば是非っていうところです」

AKBを卒業してからは、歌のイメージはなくなった。

「辞めてから、全然歌ってないです。ダンスが好きでAKBに入ったから、歌は結構下手だったと思います(笑い)。今でも決してうまいと言えるものではないですけど、カラオケとかに行ってAKBの歌を歌いますよ」

忙しい中でも、自分の時間を大切にしている。

「オフはありますよ。勉強はなるべく、ちょっとずつでも習慣にしていたいなというのはあります。今は、ちょっと英語をやってみようかなと。大嫌いなんですけど、中学英語をちょこちょこちょこちょことやっています」

現役AKB48メンバーである、妹の小麟とは6学年違い。

「今は仲いいですね。AKBに入る前は年も離れているし、妹が小学校1年生の時に私は中学1年生で、かすりもしなかったので。それよりは2歳下の弟と仲がよかったです。弟は今、働いてますけど『上もAKB、下もAKBで、俺がしっかりしなくてどうするの』みたいな感じのこと言ってます。お前が一番しっかりしてないんじゃないのみたいな感じですけど(笑い)」

AKB時代は結構、小麟と距離があった。

「仲が悪くなりました(笑い)。妹が公演とかで私の話をするんですが。ネタが切れになってくると、話を作って話すんですよ。それが、ちょっと炎上というか話題になって。それで半年くらい口を聞かなくなって。でも、同じチームになってから、話を作れなくなって仲良くなりました。今は同じ事務所にいるくらいですから、仲いいです」

★株価大暴落→勉強意欲

11月には30歳になる。

「そうなんですよ、大台に乗る感じがしますね。いや~30か、みたいな感じにはなります。子供の頃は、30歳はすごい大人だと思ってたんですけどね。幼稚園の時には『私は20歳で結婚するんだ』みたいな感じでしたからね。だけど、30歳になるのに全然結婚する気配もない。楽しくやっているんでいいかなって思うけど、もっと大人だと思ってました。結婚は考えますけど、相手がいないとできないんで(笑い)。いろいろな生き方が、今はある。まず結婚するか、しないか。結婚したとして、子供を産むか、産まないかみたいな。いろんな選択肢を仕事との兼ね合いも含めて選んでいきたいですね」

AKBといえば選挙。AKB時代の選抜総選挙は第4回から49→45→24→16→10→不参加→7位。自民党総裁選、立民党の代表選を“総選挙のプロ”として分析してもらった。

「いやいやいや、めちゃめちゃ難しい。どうなってくるんだろうなって思いながら、こういうのがきっと株とか投資に影響してくるんだろうなって思って見ています」

ファイナンシャル・プランナー、金融のプロとして「もっと投資について勉強したい」という。先月の初めは、株価の大暴落も経験した。

「あれね、大変でしたよ。もうヒヤヒヤしながら売買していました。買ったり売ったりして、でもすぐ戻ってきたんで二番底みたいな感じになったり。そういうのとかも、もっとちゃんと勉強したいというのはあります。あとはせっかく取った資格を生かしていきたいと思っています」

今年4月には、さらに新しい資格を取った。

「キャリアコンサルタントの資格を取りました。自分のキャリアに対して悩んでる人の話を聞いて、どうしたらいいかと一緒に考えたりするんです。AKBとにいた時に、悩み相談で『これからどうしたらいいですかね』っていう話を聞くことが多かったんです。そういう時に、どういう聞き方がいいかとか、どういう言葉をかけてあげられるかとか、ちゃんと勉強して相談に乗ってあげられたらいいなと思っていました。自分も悩んだ時期があって、その上で資格を取ったりして自分の道を進んできました。そういう自分の経験も生かしつつ、人の話を聞いて前向きになれる言葉をかけてあげられる人になりたい」

国家資格であるキャリアコンサルタントの勉強のために講習にも通った。

「講習を何単位も受けなきゃいけないので通いました。普通に下は大学生から、上はおじいちゃん、おばあちゃんみたいな方まで一緒に教室で受けてました。半年くらいです。気づかれましたよ。『昨日、テレビで見ました』って言われたちね。ハッってなったり、気を使って何も言わない人もいましたけど。キャリアコンサルタントって話を聞くために会話をするので、受講者同士で事情を結構、知っていました。だから、私も普通に『アイドルやってたんですけど』って話してました。楽しいですね。いろんなコミュニティーに参加することで、いろんな価値観を得られることっていうのは楽しかった。自信にもなるし、資格に限らずできなかったことができるようになるのはうれしい」

コロナ禍ではFPの資格習得とともに、料理ができるように頑張った。

「得意料理は、鶏雑炊と酢豚がおいしいです。自分で作って、自分が作ったものを自分が食べて『うん、おいしい』ってやるのが好きです。妹の小麟とかも、たまに食べに来ますけどね」

★時代に合わせた発信を

10年後は“アラフォー”。

「働き方、変わりたくないですよね。もちろん、立場も変わってくると思うんですけど、気象予報士しかり、FPしかり、防災士、キャリアコンサルティング、その世代によってニーズは変わってくると思う。自分の感じ方とかも変わってくるので、それに合わせた発信の仕方をしながら、お仕事を続けていきたい」

多くの資格を持ち、時によってその意味合いが変わる。1カ月前には「南海トラフ地震」発生の可能性が指摘され、防災士の資格が注目を浴びた。

「持っている防災袋を改めて確認するいい機会になりました。そういうのも、例えば40歳で自分がママになってたら、やっぱり防災袋に入れる中身も変わってくるわけですよ。そういう自分が感じたものを、年代ごとにいろいろな発信の仕方をしていけるようになりたい。」

武藤十夢は中身も成長しながら、変わっている。

▼所属事務所「生島企画室」会長の生島ヒロシ(73)

十夢ちゃんは、ほがらかで、いつも明るい。美人ですが、東京の下町出身でサバサバしている“下町の太陽”です。同僚や後輩の面倒見がいい姉御肌。自分のキャリアにも真剣に向き合って、何にでも全力でチャレンジして1度きりの人生を謳歌(おうか)しようとする意欲と実行力にあふれています。目的に対して努力を惜しまない姿は、そばで見ていても気持ちがいいし、将来がとても楽しみです。AKBで見いだして、育ててくれた秋元康さんには大感謝です。

◆武藤十夢(むとう・とむ)

1994年(平6)11月25日、東京都生まれ。11年にAKB48の12期生に加入。19年4月に8度目の受験で気象予報士に合格。20年(令2)3月、成城大大学院経済学研究科修了。同年8月、映画「おかあさんの被爆ピアノ」主演。21年ファイナンシャル・プランニング技能士2級。22年3月、防災士合格。同年10月、映画「日光物語」主演。23年3月、AKB48卒業。同年4月、写真集「とむもよう」。同年10月、SDGs検定合格。24年4月、キャリアコンサルタント合格。身長156センチ。血液型B。

◆キャリアコンサルタント

2016年(平28)に職業能力開発促進法に規定された国家資格で厚生労働省の管轄。職業に関する相談に助言、指導を行う。今年8月末で資格者数は7万5137人。5年ごとの更新制で、登録継続には講習を受講する必要がある。

この記事の関連ニュース