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岸田首相が官邸を去る 内閣総辞職に当たり談話を発表、政策の成果強調も最後まで裏金問題を釈明

日刊スポーツ 2024年10月1日 12時46分

岸田内閣は1日午前の閣議をもって総辞職した。岸田文雄首相(67)の在職日数は1094日。戦後の首相では岸信介元首相に次ぐ戦後8番目の長さだった。岸田首相は1日昼、職員らの見送りを受け、約3年間執務した官邸を後にした。

総辞職に当たって、岸田首相は内閣総理大臣談話を発表した。

「三年前の内閣発足以来、我が国が『時代の転換点』に直面する中、先送りできない課題に正面から向き合い、経済、社会、外交の各分野において、『変化を力にする』取組を着実に進めてきました」と主張。物価高対策やエネルギー政策の転換、少子化対策、防衛力の抜本的強化などに取り組んだことを強調。地震や記録的豪雨に見舞われた能登地方をはじめ、全国各地で自然災害による被害が発生したことにも触れ「一日も早く元の生活を取り戻せるよう、政府一丸となってしっかりと対応してまいります」と記した。

一方、自民党派閥の裏金事件にも言及。「一人一人の国民の声に寄り添う、『信頼と共感』を得られる政治を実現する。これが岸田政権発足の原点であり、一貫して持ち続けてきた決意でした。こうした中、自民党の政治資金をめぐる問題に端を発し、国民の政治への信頼を揺るがす事態を招いたことは遺憾」とした。「説明責任を果たすべくつとめるとともに、再発防止にも全力で取り組みました。先の国会では、各党・各会派による真摯な議論を経て、改正政治資金規正法が成立しましたが、政治改革に終わりはなく、引き続き取り組んでいかなければなりません」と記した。

裏金事件への対応として、自身が率いていた岸田派の解散に踏み切り、安倍派や二階派など他派閥の解散にも波及した。ただ「裏金議員」への処分の手ぬるさや、改正政治資金規正法を成立させたが「ザル法」批判がぬぐえず、支持率は下落を続け、総裁選不出馬の要因となった。裏金問題に対し、国民の納得が得られないまま退任する形となり、最後の談話まで裏金問題で釈明に追われる形にもなった。

談話の最後は「どうか、次なる内閣、新総理に対しても、皆様の御支援をお願いいたします。ありがとうございました」と結んだ。

「外交の岸田」を自任する首相は在任中、日韓関係の改善に尽力したほか、昨年5月には、地元の広島市で開いた先進7カ国首脳会議(G7サミット)で議長を務め、ウクライナのゼレンスキー大統領の電撃来日もあった。広島サミット後は支持率も上昇し、衆院解散の機会も複数あったが、岸田首相は踏み切らなかった。

物価高対策の一環で、今年6月のボーナス時の定額減税にも踏み切ったが、増税イメージを払拭(ふっしょく)できず、「増税メガネ」などと厳しい批判にもさらされた。

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