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【衆院選】“保守分裂”和歌山2区は世耕弘成氏が制す 対立陣営には「ノーサイドという精神で」

日刊スポーツ 2024年10月27日 22時33分

自民党の派閥裏金事件の責任を取り、政界から引退した二階俊博元幹事長(85)の三男で公設秘書だった自民党の伸康氏(46)と、旧安倍派幹部で離党した無所属の世耕弘成氏(61)との“保守分裂”に注目が集まった和歌山2区は、世耕氏に軍配が上がった。

NHKの選挙速報で菅義偉元首相の次に当選確実の名前が出る完勝だった。

事務所に到着すると、分裂選挙となっても、支援を続けてくれた有権者とがっちり握手。「今回の選挙は派閥の裏金の問題で、安倍派の幹部の1人として責任を取って離党した。その私に対して、もう1回、今までの経験を生かして仕事をしろと県民の皆さんから言ってもらえるのかどうかをお伺いする選挙と申し上げてきた。これだけ早くの時間に当選確実を打っていただいたということは、多くの方からもう1回頑張れと言っていただいたと思っている。心から和歌山2区の有権者に感謝申し上げたい」と述べた。

政治とカネの問題については「原因を作ったことは真摯(しんし)に反省しなければならない」とし、「責任を持ってこの政治とカネの改革、政治資金の透明化にしっかりと汗をかいていくことをお誓い申し上げる」と語った。

同選挙区は、区割り変更で旧2区の一部と旧3区が統合された。首相をめざす世耕氏は、伸康氏が二階氏の“後継”として公認された後に、参院議員から鞍替えを表明、出馬した。

裏金が注目され、有権者からは「外野からは『どっちに入れても感覚を疑う』とか言われたけど、どの候補を見てもなぁ…」と困惑の声も聞かれたが、旧2区の有権者からは「同じ和歌山と言っても、参院議員だった世耕さんにはお世話になったけど、二階さんに何か世話になったことはない」との声もあり、世耕氏の顔の広さが生きた形だ。

街頭演説では、形見分けでもらった安倍晋三元首相の靴を履き、思いの強さを強調。政治とカネの問題を謝罪した上で、参院議員として26年間、内閣官房副長官、経産相、自民党参院幹事長などを歴任してきた実績をアピールし、「今回の候補者の中で、実際の政治情勢の実務経験があるのは私だけ」と国政への返り咲きを訴えた。

一方、劣勢が伝えられる伸康氏は「この国の形を変えたい」と、父が進めた国土強靱化(きょうじんか)を前面に打ち出し、“郷土愛”で支援を呼びかけた。石破茂首相、森山裕幹事長と党幹部が次々と応援に入ったが及ばなかった。

今後は世耕氏の自民党復党に向けた動向が注目される。世耕氏は伸康氏陣営に対し、「選挙が終わったらノーサイドという精神で臨んでいきたい。できる限り融和に努めたい」と話したが、森山裕幹事長は復党はないと断言している。選挙期間中、有権者から「自民党に負けるなよ」と励まされ、苦笑いする場面もあった世耕氏だが、果たして胸の内は…。

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