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【王座戦】藤井聡太王座「苦しい局面が続いた」永瀬拓矢九段を大逆転で下し初防衛

日刊スポーツ 2024年9月30日 21時39分

藤井聡太王座(竜王・名人・王位・棋王・王将・棋聖=22)が永瀬拓矢九段(32)の挑戦を受ける、将棋の第72期王座戦5番勝負第3局が30日、京都市「ウェスティン都ホテル京都」で行われ、後手の藤井が永瀬を破り、3勝0敗で王座初防衛を果たした。

タイトル通算獲得数を25期に伸ばし、歴代5位の谷川浩司17世名人(62)に並ぶまで、あと2とした。

評価値10%台からの大逆転劇だった。終局後、藤井は「夕食休憩明け、相手の玉が安定した形になり、苦しい局面が続いた」と振り返った。

戦型は第1局、2局に続き角換わり。両者とも研究の範囲なのか、開始から1時間で62手目まで進むハイペース。中盤は膠着(こうちゃく)状態が続き、高い精度の大局観が求められた。

両者とも1分将棋に突入。最終盤、形勢が不利になった藤井はトラップを仕掛け、巧みな手順で相手玉を追い詰めた。

昨年は藤井が7冠を保持した挑戦者として永瀬王座に挑み、3勝1敗でタイトルを奪取して8冠全制覇を果たした。偉業を達成した場所が「ウェスティン都ホテル京都」。同じ対局室で、立場を入れ替えてのタイトル戦となった。

昨年はどっちに転ぶか分からない5番勝負だった。藤井が「成長が問われるシリーズ」と位置づけた5番勝負は、第1局、2局は完勝譜。もつれた第3局は構想力で上回った。

今年4~6月に行われた第9期叡王戦で同学年の伊藤匠(たくみ)叡王に敗れ、初めてタイトルを失い、8冠から陥落した。「不調説」もあったが、その後の棋聖戦は3勝0敗、夏の王位戦は4勝1敗と防衛を果たし、2つの永世称号を手にした。王座戦は3勝0敗で初防衛。8冠独占の地で「強すぎる」、若き王者が復活した。

10月5日には竜王戦7番勝負が始まる。相手は佐々木勇気八段(30)だ。佐々木は17年にデビュー以来29連勝中だった藤井に初黒星を付けた「藤井を止めた男」としても知られる。強敵を迎え撃つ。【松浦隆司】

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