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井浦新「徒花」甲斐さやか監督を恩師・若松孝二監督に重ねる「初めてじゃないぞと感じた」

日刊スポーツ 2024年10月18日 20時38分

井浦新(50)が18日、東京・テアトル新宿で行われた、主演の日仏合作映画「徒花-ADABANA-」公開記念舞台あいさつに登壇した。

甲斐さやか監督を、2012年(平24)10月17日に東京・新宿の路上で交通事故に遭い76歳で亡くなった、恩師の若松孝二監督に重ね合わせた。折しも、同会場では、十三回忌を迎えた若松監督の、毎年恒例の命日上映が11日から前日17日まで開催されていた。

井浦は「昨日も、ここに立っていました。僕の恩師でもある若松孝二監督の命日の特集上映で、永瀬さんも登壇してくださった」と共演の永瀬正敏(58)に視線を送った。永瀬が主演した甲斐監督の19年の前作「赤い雪 Red Snow」に出演したことを踏まえ「若松孝二監督と甲斐さやか監督はお会いしたこともなく、作風も人物像も全然違います。でも、甲斐監督の前作『赤い雪』に参加した時、甲斐組の居心地は知らないところじゃない、初めてじゃないぞと感じた」と振り返った。

その上で「甲斐監督は笑っているんですけど、研ぎ澄まされた真剣さ、作品も全然違うんですけど、見てくださった方、世の中に対して向けている刃の鋭さは、僕は勝手に畏怖を抱いていました。若松組から甲斐組という流れが、僕はすごい居心地が良くて、違うものに感じられない」と、両監督に共通点を見いだしていると熱く語った。そして「若松監督は、もう旅立たれて映画を作ることはできないんですけど、甲斐監督は全くお弟子さんでも助監督でもなかったわけですけども、若松監督がやり続けたように甲斐監督ならではの刃をもって、世の中に突きつけ続けるんだろうなと感じています」と続けた。

最後に、改めて「徒花-ADABANA-」について「見ていただいた後、皆さんに分かりやすく、何を言いたいかと答えを目の前にポンと置く作品ではありません。でも、味わったことのないような映画体験をしてくださるだろうという確信は持っています」と力を込めた。「結論から言うと、甲斐監督は傷つけたいんじゃなく、僕らに問い続けたいんだろうなと感じる。甲斐監督が映画、芸術を持って起こそうとしている小さな革命を、僕たちは楽しみながら、皆さんに感じてもらえたらうれしい。全身で味わってください」と客席に呼びかけた。

甲斐監督は「偶然なんですけれども、この作品にはフランスにもプロデューサーがいて、その方は若松さんをフランスに広めた人だと後で分かった。もしかしたら、若松さんのご縁で作らせていただいた気持ちに勝手になっています」と感謝した。

17日までテアトル新宿で開催された若松孝二監督の追悼上映では、白石和彌監督の18年「止められるか、俺たちを」と1年前の命日上映で特別先行上映され、今年3月に公開された続編「青春ジャック止められるか、俺たちを2」(井上淳一監督)が上映され、両作品に主演した弟子の井浦が登壇。また「青春ジャック」の劇中で、杉田雷麟が演じた井上淳一監督と東出昌大が演じたシネマスコーレ木全純治代表が、監督とプロデューサーとしてタッグを組んだ14年「いきもののきろく」の原案・主演として、永瀬も登壇していた。

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