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竹中平蔵氏に慶大名誉教授が疑問「規制緩和で増えてるのは人材派遣業」アベノミクス功罪議論で

日刊スポーツ 2024年10月16日 17時55分

元経済財政担当相で経済学者の竹中平蔵氏が、14日配信のABEMA「ABEMA Prime」に出演し、人材派遣業をめぐって慶大名誉教授の経済学者、金子勝氏と議論を交わした。

番組では、安倍晋三元首相の内閣の経済政策「アベノミクス」の功罪について議論。一定の物価上昇や賃金の上昇があったが、竹中氏は、「規制緩和(の効果)が出てきて、東京の都心、ものすごいクレーンが立っている。これは安倍内閣の時に作った規制緩和の制度で『国家戦略特区』というのがあって、それが今、効いてきている。こんなにクレーンが立っている街、世界中探してもないですよ」と訴えた。一方で「安倍内閣が残念だったのは」と前置きし、いわゆる「モリカケ問題」が出て以降、後半は周囲が安倍総理を前に出させず、思い切った改革が停滞し「その結果、金融緩和の弊害が出てきている、これは事実だと思う」と指摘。また企業の内部留保の増加で、経済格差が広がったとの指摘には「お金持ちとの格差が広がったの事実」とした上で、「大きな企業が全部儲かっているわけではない」と語った。

ここで金子氏は「たぶんね、竹中さんには、規制緩和をすれば新しい産業が出てくるって、昔から彼は言っているんだけど、増えているのは人材派遣業ばっかりで、ちゃんとした産業が生まれてこないと思う、人材派遣業ばっかりじゃ。戦略的に動いてない」と、竹中氏の持論に疑問を示した。

竹中氏は「人材派遣って、派遣って、働いている人間のどれくらいだと思います?」と問いかけ、「2・7%ですよ」と言及。「派遣とは違うんですよ、アルバイトとかパートですよ」と、非正規雇用に占める派遣社員の割合は高くないことを主張した。

一方、金子氏は、「実際に規制を変えなきゃいけない、本当の真ん中は、例えば電力改革とか、マイナカードやっているところも、J-LISというグループ、献金出している企業のところに全部受注がいったりする。だから裏金問題や企業団体献金が問題になっているのは、そこに事業が割り振っちゃって、そこでぐるぐる回っている」と持論を続けた。

総務省「労働力調査」の23年データでは、役員を除く雇用者に占める非正規雇用の比率は37・0%。このうちパート・アルバイトが25・9%、労働者派遣事業所の派遣社員が2・7%、契約社員が4・9%、嘱託が1・9%となっている。竹中氏は22年まで、総合人材サービスのパソナグループの会長を務めていた。

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