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ドジョウならぬアサガオ演説で同僚を鼓舞 立民野田佳彦新代表の「言葉力」次は自民新総裁が標的

日刊スポーツ 2024年9月24日 5時0分

9月23日、立憲民主党の新たな党代表に選出された野田佳彦元首相(67)は、論戦や演説の「名手」として知られる。直近で注目されたのは、2022年9月に国会で行われた安倍晋三元首相への追悼演説。2012年11月、野党自民党総裁だった安倍氏との党首討論時に電撃解散宣言をして、結果的に惨敗して政権を奪われた「敵」への率直な心境をつづり、与野党を超えて共感を呼んだ。また、13年前の2011年8月の民主党代表選で言及し、その後代名詞になった「ドジョウ演説」など、野田氏には言葉にまつわるエピソードが多い。

同党は民主党時代から、代表選当日、最後の決意表明演説を行う。今回は1人6分。ドジョウ演説のように、投票先を決めかねている議員らへの「最後の一押し」になることもあり、各候補とも演説内容を練り上げる。今回、ドジョウ演説のような内容になるのか注目していたところ、野田氏が語ったのはドジョウでなく「アサガオ」だった。

1993年に初当選し再選を目指して出馬した1996年衆院選で落選。4年間浪人生活を送ったことに触れた野田氏は、出席した朝食会でアサガオの話題になった際、朝方咲くために必要な要件を自分は「太陽の光り」と考えたところ、「日が昇る前の夜の闇、夜の冷たさこそが大事」という展開になったと明かした。「夜の闇や冷たさを知ってこそ、ぬくもりがうれしい」と納得したと述べ、「我々は夜の闇と夜の冷たさを知っている。そこで積み上げてきた政策こそ、今の時代の要請ではないか」と、自民党と戦う同僚たちを奮い立たせるように、政権交代への決意を示した。

代表選に際して、スポーツ各紙でインタビューをした時、格闘技ファンで知られる野田氏に、今の心境をプロレスに例える質問が出た。野田氏は、長州力の言葉に言及した。

「安倍元総理の追悼演説を書いている時、ブログに表明して厳しいご批判を受けたのが、『私は安倍元総理のかませ犬ではない』という内容。プロレスファンでない方は自虐的イメージに取られたかもしれないが、プロレスファンは分かってくれた」と振り返り、かつて長州力が藤波辰爾に言い放った「おれはかませ犬ではない」を念頭に置いたものだったと述べた。「(長州力は)自らの心を鼓舞しながら、新しい時代を切り開いた。とすると、今は長州力の心境です」。

野田氏はこのインタビューで、代表になった場合に論戦してみたい自民党総裁候補を問われて、石破茂元幹事長(67)を挙げ「がっぷり四つで議論ができる相手」と評した。その後、石破氏にも同様の質問をすると、石破氏もまず野田氏を挙げ「演説を聞いていても、この人はすごい。率直に尊敬できる」と述べ、論戦力で認め合っていることをうかがわせた。

久しぶりに「党の顔」として国会論戦の先頭に立つ野田氏の、腹の底から響く声でつむがれる言葉は「ドスンパンチ」と呼ばれる。その言葉は、27日に選ばれる自民党総裁にどんな内容で浴びせられることになるのだろうか。【中山知子】

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