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石破茂首相「納得と共感内閣」と命名、国民は納得できる?解散戦略ぶれ「ご祝儀ムード」も消える

日刊スポーツ 2024年10月2日 5時0分

自民党の石破茂総裁(67)は1日、第102代首相に選出された。悲願達成の瞬間も笑顔はなし。総裁選で明言していた与野党論戦をすっ飛ばしての「10・27衆院選」日程を、まさかの首相就任前に発表したことに野党は猛反発。指名選挙の開始がずれ込む大荒れの船出となり、首相就任にもご祝儀ムードはなかった。発足した石破内閣は閣僚19人中13人が初入閣で論功人事も著しい。愚直に正論を訴えてきた石破首相だが、「看板倒れ」批判も出ている。

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5度目の挑戦でたどりついた自民党総裁の座から、悲願の首相に。衆院本会議の指名選挙で第102代内閣総理大臣に選出された石破首相は自席で立ち上がり4回、頭を下げた。笑顔はなかった。 通常は粛々と進む首相指名選挙は、冒頭から大荒れの展開だった。

9月30日、首相就任前の立場で「10・27衆院選」日程に言及したことで、野党は猛反発。総裁選中は、与野党議論後の「11月総選挙」が念頭にあったとされる石破首相だが、総裁選後、ベテラン森山裕幹事長(79)らの進言で、超早期解散総選挙に方針転換。野党との論戦から逃げるように解散を急ごうとする石破自民党の動きに野党は反発を強め、指名選挙の開始は約30分遅れた。

本会議で討論に立った立憲民主党の小川淳也幹事長は「自民党を変えることを国民に期待されながら、自民党に変えられようとしている。傀儡(かいらい)になりつつある」と、論戦から逃げようとする石破首相の姿勢を批判した。

石破首相は衆参両院での指名後、組閣に着手したが、9月29日の段階でほぼ陣容が固まり、「身体検査」への懸念は根強い。女性閣僚は岸田政権の5人から2人に減り、「オッサン内閣」(野党関係者)と評される閣僚は、19人中13人が初入閣。総裁選で支持を受けた議員や気心知れた防衛族議員、決選投票で支援を受けた森山氏や菅義偉元首相(75)に近い議員が顔をそろえた。

安倍晋三元首相の国葬に際し「国賊」と表現して党の処分を受けた村上誠一郎総務相(72)の起用には、自民党でも評価が割れる。「同じ『物言う』立場で盟友関係。閣内に入れることで安心感を得たいのかもしれない」と見る向きもあるが、村上氏の今後の発言への警戒感も強い。

初の総裁選挑戦から16年かけてトップにのぼりつめた石破首相。党内で批判されても正論を訴える姿が評価されてきたが、実際に権力を握ると「らしくない」動きが表面化してきた。

1日夜の会見では、自身の内閣を「納得と共感内閣」と命名し「共感と納得の政治を進めたい」と強調。解散を急ぐことで限定的となる国会論戦について「自分の言葉で語りたい」「(時間は)十分とは言えないかもしれないが、国民の心に響くようにしたい」と訴えた。その解散の大義を問われると「この内閣を信任いただけるのか、他の選択肢があるのか。主権者たる国民に問うのが大義だ」と持論を口にした。

石破首相には「自分の色を出す前に自民党の権力にのみ込まれている」(野党議員)との指摘もある。厳しい船出だ。【中山知子】

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