日本将棋連盟は25日、東京都台東区の浅草ビューホテルで26日に開催する予定だったヒューリックは井第4期白玲戦7番勝負第6局を、福間(旧姓里見)香奈女流5冠(清麗・女流名人・女流王位・倉敷藤花=32)の不戦敗とすると発表した。これにより、第5局に次いでの連続不戦敗で、対戦成績を4勝2敗とした西山朋佳白玲(女王・女流王将=29)の防衛が決まった。
この日、現在妊娠中の福間から体調不良により対局の実施が困難との申し出があり、規定により不戦敗とした。将棋連盟は、「今後の棋戦進行のスケジュールの都合上、これ以上の延期が難しい状況にあり、慎重に検討した結果、この判断に至った」と説明した。今期の7番勝負は、福間の不戦敗だけではく、西山白玲が新型コロナウイルスに感染したため延期された。異例のシリーズとなった。
福間は11月17日から来年2月12日まで出産のため、休場が決まっている。今月に入って、西山に挑戦する15日の女流王将戦3番勝負第2局、19日の白玲戦第5局と体調不良で不戦敗となった。防衛戦となる第14期リコー杯女流王座戦5番勝負第1局(23日)は、西山を下していた。
今後、29日には1勝1不戦敗で最終局となる女流王将戦がある。11月には伊藤沙恵女流四段(31)の挑戦を受ける、倉敷藤花戦3番勝負が5、7、11日といずれも大阪市で行われる。かなり強硬な日程だ。
過去には1995年(平7)の女流王将戦で中井広恵五段(当時)が、第2子を妊娠中に斎田晴子女流王将(当時)に挑戦した例がある。8月出産予定だったため、6月30日までにタイトル戦5番勝負が終わるように調整した。この時は4つのタイトル戦(女流名人・女流王将・女流王位・倉敷藤花)しかなかったが、現在は倍の8つに増えた。
女流王座戦は福間の出産を考慮して、第2局を来年2月以降に組む予定。来年1月から対局を行う東京・千駄ケ谷駅前の新将棋会館には、椅子での対局が可能になる。東京の場合、対局数が現行の最大16局から、26局まで増える。
運営面で楽になるはずだ。インフラの充実だけではなく、子どものいる女流棋士にもやさしい対局日程の配慮が求められる。福間の不戦敗は、棋戦の運営にも一石を投じているとみていい。