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野口健氏「私は半分、死にました」登山仲間死去に思い 師の思い継ぐ後輩へ「還ってきてくれよ」

日刊スポーツ 2024年10月11日 14時32分

アルピニストの野口健氏(51)が11日までにX(旧ツイッター)を更新。今月末にヒマラヤ山脈「パンドラ山」(標高6850メートル)の東壁に挑む登山家で山岳ライターの大石明弘氏へのメッセージをつづった。

野口氏は、大学時代の山岳部の後輩でもある大石氏が9月26日に公開した「谷口けいさんが目指したパンドラ(6850m)東壁に挑戦します」と題したnoteを引用。大石氏は、15年12月に登山中の遭難により43歳の若さで亡くなった世界的な登山家で、自身が師と仰いだ谷口けいさんの思いを継いで氷壁に挑む思いをつづっていた。

谷口さんは野口氏の登山隊の主要な隊員でもあった。また、22年に遭難により亡くなった山岳カメラマンの平賀淳さんも同じく野口隊のメンバーだった。野口氏は「その2人を失い私は半分、死にました。そして今年は更に好きな山仲間を失いました。もう、失うことに疲れました。もうこれ以上は耐えられないと山から離れる事も考えました」と、谷口さんや平賀さんに続いて平出和也さんや中島健郎さんなど多くの仲間を失った悲痛な思いをつづり、「大石君にも『パンドラはやめてほしい』と何度も伝えました」と明かした。

大石氏からは「野口さんには応援してもらいたいんです」と固辞されるも、「挑戦を目前に控えている後輩に酷い事を伝えていると自覚しながらもどうしてもやめて欲しかった」という。「特に心配だったのはけいさんや、平賀カメラマンの弔い合戦になってしまわないかということ。弔い合戦はどうしても先に逝った仲間の死を意識してしまうものです」と懸念を示した。

それでも「それはありません。気持ちに一片の曇りも迷いもないのです。とても充実しているんです」と答える大石氏の言葉を受け、「安堵しましたし、もう気持ちよく送り出してあげよう」と思い至り、「シビアな挑戦になるはずで絶対はありませんが、ただ『帰ってきてくれる』と信じています。彼はそれだけのトレーニングを必死に積み重ねてきましたし、そして何よりも集中できていること。後は日本で生還を祈ることしかできませんが、彼らならやってくれるはすだと」と思いをつづった。

「しかし、待たされる方は辛い。ネット環境のないエリアなので途中経過などの情報は何一つ入ってこない。しばらくはジリジリと、ジリジリと、登頂よりも無事の生還をひたすら祈り続ける日々が続きます」と野口氏。「頼むから僕たちのためにも還ってきてくれよ」と無事を祈った。

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