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【ひふみんEYE】勝負手から勝機つかんだ藤井聡太王座 指運で泣いた永瀬拓矢九段

日刊スポーツ 2024年9月30日 22時36分

<ひふみんEYE>

藤井聡太王座(22)が挑戦者の永瀬拓矢九段(32)に連勝して迎えた、将棋の第72期王座戦5番勝負第3局が30日、京都市「ウェスティン都ホテル京都」で行われた。

午前9時から始まった対局は双方1分将棋となる接戦の末、午後9時に劣勢をひっくり返した藤井が156手で永瀬に逆転勝ち。シリーズ3連勝として、昨年8冠全冠制覇を果たした同所で初防衛を果たした。永瀬のタイトル奪還はならなかった。

本紙「ひふみんアイ」でおなじみ、加藤一二三・九段(84)が対局を振り返ります。

   ◇   ◇   ◇

1分将棋の綱渡りでの防衛ですか。藤井王座も慣れているとはいえ、よくひっくり返したと思います。劣勢に立たされながらまずは受け切り、後手9六香の勝負手から勝機をつかんだと思います。

昨年3月の棋王戦第3局、やはり1分将棋の末に簡単な詰み筋を逃して渡辺明棋王(当時)に敗れたことがありました。これは誰でもあることですが、調子がいい時は正確に指し手が読めますし、ミスも出ません。私、大山先生と1分将棋を50局くらい指していますが、全部正着でした。

第1、第2局といいところがなかった永瀬九段は今局、善戦健闘しましたが、こちらは後手9六香に先手9七歩として、指運で泣きました。「エアポケットに入った」と言っていたようですが、やはり先手9七桂だったら分かりませんでした。

棋士の中にも新型コロナウイルスがはやっているようですが、藤井王座が感染したと聞いたことはありません。よほど体調に留意して対局に臨んでいるのでしょう。大事なことです。王座を3連勝で防衛して、来月から竜王戦7番勝負の防衛戦に集中できるのは大きいと思います。(加藤一二三・九段)

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