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石破首相ぶっちゃけ過ぎ…政活費使用&非公認者当選なら追加公認あり「どう見られるかより…」

日刊スポーツ 2024年10月10日 5時0分

衆院は9日、解散された。15日公示、27日投開票で行われる衆院選は、自民党派閥裏金事件など「政治とカネ」が1つの争点になる。解散に先立つ党首討論では、立憲民主党の野田佳彦代表が「裏金隠し解散だ」と、石破茂首相の変心ぶりを批判。首相は「正々堂々、国民の審判を仰ぐ」と述べた。自民党は裏金問題に絡み計12人を非公認としたが、旧安倍派からは反発もある。野党の攻勢に身内の不満…。「敵だらけ」の石破首相は、賭けともいえる一大決戦に突入した。

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今月1日の首相就任からわずか8日後の解散で、投開票は26日後。いずれも戦後最短という異例の短期決戦に、石破首相は過去の自説を曲げてまで踏み切った。解散が決まった9日の衆院本会議では、与野党論戦をすっ飛ばした首相の「変心」に抗議する野党が恒例の万歳を叫ばなかった。与党席の万歳と野党席のやじが混じり合う異様な雰囲気の中、衆院解散となった。

解散を前に、首相は今国会唯一の与野党論戦となった党首討論に臨んだが、各党党首には総じて裏金問題を突きつけられた。立民の野田代表は「そもそも解散ありき。裏金隠し解散だ」と批判。日本維新の会の馬場伸幸代表は、首相の主張がブレていることを念頭に「猫の目解散だ」と指摘した。

この場で石破首相には、本音ともいえる「ぶっちゃけ」発言が目立った。非公認とした裏金議員ら12人が当選した場合、追加公認するのか問われると「主権者たる国民のみなさま方がご判断された場合、公認することはございます」と述べ、野党から「えええ?」とヤジが飛んだ。

国民民主党の玉木雄一郎代表には、使途公開の必要がなく廃止を求める声も強い政策活動費(政活費)を、今回の衆院選で使わないよう求められたが、石破首相は「厳しい戦いをしているところもある。適法の範囲内で、現在許されているものを使うことは、可能性として否定しない」と述べた。

玉木氏は「結構、問題発言だ」と問題視し「自民党がこれだけのことをしておいて、透明性、公平性が問われる中、公開義務のない何十億のお金を使うのか」とたびたび迫ったが、石破首相は「私自身、お金の使い方は心して臨みたい」などと述べるにとどめた。

自民党内では「首相は、どう見られるかより、目の前をどう戦うかで必死になっている」と懸念の声も漏れる。最新の党の情勢調査では、無党派層が多い都市部の選挙区などで想定以上に結果が悪かったとされ、それが、当初の裏金議員の「原則全員公認」方針から転換した一因ともみられている。

首相は9日夜、記者会見に臨み「『日本創生解散』だ」と命名した上で、衆院選の勝敗ラインについて「非常に厳しいということは、私自身がよく承知しているが、自民、公明で過半数を目指したい」と意欲をみせた。非公認者の追加公認発言などは、情勢の厳しさの裏返しではないかと見る向きもある。

会見でも政活費の発言について問われた石破首相は「抑制的に使いながら、この先、廃止も含めてわが党として検討したい」と述べた。「党内融和より国民の共感を得るのが大事」と「国民の共感」にも言及した首相だが、野党の攻勢から逃げた末の解散総選挙は、有権者にどう評価されるのだろうか。【中山知子】

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