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空音央監督「パレスチナを心配し、声挙げている」長編デビュー作舞台あいさつでガザ支援訴える

日刊スポーツ 2024年10月5日 13時13分

空音央監督(33)の長編劇映画デビュー作「HAPPYEND」の公開記念舞台あいさつが5日、東京・新宿ピカデリーで行われた。席上で、同監督は「パレスチナで起きていることを心配し、声を上げている」と、23年10月から続く、イスラエルがパレスチナ自治区ガザに侵攻し、イスラム組織ハマスと戦闘している件について言及した。

空監督はこの日、お手製で刷り上げた作品のポスターを持参し、観客に配布した。裏には、作品を製作するにあたって参考にした文献等々がまとめられ、その中に「パレスチナに寄付する」と書かれたQRコードが印字されていた。同監督は「物質的支援が行き届けばと思う。スキャンして寄付をしてもらったり、動画を見て欲しい」と観客にパレスチナ支援を訴えた。

空監督が公開記念舞台あいさつの檀上でパレスチナ問題について言及したのは、考えるべき問題、テーマが「HAPPYEND」にも通底しているものがあるからだ。作品は、同監督が16年から構想、脚本開発を進め、7年の年月をかけ、日米のスタッフとともに作り上げた。近未来の日本が舞台で、俳優&映画デビューの栗原颯人(24)と日高由起刀(20)がそれぞれ演じた、幼なじみの高校3年生ユウタとコウが、仲間との5人組でつるんでいた高校3年時に学校に忍び込み、とんでもないイタズラをする。それに佐野史郎(69)演じる校長が激怒し、四六時中、生徒を監視するAIシステムを導入。そのことで、コウは自らのアイデンティティーについて考え始め、ユウタとの関係はぎくしゃくし始める物語。

空監督は、製作の経緯を聞かれ「3・11(東日本大震災)で政治性が芽生えて、そこから日本の歴史を知り、1923年(大12)の関東大震災と朝鮮人虐殺を知り」と言及。劇中では、在日コリアンをはじめとした外国人への差別もテーマとして盛り込まれており「構想している時期は、日本でもヘイトスピーチが起きていて…もう1回、起きて欲しくないなという緊急性、危機感を感じながら…構想の骨組みに、僕の学生時代の経験を込めた」と語った。

空監督は、23年3月に71歳で亡くなった音楽家の坂本龍一さんの次男。23年には坂本さんのコンサートドキュメンタリー映画「Ryuichi Sakamoto - Opus」を手がけ、坂本さんが13年に最高賞の金獅子賞を争うコンペティション部門の審査員を務めた、ゆかりの世界3大映画祭の1つ、ベネチア映画祭(イタリア)でお披露目した。「HAPPYEND」も、同映画祭オリゾンティ部門に出品し、9月2日(日本時間3日)に世界初上映を行った。

空監督は、この日、東京・渋谷 都民の城で午後2時から行われる「パレスチナのための全国連帯アクション Nationwide Protest for Palestine」を紹介。「本当に大事なパレスチナのデモがあります。僕も、次の舞台あいさつが終わったら、駆けつけるつもりです」と、デモに参加する考えを明らかにした。【村上幸将】

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